同級生対談!川本剛志×鉄多加志×越智隆治
ガイドという枠を超え、そのプロ顔負けの写真がメディアを飾り、パーティーを開催すれば何百人ものファンが集まる“ガイド会”。
ダイビング界に存在感を示し、ガイド会フリークと呼ばれるダイバーがいる一方で、「どういう会なの?」「写真が上手な人たちかな?」とよく理解されていなかったり、「近寄りがたい雰囲気がある」なんて声もあったり…。
そこで、ガイド会・会長の川本剛志さん、事務局長の鉄多加志さんをお招きし、2人と同級生のオーシャナ代表・越智隆治をくわえた3人で、ガイド会のことはもちろん、写真のことまで、じっくり語っていただきました。
■対談ゲスト/川本剛志(久米島・ダイブエスディバン)、鉄多加志(静岡三保・アイアン)、越智隆治(オーシャナ代表・カメラマン)
■撮影/小川理志(ニューカレドニア・アリゼ)
■構成・聞き手/寺山英樹(オーシャナ編集長)
つよし、鉄っちゃん、タカ(!?)
切磋琢磨し、意識し合う3人の同級生
―――
水中写真を愛する48歳の同級生3人ということですが、お互い何と呼び合っているのでしょうか?
川本
(川本さん自身と鉄さんを指さして)ここは、つよしと鉄ちゃんって呼び合っています。
越智
僕は川本さん、鉄さんって呼んでいる。
―――
なんだか、越智さんだけよそよそしいですね(笑)。
越智
自分の場合、もともと歳下にも敬語を使っちゃう性格もあって……。
でも、実は昔、川本さんと飲み会で隣になったとき、「同級生なのに、越智さん、川本さんという呼び方じゃ距離を感じるから、タカ、つよしって呼び合おう」と一瞬だけ盛り上がったんだけど、2回くらい呼び合ったら元に戻っちゃった。
最初につよしって呼ぶのはドキドキしたな~(笑)。
川本
僕はリスペクトしている人にはつい敬語になっちゃうので、同じ年でもタメ口では話しづらいというのがありまして……。
越智
いえいえ(照)
川本
いやいや本当に(照)
―――
そんなに照れ合わなくも(笑)。
同級生ということもあり、前からのお友達というイメージがあったのですが、そういう感じでもないんですね。
越智
もちろん、名前はよく知っていたし、会えば話もするけど、実は一緒に仕事をしたことがない。
今度、オーシャナで久米島取材があって、川本さんとは、そこが初めてなんだよね。
―――
鉄さんとの関係は?
越智
鉄さんの場合は、越智隆治と鉄多加志で名前のリズムが似ている。
鉄
そこですか?(笑)
越智さんとは取材を通じて何度か海でご一緒していますし、お互い子供が同じくらいなので家族ぐるみでのお付き合いもあります。
越智
でも、野に解き放たれているようなうちの息子たちと違って、鉄さんのお子さんはバイオリンをやっていて、「一緒にクラシックを見にいきましょう」とか言われて、ひと味違うなーって(笑)
「緊張しつつもやりがいがある」
ガイド会メンバーとの取材
―――
越智さんと鉄さんは、取材を通じて一緒に潜っているとのことですが、鉄さんから見た越智さんの、カメラマンとしての印象を教えてください。
鉄
越智さんは、一般的には「やる気がない」とか「魚の名前を憶えない」というイメージで語られている部分があるんですけど、実際に一緒にフィールドに行ってみると、思った以上に一生懸命。
越智
一生懸命(笑)。
鉄
いや、一生懸命というと語弊があるんですが、彼のセンスとか経験、技術があれば、そんなに頑張んなくても形にできてしまえる部分があると思うんです。
でも、そこまでやる必要がないのに、すごく考え、とにかく一生懸命なんですよね。
実は、ちょっと天才的な部分も感じていたのですが、ひょっとしてこの人はいい意味で天才ではなくて、努力の人なのかなと。
技術の積み重ねをすごく感じるし、現場での入れ込み方もすごいものがあります。
越智
でも、これはお世辞じゃなくて、ガイド会の人たちと取材をすると、いつも以上に入れ込むというのはある。
「雑誌の取材よりすごいものを見せてやろう」という雰囲気があって、そうすると、こっちもそれに応えなきゃ、という気持ちになる。真剣勝負。
越智
例えば、パラオのデイドリームの秋野さんと一緒にペリリューを開拓しながら取材していたときも、あんな激流の中、普通だったら攻めないよね、というところも、彼は彼で見せたい、撮ってもらいたいというのがあるのを強く感じるので、彼のために撮らなければ、というふうになる。
取材自体はいつもハードだけど、すごくやりがいを感じる。
本当は、もうちょっと気楽でもいいんだけど(笑)、応えなければいけないと、いつも緊張しながら取材に行っている。
―――
お互いが認め合って、相乗効果を生むという間柄なんですね。
ちなみに、“攻める”という言葉が出てきましたが、“無理をする”ということでしょうか?
越智
攻めていても無茶をしているわけではなく、ガイドに信頼がないと無茶はしたくないので攻められない。
そこにその人がいるから攻められる、という気持ちにさせてくれるかどうかというのは一発勝負の取材の中ではとても大きい。
この人と潜っていると不安だと思えば、攻める時にも攻められず、ここらへんでもう終わりにしなければ、ってなっちゃうんだけど、この人がそばにいるならもうちょっと行ける、と思えるかどうか。
鉄
信頼できるかどうかはどうやってわかるものですか?
越智
最終的には一緒に潜ってみてということですが、フィーリングもあって、会った瞬間に感じるものはあります。
これは、年下とか年上とかはあまり関係ありません。
川本
今度、一緒に取材するのが楽しみになってきましたよ。もともと、越智さんの姿勢を見たら一緒にやりたいなと思っていました。
ガイド側としても、こういうものを見せたい、撮らせたいと思ったときに、その人にやる気がなかったり、適当にパパパとやってしまう人だとこちらも信頼できない。
これまで取材をたくさんやってきましたが、それでお終いなの?ということはよくありました。
確かにそれで誌面は飾れるかもしれないけど、でも、それじゃあ僕じゃなくてもいいじゃん、と思ってしまう。
どうせやらせてもらえるんだったら、もう1歩も2歩も踏み込んだ魅力を伝えられるような特集にしたいから、やっぱり応えてもらいたい。
―――
6月の取材が楽しみですね。というか、なんだか自分たちで取材のハードルを上げている気もしなくもないですが(笑)。
川本
いやいや、撮っている写真や話を聞いていて、越智さんなら応えてもらえそうな気がしています。
いや~取材が楽しみです(笑)。
越智
あ、でも、今回の取材はいつも以上に日程が短くてですね…。
川本
いや~楽しみです(笑)。
※実際に行われた取材時のレポート
Special Thanks:世界のトップ水中ガイド集団![ガイド会]
※第2回に続きます。