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サイドマウントのトレーニングでは何を習うのか?(後編)閲覧無制限

8月です。夏ですね。
海もほどよく冷えて、ダイビングには気持ちの良い季節です。

そうそう、8月といえば昔ビビアンスーが「8月のバレンタイン」って曲を歌ってましたよね!
はい、ただそれだけです!
(かなりネタが苦しくなってきたとか言わない)

サイドマウントでのダイビング(提供:石井隆)

前回からサイドマウントのトレーニングについてお話させていただいております。
今回もその続きです。

前回の記事(サイドマウントのトレーニングでは何を習うのか?)では、コンフィグレーション(器材構成)から潜降までお話させていただきました。
今回は実際に海中でのトレーニングについてです。

水平姿勢(トリム)

PADIのオープンウォーター講習の改訂に伴い、トリムという言葉を聞く事が多くなったと思います。

このトリムという言葉、実際は船舶や潜水艦等の上下方向の動きを指します。
我々ダイバーには潜水艦が一番近いですね。
ここでは主に水平姿勢を指します。

では、どのようなトレーニングになるのか?

はい、実は何もしません(笑)
いえいえ、冗談ではなく、何もしない姿勢をとる練習です。
身体を水底や水面に対して水平にし、手や足を動かさずに、可能であれば足先をピンと伸ばしてじっとしているだけです。

サイドマウントでのダイビング(提供:石井隆)

簡単にできそうですか?

ところが、実際は簡単にはいきません。
器材構成やタンクの付け方等でバランスは簡単に狂ってしまいます。

また、フィンもとても重要です。
ゴム製のフィンはフィン自体が重たい為、足を伸ばすと足先から沈んでしまいます。

よく、テクニカルダイバーは膝を曲げた姿勢でフィンキックをします。
これは、水底等に接触しない事や、フィンワークによって砂や堆積物が舞い上がらないようにする為ですが、人によってはフィンの位置を身体の重心に寄せる為に足を曲げます。
(そうすると、フィンの重心が身体の中心よりになりますよね)

その為、人によっては好んで軽いプラフィンを使用する方もいます。
もちろん、全ての方にそこまでシビアなバランスは必要ありませんが、それだけサイドマウントにとって「トリム」は大事という事です。

フィンワーク

トリムと合わせて実施します。
サイドマウウントのフィンワークはあまり大きくありません。
例えば大きなバタ足のようなフィンワークだと、フィンキックの度に身体が大きく揺れて、バランスが狂いやすくなります。
(つまり、トリムがとりにくくなるんですね)

また、あおり足も同様で、バタ足よりかは身体の動きは少ないですが、左右に振られる事があります。
その為、小さなフィンキックが非常に有効です。

もともとサイドマウント自体が水の抵抗が少ない為、コンパクトなフィンキックでも十分推進力を得られます。

サイドマウントでのダイビング(提供:石井隆)

また、ヘリコプターターン(水平姿勢のまま180°回頭)やバックキックも随時実施します。

まずはトリムが取れている事、それが一番大事。
そして身体のバランスを崩さないフィンキックを練習します。

水中での移動

これはちょっとだけゲーム性を出してトレーニングしています。
トリムやフィンキックの応用のトレーニングですね。

まず始めに、水中にケーブダイビングやレックダイビングで使用するリールでラインを貼ります。
そして、なるべく高低差があるコースを作ります。
もし、人が通れる鉄枠等の障害物があれば、ドンドン活用します。
(TDCJではプラスチックの枠を使用しています)

高低差は5m以上、水深は10m以浅で行います。
(0~10mが一番浮力の変化が大きい為です)

コースの長さは50~100mぐらい、可能であればループ(輪状)にします。
こうすると、永遠に廻ってられますからね(笑)

サイドマウントでのダイビング(提供:石井隆)

で、そのコースをトリムのまま移動します。
できればラインから常に1mの高さを維持して。

そして、インストラクターが先頭に進み、ゆ~っくり進みます。
講習生はインストラクターを抜かないスピードで泳ぎます。

高低差がある所は、トリムのまま潜降浮上を実施します。
もちろん、BCも操作しましょう。

障害物等の狭い所を通るときも着底しないように浮力をコントロールします。
面白そうでしょ(笑)。

実はこのトレーニング、ケーブやレックのトレーニングの応用です。
その為、もし将来テクニカルダイビングに進みたい方がいらっしゃれば、コースをより難しくしたり、ラインからの高さを30cm、なんてアレンジもできちゃいます。

このトレーニングはやってみると、本当に楽しいですよ。
障害物なんてあれば、狭い所や細い所を通る、サイドマウントの醍醐味を味わえます。

バックアップ空気源の共有

サイドマウントはレギュレーターが二つあります。
そしてその二つのレギュレーターを使い分けなければなりません。

緊急時にバディと空気を共有するのは、慣れないと本当の緊急時に実施できませんよね?
その為、トレーニング中は毎ダイブ実施します。

サイドマウントでのダイビング(提供:石井隆)

これは自分の器材を理解するのにも十分役立ちます。

どうすれば、緊急時にストレスなく相手にレギュを渡せるか?
どのような方法なら自分が混乱しないか?
などなど、たくさんの事を考える良い機会にもなります。

そして、バックアップの共有手順を理解することにより、普通のレクリエーションダイバーの方と潜る時に、自分の共有方法を的確に伝える事ができるでしょう。

シングルタンクでのサイドマウント

レクリエーション環境ではより実践的なサイドマウントの使用方法です。
これはたくさんお話したい事がありますので、次の機会にしたいと思います。

エキジット

最後はエキジットです。
PADIのトレーニングでも実施していますが、ここではもう少し色んなバリエーションを実施します。

例えば、エキジットする前に片方の(または両方)タンクを取り外したりします。
これはエキジットの時間を短縮するため。
ボートダイビング等では非常に有効です。

水中でタンクを外してしまうか、腰のDリングにかけて浮上します。
水面に出たら、そのままボートクルーにタンクを渡せますので、水面でタンクを外す時間が短縮できます。

水面でのタンク脱着はやっかいですが、水中ですと、意外と楽にできます。
タンクの重さが軽減される為でしょう。

サイドマウントでのダイビング(提供:石井隆)

いかがでしょうか?

ざっとですかトレーニング内容を紹介させていただきました。
他にも「トリムでのマスククリア」や「フロートの打ち上げ」等、受講生の要求に応えたトレーニングを実施しています。

フィッシュウォッチや写真撮影等のダイビングはとても楽しいです。
でも、「サイドマウントがうまくなりたい!」って要求だけのダイビングはいかがでしょうか?

「いやあ、そこまでしてやりたくないや」って方ももちろん結構。
ダイビングのスタイルはひと様々でしょうし、楽しみ方も人それぞれです。

ただ、上手くなるとより楽しめるし、より安全になるのも事実。
どこまで自分のダイビングを追求するか、それを選択するのも自分自身。

是非サイドマウントをトコトン楽しんでもらいたいと切望しています。
今回はここまでにさせていただきますね。

サイドマウントでのダイビング(提供:石井隆)

冒頭のバレンタインネタが本当に厳しくなってきました。
インターネットをフル活用してネタを探しています。
ただ、その為私のパソコンの検索履歴がどえらい事になっています。
もし、第三者にこの検索履歴を見られたらどう思われるか…。

ではまた次回!!

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