水中ドローンを入口に49歳でダイビングチャレンジ!ワイズ技研社長インタビュー

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水中の世界への入り口は人それぞれ。海が好き、海洋生物が好き、たまたま友人に誘われたからなど、ダイビングを始めた理由は三者三様だろう。

今夏、新しくダイバーとなった北田諭史(さとし)さんは、水中ドローンがきっかけで海の世界、そしてダイビングの世界へと足を踏み入れた。北田さんは地盤の補強工事を行う株式会社ワイズ技研の代表で、新規事業として5年ほど前から空中・水中ドローンを導入し、スクールや点検、映像関連の事業を行っている。オーシャナで5月に恩納村で行ったサンゴの産卵ライブ配信で、水中ドローンを提供してくれたのも北田さんだ。

▶︎サンゴの産卵シーンのライブ配信に海からチャレンジ【5/26~28夜】

北田さん

北田さん

ライブ配信の際はダイビングをしたことがなかったという北田さんだが、そのわずか2ヶ月後に恩納村でダイバーデビュー49歳での新しいチャレンジ、さらに水中ドローンというあまり聞かないきっかけということで、これからダイビングにチャレンジしたい方への後押しになればという想いから、Cカード取得に至るまでの経緯実際にダイビングをしてみての感想水中ドローンとの繋がりなど、インタビューをさせていただいた。

あまり海には縁がなかった!? 40代で変わった海へのイメージ

オーシャナ編集部

水中ドローン事業をされているとのことですが、もともと海への興味や関わりはあったんですか

北田さん

実はそうでもないんですよ(笑)今49歳なんですが、海っていうものにあまりご縁がなくて。仕事としても地盤の補強工事がメインで、趣味も30代くらいまではどちらかというと山歩きが好きでしたし、学生時代ハンググライダーをやっていました。

オーシャナ編集部

海より地中だったんですね。

北田諭史

北田さん

遠出するにしても、観光するよりも、山みたいに何もなくて、風景だけあるいるだけで気持ちいい場所があるっていうのが好きなんです。ですが、なぜか海には贅沢なイメージがあったんですよね。なので、避けてはいませんでしたがあまりハマることもなかったんです。

オーシャナ編集部

ビーチリゾートは贅沢なイメージがありますね。そこから海のイメージは変わったんですか

北田さん

そうですね。40過ぎたくらいで初めて沖縄に来て、なんかいいなって感じたんです。感じ方がちょうど変わるタイミングだったのか、妙に癒されて。そこで、ラグジュアリーで派手なイメージから変わりました。海辺にただ居たらそれで十分、それでいて、その時間がすごくいいなあって感じはじめたんです。

オーシャナ編集部

歳を重ねて変化していったんですね。

沖縄の海はただいるだけで癒される

沖縄の海はただいるだけで癒される

北田さん

でも考えてみたら僕の父方の祖父は宮崎で漁師をしていたので、海の血は多分入ってるはずなんですよ。祖母は魚を市場で売っていて、小さいころによく漁港や市場でその様子を見ていました。なので、ようやく40歳になって海に戻ってきたのかもしれませんね(笑)。

オーシャナ編集部

海に呼ばれたのかもしれませんね(笑)。

北田さん

実際、沖縄に頻繁に来るようになったのも、ここ最近で、偶然の出会いなんですよね。宮古島に来た時にたまたま農園カフェみたいなところで隣に座っていた農家さんが「スマート農業やりたいけど、どこに相談したらいいかわからない」っておっしゃるので、「うちでできますよ!」って。空中のドローンで畑の見廻りしようとか色々取り組んでます。オーシャナさんとの出会いも、問い合わせフォームにご連絡していただいたのがきっかけですもんね。

オーシャナ編集部

そうですね。やっぱり海に呼ばれてたんですね(笑)。

水中ドローン事業者として衝撃を受けた水中生配信がダイビングのきっかけに

オーシャナ編集部

実際に入ってみよう、ダイビングをしてみようとなったのは何がきっかけだったんでしょうか。

北田さん

先日のサンゴの産卵ライブ配信がきっかけです。正直あれがなかったら、まだダイビングをはじめることを考えてすらなかったと思います。

オーシャナ編集部

そうだったんですね!

