水中写真を撮るときに呼吸は止めていいの?
講習で「ダイビング中は呼吸を止めてはいけません」と教わるからか、「水中写真を撮る時に呼吸を止めてもいいのでしょうか?」「呼吸をしながらだとうまく撮れません」という質問をたまにいただきます。
インストラクターやガイドさんに聞いても、講習で教えている手前、なかなか息を止めてもいいよとは言わないケースもあるようですが、個人的には、いいのではないでしょうか?と思います。
というより、自分も写真を撮りますが、呼吸を止めないと撮れない気が…。
プロカメラマンと一緒に潜っていても、特に着底してじっくり小物を撮影するときなどは、ほとんど全員が呼吸を止めています。
ダイビング中に呼吸を止めてはいけないそもそもの理由
そもそも、なぜ「呼吸を止めてはいけない」と口酸っぱく講習の時に教わるかといえば、エアエンボリズムを防ぐため。
ご存知のように、息を止めたまま浮上すると肺が膨張して破れてしまうという、あれ。
それに、水中という特殊な環境下では、意識しないと呼吸を止めてしまったり、呼吸が浅くなったりしてしまうので、正しい呼吸をするためにも、講習ではことさら強調して教えるわけですね。
そう考えると、“無意識”に呼吸が止まってしまうのは問題でも、“意識”して呼吸を止めるのは、ありではないでしょうか。
体を固定して小さい生物を撮る場合、呼吸をしてしまうとブレの原因になるし、生物も逃げてしまいがち。
シャッターを切る時ぐらい、呼吸を止めるのはありだと思います。
ただ、極端な息ごらえは頭が痛くなったり、気持ち悪くなることもありますので我慢は厳禁。
呼吸を止めないように気をつけるべきシーンは?
気をつけたいのは、群れを追いかけるなど、泳ぎながらの撮影時。
撮影に夢中になって、水深が上下するに気付かず息を止めていると危険なので、逆に呼吸が止まらないように意識して撮影したいところ。
講習時の「呼吸を止めてはいけません」は、車の教習で教わる「踏み切りで窓を開けて音を聞く」というのと同じ。
僕らのころは、踏み切りに近づいたら、停止して窓を開けて安全確認というのをやっていましたが(今は知りません)、これも安全確認のための意識づけで、本当にやっている人は皆無ではないでしょうか…なんて疑問に応えて実際に調査した人がいるようですが(笑)、やっぱりほとんどやらないようです。
同じように、ある程度のダイビング経験があって、呼吸を止めることのリスクを十分に理解しているのであれば、写真を撮るときに呼吸を止めるのはありではないでしょうか。