阿嘉島ダイビング旅でやさしい気持ちになれる理由

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フェリーざまみ

8月末、夏真っ盛りの沖縄・那覇の泊港(とまりこう)からフェリーざまみに乗って揺られること1.5時間。慶良間諸島の一つ、阿嘉島(あかじま)に到着した。

阿嘉大橋

オレンジがかった赤瓦屋根が印象的な阿嘉港ターミナルから、頑張っても時速20kmほどしか出ないバンに乗り込みショップに向かう。港を過ぎると誰もいない前浜ビーチが現れ、防風林の隙間から海の青が見え隠れする。沖縄に住んでいて、毎日海は見ているというのに「きれい〜!」と思わず感嘆。同じ青でも、もっともっと透明で明るい気がする。

前浜ビーチ

前浜ビーチ

5分ほどで到着し、車を降りて最初に出迎えてくれたのはケラマジカ。野生のシカに出会うのは初めてで、興奮して近付こうとしたら逃げてしまった。残念がっていると「いくらでもいるのですぐ会えますよ。」とゲストの1人が言う。

天然記念物のケラマジカ。近づいたら背を向けて逃げて行った

天然記念物のケラマジカ。近づいたら背を向けて逃げて行った

今回の旅先である阿嘉島は、人口260人ほどの小さな島。2014年に国立公園に指定された慶良間諸島の中でも、特にダイバーから人気が高いという。那覇から日帰りでも訪れることができるが、今回は2泊3日で阿嘉島ダイビングを楽しんできた。旅の中で感じた、のんびりとしたやさしい気持ちになれる阿嘉島の海と陸の魅力をお伝えしていきたい。

阿嘉島ステイダイビングで見る癒しの水中風景

那覇から慶良間諸島周辺に日帰りで潜りにいくダイビングツアーもあるが、阿嘉島ステイでなければ潜れないポイントがいくつもある。特に阿嘉島や周辺の島に囲まれたような場所には島からでないと行くことができない。今回の旅ではそういった場所を案内していただいた。

「アダン下」にて

「アダン下」にて

やさしい気持ちになれる理由の一つは、どこまでも続く白砂ではないだろうか。浅瀬には太陽が差し込み、波打つ光の上に自分の影が映し出される。

「ナベヤギリ」にて

「ナベヤギリ」にて

点在する根には水色の小さなデバスズメダイが群がり、ゆらゆらと泳いでいる。近づくとエダサンゴの間に一斉に隠れてしまうが、少し待っているとスノードームをひっくり返したかのように、ふわっと広がる。この繰り返しを眺めているだけで、一本ダイビングが終わってしまう。

「ナベヤギリ」にて

「ナベヤギリ」にて

そして多種多様なサンゴとそこに住む生き物たち。光に照らされキラキラ輝くサンゴをぼーっと眺めるのもよし、サンゴに隠れる生き物を観察するのもよし。その豊かさに心が満たされるような、あたたかな気持ちになる。

「クシバル」にて

「クシバル」にて

阿嘉島の陸はとにかくのどか

「阿嘉島は何もないのが魅力。のんびりできる。」

そう事前に聞いていたが、現地レポートをする身としては何かしら見つけたいもの。ダイビングの合間に、マリンハウスシーサーの河津さんにお願いして陸もいろいろと連れて行ってもらい、空いた時間は宿の近くを散歩した。集落は端から端まで歩いても10分程度広さで、ビーチや森など自然を感じるエリアへすぐにアクセスできる。

阿嘉島

人とすれ違うことはほとんどなく、海を眺めて過ごすおじいや、まったくスピードを出さない車をたまに見かける程度だ。一方でケラマジカは至る所に現れる。人よりシカの方が多いんじゃないだろうか。この緊張感のなさが、肩の力を抜いて島時間を過ごせる理由だろう。

ケラマジカ

阿嘉大橋を渡れば慶留間島(げるまじま)にも行くことができる。橋を渡ってそのまま島の反対側まで行くと、小さな港が。特に観光施設があるわけではないのだが、ほとんど船は停泊しておらず、穏やかな海やすぐ横で子どもたちが遊ぶ様子を見ているとのんびりとした気分になれる。

慶留間島

慶良間ブルーの海と白い砂浜

島について真っ先に目に飛び込んでくる海の青さに感動する方は少なくないだろう。そして、その青さを際立たせる白砂のビーチは格別だ。「北浜」と書いて「ニシバマ」と読む阿嘉島の東に位置するビーチは、砂浜から沖に向かう白から青のグラデーションが特に美しい。

ニシバマ

ビーチの入り口にはテラスが設置されており、ゆるやかな風を感じながら海を眺めることができる。ここで何もしない時間を過ごすことは、とても贅沢なことなのではないだろうか。

ニシバマ阿嘉島

自然のパワーを感じる島

阿嘉島とその周りには不思議な形の岩がみられる。そのダイナミックな自然の風景を眺めていると普段のちょっとした苛立つ出来事もとるに足らないものだと思える。

クシバルビーチにそびえ立つ岩

クシバルビーチにそびえ立つ岩

夕暮れ時、島の西側にある天城(あまぐすく)展望台から見える赤く染まる奇岩は特に見応えが。

天城展望台

そして満天の星。今回の旅では夜に行ったライトトラップダイビングの合間に船の上から星空観察をした。船の上のライトを消すと真っ暗になり、聞こえるのは波の音ばかり。空気が澄んでいるのか天の川まではっきり見える。

阿嘉島の星空 Photo by Kei Koda

阿嘉島の星空 Photo by Kei Koda

旅の途中、ふと穏やかな気持ちになっている自分に気づく。普段なら何かネタになることはないかと目をギラギラさせて常に気を張っている私だが、肩の力がすとんと抜けて、ただ目の前にあるものを眺めているという瞬間が何度もあった。

Photo by Shota Ishino

Photo by Shota Ishino

「阿嘉島は何もないのが魅力」というのは、ただそこにある、のどかな風景や自然、美しい海を、ありのままに感じられる場所だということではないだろうか。のんびり、やさしい気持ちになりたい方はぜひ一度訪れてみてほしい。

取材協力:マリンハウスシーサー阿嘉島店

リピート率9割を超える阿嘉島老舗のダイビングショップ。3艇のボートHAPPY号、Shooting STAR号、JUMP号で快適ダイビングを提供してくれる。マリンスタッフだけでなく、事務スタッフ、レストランスタッフ、ペンションスタッフと非常勤も入れれば総勢20人でお出迎え。宿泊施設やレストランも併設しており、快適な阿嘉島ダイビングが楽しめる。

〒901-3311沖縄県島尻郡座間味村阿嘉162
TEL:0120-10-2737

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PROFILE
IT企業でSaaS営業、導入コンサル、マーケティングのキャリアを積む。その一方、趣味だったダイビングの楽しみ方を広げる仕組みが作れないかと、オーシャナに自己PR文を送り付けたところ、現社長と当時の編集長からお声がけいただき、2018年に異業種から華麗に転職。
営業として全国を飛び回り、現在は自身で執筆も行う。2020年6月より地域おこし企業人として沖縄県・恩納村役場へ駐在。環境に優しいダイビングの国際基準「Green Fins」の導入推進を担当している。休みの日もスキューバダイビングやスキンダイビングに時間を費やす海狂い。
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