北田さん

昨年、宮古島に行った時に初めてシュノーケリングをして、こんなに美しい世界が気軽に見られるんだと感動し、毎回宮古島に行くたびにやるようになったんですね。ただ、十分シュノーケリングで楽しいと思っていたので、ダイビングまでは考えていませんでした。でも、サンゴの産卵の映像を観て、これは水中で見ないと。そう思いまして。

水中ドローン越しのサンゴの映像

水中ドローン越しのサンゴの映像

オーシャナ編集部

そう思っていただけて嬉しいです。

北田さん

自分の周りだけでも二人、あの配信を見てダイビングを始めてますよ。それから、水中ドローンの事業者としては、配信時のドローンの使い方がすごくインパクトがあったんです。ドローン本体をダイバーが持つとか、固定して撮影するっていう発想がまったくなかったのですが、確かに有線でデータがそのまま陸上に上がって中継できるということを考えると、普通のカメラではなく水中ドローンを持つ意味はあるんだなと。

水中ドローンからの映像を船上で出力してライブ配信を行なった

水中ドローンからの映像を船上で出力してライブ配信を行なった

オーシャナ編集部

そもそも水中ドローンはどういったシーンで使われることが多いんですか?

北田さん

現場の点検業務がほとんどですね。その他、映像業務ももちろんありますが、最近お声がけいただくのは漁協さんで、網走に行った時は、海に撒いた稚貝がどれくらい育っているかや、もう採り終わった場所を探すのに使用しました。人が入らなくてもわかるので、効率よく貝を採りにいけるんです。

オーシャナ編集部

人が入らなくて済むことがメリットになっているわけですね。

固定された水中ドローン

固定された水中ドローン

北田さん

そうなんです。でもダイバーが水中で自分の目で見て、見せたいところにカメラを向けられるというのは大きな違いですよね。広角で撮影できるといってもドローンの二十数度の画角で見たいものを探すのと、人間が見て探すのでは全然違いますよね。

そこで、自分で潜って水中の視点を自分で体験しないと、と思ったんです。今後の活用方法の幅や、自分の発想を広げるのに、ダイビングをすることは役に立つのではないかと。それもCカード取得に向けてすぐに動けた理由の一つですね。

初めてのファンダイビングで感じたものは

オーシャナ編集部

今日はCカード取得後はじめてのファンダイビングをされたとのことですが、いかがでしたか?

恩納村万座エリアにて

恩納村万座エリアにて Photo by Naoaki Ueno

北田さん

楽しかったですね。今までダイビングの映像も写真も情報に触れてきておらず、サンゴ以外のイメージが何もなかったので、逆に何を見てもすごく楽しめました。

オーシャナ編集部

何が一番面白かったですか?

北田さん

ウミガメがコバンザメ背負って泳いでいたのが一番インパクトはありましたね。

ウミガメとコバンザメ

Photo by Naoaki Ueno

北田さん

でも、大きいものでなくても小さいきれいな魚がいっぱいいるっていうだけでいいですよね。空間に自分がいるだけで癒されます。あと、ウミウシが意外と可愛いかったです(笑)。

オーシャナ編集部

最初のダイビングでウミウシの魅力に気づいていただけるとは(笑)。

北田さん

教えてもらって見るようになると意外と目につくようになりますね(笑)。いろんな模様があったり、カラフルだったり、かっこよかったり。それもいろいろ見せてくれたガイドの上野さんのおかげです。

カラフルなウミウシ

カラフルなウミウシ Photo by Naoaki Ueno

オーシャナ編集部

講習も含めて大変だったことはありましたか

北田さん

あんまりないのですが、もともとちょっと酔いやすいので海から上がったあとに少し酔ったみたいな感じになりました。だいぶ慣れてはきたのですが。それ以外ですと、浮力調整最初は戸惑いましたね。

