フォトグラファー越智隆治・“この瞬間”の裏側(第5回)

モデルだけどダイブマスターの子に手なんか貸せるか!という話

この記事は約3分で読めます。

以前沖縄にモデルの子と一緒にロケに行った時の話です。

そのモデルの子とは仲も良くて(まあ、仲悪いモデルはいない…はずだけど)、普段から冗談言い合ったりしてました。

彼女は、当時彼氏でもあったガイドからダイブマスター講習まで受けてたので、ダイビングスキルはまあそれなりにあるのだけど、彼のところに取材に行くと、いっつも手をつないで潜っていて「こいつら本当仲いいな〜」と思っていました。

で、あまりに仲いいので、苦労してこんな写真撮ってあげたりしてました(なのに別れちゃったけどね)。

カップルダイバーのシルエット(撮影:越智隆治)

「いつか、ロケで他のところ一緒に行きましょうよ〜。連れていって下さいよ〜」と言うので、沖縄ロケに一緒に行ってもらうことになりました。

で、現地ガイドさんは、やっぱり可愛いモデルが来ればテンション上がります。
自分も「お、なかなか雰囲気もいいから、取材も楽しく順調に進みそうだな〜」とウキウキしながら、一本目のボートエントリーを行ないました。

バックロールでエントリーして、船からカメラを受け取り、すぐに潜降。
まあ、プロとしては、(プロじゃなくても)、当然の行動です。

で、ふとモデルの子を探すと僕の真上の海面でジタバタしてます。
(何?)怪訝な顔をして彼女を良く見ると、僕の方に手を差し出しているんです。

(え? 何この手は?)と思ってしばらくして、ふと、いつも彼氏のガイドと手をつないで仲睦まじく潜っていた彼女のシーンが蘇って来ました。

(おまえは、仲良かったんじゃなくて、自分一人で潜降できなかっただけなのか〜!!)と思った瞬間に、僕の目の前に差し出された彼女の手をバシン!とはたいてやりました。
え〜、はたいてやりましとも。

それを見たガイドが、慌てて泳ぎ寄り、優しく手を引いて、モデルの子と一緒に潜降して行きました。
その光景は、そう、まさに、ガイドの彼氏と一緒に潜ってるそのシーンそのものだったのです。

エキジットしてから、「●●ちゃん、自分で潜降できないのかよ!ダイブマスターだろ?」と問いつめると、「え〜だって、潜降のときは、いっつも、○○君が手を引いてきゅれたんだもん~」。

「な、なんじゃと〜!!なにが『きゅれたんだもん』だ〜!!」

あ、す、すみません、書いていて、つい興奮して、文章を誇張してる箇所もあります。
でも、概要は、ほとんど事実に沿ってますので。

ということで、その日から潜降の特訓となり、取材どころではなくなりました。
こう見えても、取材ではちょっと厳しいんですよ。
女子供にだって容赦しないんだぜ。

ウソだけどさ。

さて、どこまでがウソでどこまでが本当なのでしょ〜か?

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PROFILE
慶応大学文学部人間関係学科卒業。
産経新聞写真報道局(同紙潜水取材班に所属)を経てフリーのフォトグラファー&ライターに。
以降、南の島や暖かい海などを中心に、自然環境をテーマに取材を続けている。
与那国島の海底遺跡、バハマ・ビミニ島の海に沈むアトランティス・ロード、核実験でビキニ環礁に沈められた戦艦長門、南オーストラリア でのホオジロザメ取材などの水中取材経験もある。
ダイビング経験本数5500本以上。
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