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めんこい魚がお出迎え!〜「たげなの海から元気を! in宮城・竹浦」レポート〜閲覧無制限

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現地からレポート

2012年6月23日(土)、24日(日)、被災地を潜る支援イベント
「たげなの海から元気を! 〜できること。潜ること。in宮城・竹浦〜」が
宮城県女川町の竹浦(たげな)で開催されました。

■主催:
「できること。潜ること。」プロジェクト
■運営:
NPO三陸ボランディアダイバーズ
■協力:
JF宮城県漁協女川町支所竹浦支部
NPO三陸ボランディアダイバーズ
NPO日本安全潜水教育協会
The More Project Japan
■協賛:
オーシャニックTUSA日本アクアラングビーイズムフィッシュアイマレスモビーズ(50音順)
■感謝:
できもぐイベント「海から元気を」に参加していただいた全国、世界のダイバーの皆さん

台風で開催が危ぶまれていましたが、ふたを開けてみれば快晴。
海も比較的穏やかで、まさにダイビングイベント日和。

参加者は44名。ダイバーはもちろん、地元たげなの皆さん、
新聞社やテレビ局などメディアも訪れ活気あるイベントとなりました。

当日の様子をレポートします。

東京からおよそ6時間。
女川町の海岸線から山の斜面を下っていくと会場となる竹浦に到着です。





参加者も地元たげなの皆さんもガイドさんも、
みんなでできもぐリングをつけて、「さあ、いくぞ!」

念のために調べた放射能も問題なしと思われる数値。

たげなの皆さんは明るく、放射能も問題ないですが、
津波の爪痕は、生々しく残っています。

沈下、冠水し、壊滅してしまった港の痕跡。

瓦礫は撤去されたものの、ほとんど更地の状態。
まだまだ元どおりとは程遠い状態です。

開会式が行なわれている最中も、
ダンプがひっきりなしに後ろを通っていました。
原状回復しつつも、前に進む。そんな被災地を象徴しているシーンでした。

開会式。

たげなの皆さんが、地元に100年伝わる伝統の和太鼓で歓迎してくれました。

同時に、獅子振りというこちらも伝統の芸を披露。
正月など節目の行事で無病息災を願うそうです。

獅子振りのエピソードは、こちら↓をご覧ください。

どこか懐かしくも腹に響く和太鼓の調べと迫力ある獅子振りで、
参加者もすっかり楽しい気分になって大満足の様子。

そして、「できること。潜ること。」プロジェクト実行委員を代表して、
山中康司さんよりたげな漁協支部長・阿部克夫さんに、
支援金によって購入した漁具の目録が贈呈されました。

この支援金は先の「海から元気を」イベントのリングを販売した利益によるもの。
1つでもリングを購入していただいた、
日本中、世界中のダイバーの熱い、あるいは優しい“思い”の賜物です。

開会式の後は、いよいよ本番。いざ、たげなの海へ!
ナビゲートするのは東北の精鋭ガイド陣。

■ガイドの方々
地元女川の《バックロール》の渡辺信次さん、高橋さんをはじめ、仙台から《ダイビングステージ アリエル》の大島宗明さん、石巻から《潜水捜索救難協会》の高橋正洋さん、岩手から《魅知国リアスダイビング》の佐藤寛志さん、櫻井淳さん

いってらっしゃ〜い。

潜るとなると、ダイバーからはやっぱり笑顔がこぼれます。

どんな出会いが待っているのでしょう。いざ!

水面の透明度は1m水温14度、12mの水底は透明度5〜8m水温12度。
2〜3日前まで開催すら危ぶまれていたことを考えるとなかなかのコンディション。

そこかしこに東北らしい風景が広がり新鮮です。

ウミウシの種類が豊富で、ライトを照らせば、
一見地味な水中に彩りを添えます。


■/佐藤寛志

そして!

スーパーアイドル、ダンゴウオもサクッと登場♪

砂地へ行けば、リュウグウハゼ。

そして、そして!

宮城の海といえば、めんこいカジカの仲間たち。

オコゼとカジカのいいとこ取り!? オコゼカジカ

■写真/安江昌幸

そして、そして、そして〜〜!!!!