オーシャナ編集部

中性浮力は最初にぶつかる壁ですね。

北田さん

息を吸ったり吐いたりするたびに浮いたり沈んだりしてました。でも、途中から息やウエイトだけでなくて、キックして潜ったり空気を抜いたりして浮力調整していいんだなって気付いて。技術が向上していくのも楽しいですね。

中性浮力ばっちり

中性浮力ばっちり Photo by Naoaki Ueno

オーシャナ編集部

普段と違う動きになる分、コツを掴んだ時の達成感は大きいですよね。

北田さん

深いところで何もしないと沈んでいくっていうのも初めて知りましたし、いろいろと勉強になりました。レギュレーター咥えて水中で息できる!っていうのも感動でした。宮古島でシュノーケリングしたとき、シュノーケルに砂が噛んでて水が入ってしまった時があったんです。その時ちょっと怖かったので、スキューバで呼吸ができるって楽だし素晴らしいなと。さらに、呼吸の仕方器材の使い方をしっかり教えてもらったのでシュノーケリングも楽しめる幅も広がったかなと思ってます。

オーシャナ編集部

いろんな方向で楽しんでいただけたみたいでなんだか嬉しいです。

人生100年時代の長く楽しめる趣味に

講習中の一枚

講習中の一枚

オーシャナ編集部

自分の周りで北田さんくらいの歳でダイビングを始められた方がなかなかいないのでお聞きしたいのですが、何歳でもおすすめできるものでしょうか

北田さん

そうですね、同年代はもちろんどの世代にもすすめたいです。なぜ今まで入らなかったんだと思ったくらい。今回ファンダイビングの時に小さい子が船に乗っていて、シュノーケリングやダイビングをやっているのを見たんですけど、こんな時からこんな景色見てたら全然性格変わるんだろうなって思いました。

それから体力的にも辛くないというか。もちろん思ったより疲労はするんですけど、無重力に近いので筋力もあまり関係ないですし。それこそ人生100年時代の趣味にはいいなと思いました。

まるで無重力

まるで無重力 Photo by Naoaki Ueno

北田さん

2ヶ月後に50になる歳でダイビングを知りましたけど、先長く楽しめそうです。実際どれくらいの年代まで楽しめるんですか

オーシャナ編集部

70代とか80代でも続けている方はいらっしゃいます。

北田さん

そうなんですね。本当にそれくらい長くできそうなので、仲間も増やしてゆっくり楽しみたいと思います。カメラも面白そうですし、いろいろ楽しめそうです。

オーシャナ編集部

カメラもいいですね。ぜひ、ダイビングの沼にどっぷりハマってください(笑)。

北田さん

(笑)。まずはアドバンス目指して頑張ります!

Photo by Naoaki Ueno

水中ドローンから自身が海に潜るダイビングへと世界を広げた北田さん。ダイビングを楽しむのはもちろん、ぜひ水中ドローンの新しい活用方法へ繋げて欲しい。また、読者の方でダイビングを始めるか迷っている方は、人生100年時代の新しい趣味として、チャレンジしてみてはいかがだろうか。

北田さんプロフィール


地盤補強工事をメインの事業とする株式会社ワイズ技研代表取締役。埼玉労働局登録教習機関「三郷トレーニングセンター」や空中・水中ドローンのスクール「SkyFarm」で建設現場に必要な各種技能教習や、空中・水中のドローンを安全に運用する人材育成も手がけている。
▶︎株式会社ワイズ技研

取材協力:Dive Center islesSecondStation沖縄店

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PROFILE
IT企業でSaaS営業、導入コンサル、マーケティングのキャリアを積む。その一方、趣味だったダイビングの楽しみ方を広げる仕組みが作れないかと、オーシャナに自己PR文を送り付けたところ、現社長と当時の編集長からお声がけいただき、2018年に異業種から華麗に転職。
営業として全国を飛び回り、現在は自身で執筆も行う。2020年6月より地域おこし企業人として沖縄県・恩納村役場へ駐在。環境に優しいダイビングの国際基準「Green Fins」の導入推進を担当している。休みの日もスキューバダイビングやスキンダイビングに時間を費やす海狂い。
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