柴又、麻布、小豆…地名からも分かる土砂災害の多い国・日本
短期集中連載「なぜ日本には土砂災害が多いのか?」、第2回は日本の地名に着目します。
第1回の記事はこちらをご覧ください。
突然ですが、「薙」という言葉をご存知でしょうか。
「薙ぎ払う」の「なぎ」です。
先日、日光に行ってきました。
日光には男体山(なんたいさん)というすばらしい山があります。
綺麗な形の山で、成層火山なのがよくわかります。
そして、たびたびの噴火で、川をせきとめた結果、あの有名な華厳の滝や中禅寺湖、戦場ヶ原などができたと言われています。
ただ、そのように、山は昔から崩れやすく、山肌のあちこちに大きな山崩れの痕が見られます。
その山崩れの爪痕をこの地方では「薙」と言います。
木々も「薙ぎ払われた」ようになってしまうからでしょうか。
「薙」と名のつくところは、今後も山崩れがおきやすいかもしれません。
それも含めて、男体山では「治山工事」が昔から行われています。
同様に、今回大きな被害が出た広島市安佐南区八木地区が、昔の地名で「八木蛇落地悪谷(やぎじゃらくじあしだに)」という名前だったというので話題になりました。
「蛇」・「龍」がつく地名は、水害がおきやすい、「落」ちる「悪」い谷だから、土砂崩れが過去に何度もあった場所だろうというのです。
でも、宅地にする時に、字面が悪いので、地名を変えたとか。
そのように隠されてしまった地名もありますが、古い地名には意味が込められていることがあるのです。
実は、普段見ている地名でも危険を表すものがあります。
例えば「寅さん」で有名な「柴又」は、元は「嶋俣」で、「嶋」は三角州、「俣」は川の合流地点、すなわち川が合流してできた三角州ですから、水害に弱い地域ということだとか。
「梅」はかつて埋めた(埋まった)土地、「小豆」や「麻布」は「アゾ」(谷筋が崩れているところを示す言葉)から来ており、崖崩れがおきやすい地質を現す言葉です。
「柿」は「欠け」に通じ、土砂崩れがあったところ、「栗」はクレ・えぐれるなどから転じたもので、崩れる場所の地名にこともあるとか。
他にも「椿・燕」などは、ツバケル=崩れる、の意味からのことがあるし、「貫」なども鉄砲水の後につけられたりするようです。
「竹」は急斜面、「柳」は「薙」といっしょ等々。
もう、枚挙に暇がありませんが、こういった地名は、意外に私達が良く行くスポットの近くにも見られます。
こういう場所は、豪雨の時には要注意ということです。
◆参考:「地名と災害」
※次回は、明日(2014年9月7日)アップ予定です