辺野古・大浦湾を潜る 米軍基地建設が進む海で出会った、奇跡のサンゴ

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辺野古・大浦湾はなぜ貴重なのか?

大浦湾マップ 参考:「辺野古・大浦湾 アオサンゴの海 生物多様性が豊かな理由(わけ)」(日本自然保護協会・WWFジャパン・国士舘大学地理学研究室・沖縄リーフチェック研究会・じゅごんの里・ダイビングチームすなっくスナフキン)

大浦湾マップ 参考:「辺野古・大浦湾 アオサンゴの海 生物多様性が豊かな理由(わけ)」(日本自然保護協会・WWFジャパン・国士舘大学地理学研究室・沖縄リーフチェック研究会・じゅごんの里・ダイビングチームすなっくスナフキン)

ここで、大浦湾の自然の独自性について触れさせていただきます。
2008年7月18日に発行された「沖縄島・大浦湾におけるアオサンゴ群集 合同調査 レポート(速報)~生物多様性豊かな辺野古・大浦湾の海~」(日本自然保護協会・WWFジャパン・国士舘大学地理学研究室・沖縄リーフチェック研究会・じゅごんの里)には、「辺野古・大浦湾は、サンゴ礁と大きな湾という異なるタイプの環境が隣接する、沖縄県内でも特異な海域であるため、豊かな生物多様性を保ち、保護すべき重点地域(ホット・スポット)であるといえる。また、大浦川が名護市中央部の多野岳山系の亜熱帯性常緑広葉樹林から流れ出ており、森、川、海が一体となっていることから、水系全体の要素がほぼ分断されずに連続しているという点でも、環境保全上重要な地域である。」と記されています。

約10平方キロメートルの狭いエリアに存在する「サンゴ礁」、「海草藻場」、「マングローブ・干潟」、「深場の泥地」といったさまざまな環境が、多様な生物をはぐくみ、大浦湾を「生物多様性の宝庫」たらしめているのです。

※参考:「(PDF)辺野古・大浦湾 アオサンゴの海 生物多様性が豊かな理由(わけ)

大浦湾の未来の黙示録⁉ 死滅したチリビシのサンゴたち

死滅した枝サンゴ

死滅した枝サンゴ

死滅したサンゴを見るダイバー

死滅したサンゴを見るダイバー

白化と壊死が進むテーブルサンゴ

白化と壊死が進むテーブルサンゴ

2ダイブ目は、「チリビシ」の別のエリアで潜りました。数年前までは枝サンゴがとても美しいポイントだったとのことですが、泳ぎ進む先には、サンゴの死骸が延々と続く荒廃した風景が広がっていました。

サンゴ死滅の原因が、基地建設に向けた埋め立て工事の影響によるものか否かは分かりません。ただ、このチリビシで毎年潜り続けているベテランダイバーによれば、「生きているサンゴの割合も、海の透明度も、昨年より明らかに悪化している」とのことでした。僕自身は、大浦湾で潜るのは今回が初めてなので、前年あるいは数年前の状況と比較して語ることはできません。が、このポイントで潜って直観したこと、それは「海が病んでいる」ということでした。

死滅したサンゴ群集の中の白化したイソギンチャクとクマノミ

死滅したサンゴ群集の中の白化したイソギンチャクとクマノミ

白化したイソギンチャクの中で元気に泳ぐクマノミの子ども

白化したイソギンチャクの中で元気に泳ぐクマノミの子ども

死滅したサンゴの亡骸が一面に広がる只中に、ぽつんと取り残されたようにたたずむ白化したイソギンチャクを見つけました。そのイソギンチャクには、大小2匹のクマノミと、小さなハナビラクマノミ1匹が住んでいました。その荒涼とした光景は、大浦湾全体の将来の姿を予言しているようにも感じられました。
そんな中、新たに生まれ育っていく「いのち」も見ることができました。高水温による白化現象で真っ白になってしまったイソギンチャクの中で元気に泳ぎ回るクマノミの赤ちゃんです。「どうか健やかに育って欲しい」と願わずにはいられません。

動画:チリビシを潜る December 3, 2024 沖縄 辺野古・大浦湾

▶︎次ページ:辺野古の海と、どう向き合うべきか?

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PROFILE
海の美しさ・楽しさ、そして環境問題を映像や写真で発信することがライフワーク。
1992年に小笠原でスキューバダイビングとスキンダイビングを初体験して以来、海の魅力にどっぷりはまる。1997年からは御蔵島のドルフィンスイムに通い始め、イルカの魅力に取り憑かれる。2022年末に長年勤めていた科学館を退職し、ダイビングガイドの道に入る。
また2016年に、ドルフィンスイムガイドの草地ゆきと共に「御蔵島のオオミズナギドリを守りたい有志の会」を立ち上げ、鳥を捕食する御蔵島の野生化ネコを捕獲・譲渡する活動を行っている。
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