ダイビングガイドと水中カメラマンの関係 ~川本剛志×越智隆治 撮影プチ裏話~
ダイブ・エスティバンの川本剛志さんのガイドのもと、越智隆治カメラマン撮影のウェブマガジン、「久米島ダイビング紀行」がアップしました。
そんなマガジンの取材前と後のプチ裏話をご紹介してみようと思います。
今回は、取材前の、撮影に臨むガイドとカメラマンの関係に注目してみました。
ダイビングガイドと水中カメラマンの関係
以前、ガイド会の会長である川本剛志さん、副会長の鉄多加志さん、越智隆治カメラマンの同級生対談で、ガイドという職業に対する熱い思いを持つ川本さんと、ガイド会に対する特別な思いを持つ越智カメラマンの共鳴に触れることができました。
同級生対談!川本剛志×鉄多加志×越智隆治
対談の中で、こんな会話を交わしていた2人。
「ガイド会の人たちと取材をすると、いつも以上に入れ込むというのはある。『雑誌の取材よりすごいものを見せてやろう』という雰囲気があって、そうすると、こっちもそれに応えなきゃ、という気持ちになる。真剣勝負。取材自体はいつもハードだけど、すごくやりがいを感じる」
(越智カメラマン)
「ガイド側としても、こういうものを見せたい、撮らせたいと思ったときに、その人にやる気がなかったり、適当にパパパとやってしまう人だとこちらも信頼できない。これまで取材をたくさんやってきましたが、それでお終いなの?ということはよくありました。確かにそれで誌面は飾れるかもしれないけど、でも、それじゃあ僕じゃなくてもいいじゃん、と思ってしまう。どうせやらせてもらえるんだったら、もう1歩も2歩も踏み込んだ魅力を伝えられるような特集にしたいから、やっぱり応えてもらいたい」
(川本さん)
ガイドと水中カメラマンの真剣勝負。
本来、プロは結果のみを示して、いちいち過程や行動の意味、葛藤など、自らはあまり語りたがりません。
そうすることにより、陳腐で独りよがりに陥る可能性があるからでしょう。
でも、そこが知りたい。
なので、結果はウェブマガジンに譲るとして、ガイドとカメラマンとはどういう関係で、何を考えて撮影に臨んでいるのか探ってみました。
越智カメラマン、プロフェッショナルの流儀
越智カメラマンが何を思って撮影しているのかは、何度も一緒に取材に行くうちにだいぶわかってきました。
ガイド会の佐藤長明さんと潜った時、珍しくその思いを書いています。
■函館のグラントスカルピン・佐藤長明さんと潜る時に思っていたこと
https://oceana.ne.jp/from_ocean/35796
フォト派ガイドは、そのホームグラウンドの海と生物を熟知し、プロ顔負けの水中写真を撮影します。
さらに、水中写真への造詣の深さだけでなく、長年その海を撮影し続けてきたという自負も込められています。
そんな中へ乗り込む越智カメラマンの心境は、「『やっと一緒に潜ることができますね~。嬉しいな~』と言ってくれるその心の内には、(さあ、俺のフィールドでどんな写真を撮ってくれるのか、お手並み拝見だな)という思いが充満しているように感じます」
僕からすれば、フォト派ガイドと違って、カメラマンは“限られた日程の中でテーマに合わせて撮る”ということで別物だと思うのですが、越智カメラマンは、フォト派ガイドが「え!こんな表現の仕方があったんだ」と思わせるような写真をとにかく1枚は撮る、さらに、「この人になら、自分の愛する海の良さを写真で表現してもらえる」と信頼してくれる写真を撮ることを自らに課しているのです。
いわば、自分でハードルを上げている気もしますが、それが「自分にとってのプロとしての勝負」なのだと。
川本剛志、プロフェッショナルの流儀
ここにもう一人、ハードルを上げている人がいます。
もちろん、川本さんです。
川本さんに、越智カメラマンと仕事をすることに対する率直な気持ちをこっそり聞いてみると、越智カメラマンとまったく同じ答えが返ってきました。
「さあ、どんなものを見せてくれるのかお手並み拝見だと思われているようでプレッシャーは感じています。越智さんは、いろいろな海、ガイドと潜っている人ですから、越智さんだけでなく、彼を通じて、その向こうに入るガイドにも負けられないという思いがあります」
では、越智カメラマンに対してもやっぱりお手並み拝見という気持ちはあるのでしょうか?
「ちょっとあるかもしれない(笑)。でも、単純に、自分も写真を撮るので、どういう風に撮るのか気になります。撮らせたい被写体は僕も撮りたいと思っている被写体ですから、いつも試行錯誤しているわけです。だから余計にどんな感じになるのか気になります。お手並み拝見というより、単純にどんな写真、撮り方なのか楽しみです」
久米島の海で選んだテーマは“繁殖行動”
そんな2人が久米島の撮影のテーマに選んだのが“繁殖行動”。
「産卵など、繁殖行動って、生物が自分の子孫を残すために生きているという生き様が見える瞬間」と、川本さんが久米島のライフワークにしているテーマです。
■生命輝く瞬間。二股不倫!? 繁殖ウオッチングでダイビングが2倍楽しくなる!?
https://oceana.ne.jp/from_ocean/56741
さて、撮影を通じて、プロ同士、どんな化学反応が見られるのか。
その成果は、ウェブマガジンをご覧ください!
ダイブエスティバン
川本剛志さん
http://www7b.biglobe.ne.jp/~dive-estivant/
■世界のトップ水中ガイド集団「ガイド会」の会長。
デーをもとに、久米島の海の状況を細かく把握し、フォト派やマニアックな生態観察まで対応可能。と、いうと敷居が高いように感じるかもしれないが、53フィートの久米島一の大型ボートにスタッフが多数乗船しているので、ビギナーやシニア、フォト派が同船しているような懐の深さが強み。