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冬に透明度が良い理由、日本海が潜れない理由 ~冬の天気とダイビング~閲覧無制限

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徒然コラム

気象予報士くま呑みの“ダイバーのためのお天気講座”

砂地で撮影するダイバー(撮影:越智隆治)

みなさん、寒いですね。
1月も終わり、冬至から1ヶ月以上が過ぎて、日脚はだいぶ長くなってきました。
でも、海の中はこれからもっと冷たくなって、まさに冬の海。

太平洋側では、この季節、真っ青で透明な海、透明度30m超などという状況がよく現れたりしますね。
冬は冬で魅力的な海。では、どうして、そんな海が現れるのでしょうか。

そもそも、よく考えてみると“冬”って、なぜこんな気候なのでしょう?

前回は、それぞれの季節の典型的な天気についてお話しました。

今回は、その中でも、冬の天気について、もうちょっと詳しく見ていきたいと思います。

冬の海が綺麗なわけ

これは、主に太平側の海にいえることですが、冬の時期は海の透明度が良く、とても美しいことがよくありますね。

これは、もちろん、海水温が下がるにしたがってプランクトンなどが減り、濁りが少なくなるということも関係があります。

また、太平洋側は乾燥した晴天が続くために、川から流入する土砂が少なくなるということもあります。
しかし、一つ大きなポイントとして、風があるのです。

季節風による海水の流れ(提供:大間哲)

図1.季節風による、海水の上下の流れ

図1にあるように、冬には強い季節風が、(太平洋側でいうと)陸から海に向かって吹くことになります。

そうすると、表層の濁りの多い水は沖に流され、深層の澄んだ水が上がってくることになります。

逆に、夏は、(冬ほどに強い季節風は吹きませんが)海からの季節風になるので、表層の濁りの多い水が岸近くまで吹き寄せられて、全体に濁ってしまうことが多いのです。

(そうはいっても、黒潮やその分流れが入ってくると、水温が高くて透明度が高いなんてこともありますけれど)。

では、どうして冬にはそんなに強い季節風が吹くのでしょうか?

西高東低の冬型の気圧配置

気象庁天気図(提供:大間哲)

図2.冬型の天気図(2013年12月28日) 気象庁「日々の天気のページ」より

冬の天気図というと、「西高東低の冬型の気圧配置」というのが代表的ですね。

しかし、ちょっと考えると、不思議じゃないですか?

春だって、夏だって低気圧は日本を通り過ぎます。
そして、低気圧が日本を通り過ぎて東海上に行ったら、西高東低になりそうですね。

ところが「西高東低」というと冬に多いのです。
それは、実はアリューシャン列島方面にできやすい低圧部(アリューシャン低気圧)によるものなのです。

wiki掲載の天気図(提供:大間哲)

図3.アリューシャン低気圧の例(2005年12月5日の天気図)) Wikipediaより

アリューシャン列島方面は、冬になると低圧部(低気圧がよく発生・発達する地域)になります。
低圧部は低気圧が多いので、上昇気流が卓越します。

これに対し、高圧部(高気圧が安定的に居座ったり、発達する地域)は、高気圧が多いので、下降気流が卓越している場所です。

大きな高圧部の隣(千キロオーダーでの「隣」です)には、低圧部ができやすくなります。

高圧部から噴出した風が温まると「隣」の地域で上昇気流になりやすく、そこが低圧部になる……。そして、低圧部で上昇した空気が上空で冷やされ、また高圧部に降りてくるという循環があります。

結果、冬になって勢力を伸ばしたシベリア高気圧の「隣」である、アリューシャン列島付近は、図3のように低気圧団地のようになるのです。

日本付近を西から東に進んだ低気圧は、その南半分の暖気域に、太平洋高気圧から来る暖かく湿った空気を持っています。
これが、東海上に抜けると、冬場は、アリューシャン列島方面の低圧部に寄せられます。

すると、持っている暖かな空気と、シベリア高気圧からの冷たい空気で、低気圧がさらに発達します。

このような理由で、西高東低の気圧配置が冬に強まるのです。

冬型だと北風が吹く理由とその結果

図2.を見てください。

日本列島の上空に10本以上の等圧線があります。
非常に強い冬型であることを示しています。

風は西の高気圧から東の低気圧に向かって吹きそうですが、実際には、コリオリの力のために進行方向右向きの力が加わり、結局北よりの風になります。
※コリオリの力については、過去連載の下記記事をご覧ください。

そして、こんなに等圧線が混んでいると、それだけ気圧の差が大きくなりますから、強い季節風が吹くのです。

この季節風は、冒頭に書いたように、太平洋側では、表層の濁りの多い水を沖に吹き払い、深層からの澄んだ水を沸昇させます。

一方で日本海側では、強い風が海から吹くので、ものすごく荒れた天気になります。
強い波も打ち寄せ、なかなか潜るどころではなくなります。

また、同時に、日本海側は暖流の対馬海流が流れていて、冬でも海水温が十数℃程度あり、上空で-50℃などという風がシベリアから吹いてくると、その温度差は70度近くにも達します。

夏の太平洋側が、地面が四十数℃くらいになっていて、上空は0℃くらいのこともありますが、それでも温度差は50度程度ですから、冬の日本海の方が夏の太平洋側より温度差が大きく、対流雲が発達します。

それが、さらに強い嵐を呼ぶのです。
日本海で得た水蒸気を、雪として日本海側の各地に降らせるのも、この季節風のためです。

そして、日本の脊梁山脈に当たって日本海で得た水蒸気をすっかり落として、乾燥して、太平洋側には「からっ風」として吹き降ろしてきます。

これが、太平洋側が乾燥した晴天が続く理由です。
このために、川からの土砂の流入も少なくなり、さらに濁りが少ない海となるのです。

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