遂に登場、東北のスーパーアイドル、クチバシカジカ。


■/佐藤寛志

「普段、潜る機会がないので、見たことのない魚が見られて
とてもおもしろかったです」と参加者も大喜び。
とあるダイバーは、船上に上がってからクチバシカジカが登場したと聞きつけ
もう一度戻って見に行ったほど(笑)。

ダイビングポイントとしてはほとんど潜られていなかった海だけに、
漁師さんの理解が得られてきている中、今後が楽しみです。

ダイビングの合間、たげなの皆さんが、
当時の様子を生々しく語る話に、皆真剣に聞き入っていました。
楽しそうに見えて、話を聞けば身近な人が亡くなっていて、
ここまで来た道のりの険しさが伝わってきます。

昼食は、朝とれたてのホタテを焼いて、
ホタテ汁にしてふるまっていただきました。

たげなの方々に、今回のイベントについてお話を聞いてみました。

「来てもらって話すだけでも元気になります。そして、つながりができます。
震災は多くのものを奪いましたが、逆にこうしたつながりも作ってくれました。
世間が広がったし、助かった命ですから、前向きにみんなでがんばっていきたい。
ぜひ、また来てください」

「今回の震災で命があるっていうのが当たり前じゃないと知りました。
今でも嘘みたい。1人で生きてはいけないので、
やっぱり交流を持たないとダメだと思います。
こうして、ダイバーの皆さんと交流するようになり、
皆ダイビングをやってみたいと思っています」

「最初のころ、水中がどうなっているのかすごく気になっていて。
そんな時にダイバーさんが様子を見せてくれて、本当に、本当に安堵しました。
以来、ダイバーさんと交流を持っていると、
今まで私たちが何とも思っていなかった魚たちに大喜びしていて、
そんな反応も見ているのも楽しいです。
身近にありながら自分たちの海の価値を知らなかったと気付かされました」

たげなの皆さんは、またダイバーが訪れることを望んでいます。
東北の海が潜れて、しかもおもしろいという情報を発信し、
ダイバーが潜りに来るようになったら、それも復興の一助になるのかもしれません。

阿部貞さんとたげなガールズの皆さん

たげなからおよそ1時間。
屈指の観光地としても知られる、松島の「大観荘」に移動し、
まだまだイベントは続きます。

まずは、横須賀市人文・自然博物館前館長の林公義先生と潜る
「林先生と潜るinたげな」。

皆と同じ海を潜って撮影し、その日のうちに編集して、
その日のうちにレクチャーするという人気プログラムです。

この日も、「カジカには泳ぐタイプとくっつくタイプがいて、
その違いは背ビレで……」、「ホヤは水を吸う入り口と出口があって、墨汁で実験してみると……」「ヒトデの目はうでの先端にあって光を当てるそちらに歩く。ちなみに、足じゃなくて腕なのがミソで……」などなど、興味ある話は止まらない。

参加者も「当たり前の景色にこんなにおもしろいことがあったとは」
「単純に知らないことばかりだったので楽しかったです」
「潜ったばかりの海の話だから余計おもしろいですね」と目からウロコの様子でした。

続いて、女川のパイオニア《バックロール》の渡辺さんによる上映会&講演。
「一時間でもあればすぐに潜りに行ってしまう」
「雪が降る真冬がおもしろいんだよ」と心の底から女川の海を愛する渡辺さん。
撮影する女川の生物たちの生態の動画は貴重なものばかり。
皆食い入るように見いっていました。

今まで、いわゆる「女川の海」として知られていた、
渡辺さんが潜っていたビーチは津波でなくなってしまいました。
たげなで女川の海が復活する日が来るのを祈るばかりです。

そして、クライマックスはダイバー宴会。
THE宴会場で海の幸に舌鼓。

皆、ほろ酔いになったころ。さらに宴会はヒートアップ。
メーカーの方からいただいた協賛品が当たるじゃんけん大会です。

グローブ、フィン、レギュレーター……
次々に当たる豪華賞品に皆真剣(笑)


司会のTUSA児島さんとkailの当たった参加者

そして、最後はお世話になったガイドさんから熱いメッセージをいただきました。

ダイビングのボランディアで復興支援を続ける彼らが、
普通にファンダイビングのガイドをできるようになったときが
本当の復興といえるのでしょう。

皆さんも機会があればぜひ潜りにいってみてください。
我々もそうした機会をなるべく作れるようにしたいと思います。

最後にもう一度。

今回のイベント成功は実際の参加者によるところも大きいですが、
リングをひとつでも買っていただいた方の上になりたったイベントです。
実行委員として関わっていた者として深く感謝します。

長いレポートを最後まで読んでいただきありがとうございました。

【おまけ1】
■支援の漁具はこう使う!

人の背丈より余裕で長いカーボン製の網の付いた竿。


船上から竿を水中に入れる


水中をスコープでのぞきながら、ウニなどを網ですくい上げる。


まだ、ちょっと小さいウニ。これから竿が活躍する季節が楽しみです。

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