海の中で聞くクジラの鳴き声。2013トンガホエールスイム2日目はシンガーと親子に遭遇

トンガホエールスイム(撮影:越智隆治)

トンガのホエールスイム2日目、風が上がる。

多くのボートがクジラを見つけるものの、まともに泳げるクジラには遭遇できていなかった。
無線で連絡を取り合うスキッパーの情報だけでなく、僕と寺山君も、こちらで使用できる携帯を使って、今の状況をお互い伝え合った。

「親子についているけど、なかなか海に入れないです」。
「シングルのクジラがいるけど、潜ってなかなか上がってこない」。
「状況が変って、入れるようになったら連絡して」などなど。

風はあるけど、雨雲が無いので、まだ過ごし易い。
しかし、日向にいる人は、すでに相当に日焼けしていた。

なかなか良いクジラが見つからないまま、時間が過ぎていく。
そんなとき、チャネル内で一頭のクジラを発見。

同じ場所からあまり動いていないし、場所的に、水深40mくらいで、底が見えるところだった。
もし潜ったとしても、上から探せば見つけられる可能性が高い。

スキッパーに、「浮上してきて、潜ったら、その上まで移動してチェックするから」と伝えて海に入る。
ボトムははっきり見える。鳴き声も聞こえる。
シンガーだ。

トンガ人ガイドとスキッパーの指示する方向を確認しつつ泳ぐ。
しばらくすると、海底にぼんやりとクジラの姿が見えて来た。

クジラはほぼ海底に頭をつける感じで、テールを力なく上にして鳴いていた。
腕を上げて皆を呼ぶ。

自分は何度か潜水をして、テール側からクジラを撮影。
しかし、テール側でせいぜい水深30mなので、まだトンガに着いたばかりで、潜行しなれていない自分には、これが限界の撮影だった。

トンガホエールスイム(撮影:越智隆治)

一度浮上してきたが、僕らの存在に気づいたシンガーが、「うざい」と感じたのか、突然ブリーチングとテールスラップ、ペクトラルスラップを始めた。
しばらくその行動を繰り返し、また潜行をしたが、かなり遠くに移動したか、鳴かなくなったのか、水深も深い場所に移動したので、姿を見つけることはできなかた。

トンガホエールスイム(撮影:越智隆治)

その後、しばらく何頭かのクジラのブローやブリーチングなどを見つけるが、海が荒れている場所だったり、接近してもその後あまり浮上してこなかったりした。

外洋側を移動中、親子に遭遇。
しかし、子どもが明らかに小さくて母親は止まる気配がない。
しばらく追走するが、難しそうなので、「近よれないので、透明度が高いから、遠目に見るだけになります」という説明をしてエントリーしてもらう。

自分の泳力なら充分撮影できるスピードではあったのだけど、最初は皆を誘導して先頭にいたものの、すぐに皆の後ろに回って見ていたので、撮影した写真はこんな感じ。

トンガホエールスイム(撮影:越智隆治)

この親子も全員が見れて、今日の状況からすると、他の船からの無線情報を聞く限り、かなり見られた方だと思う。

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PROFILE
慶応大学文学部人間関係学科卒業。
産経新聞写真報道局(同紙潜水取材班に所属)を経てフリーのフォトグラファー&ライターに。
以降、南の島や暖かい海などを中心に、自然環境をテーマに取材を続けている。
与那国島の海底遺跡、バハマ・ビミニ島の海に沈むアトランティス・ロード、核実験でビキニ環礁に沈められた戦艦長門、南オーストラリア でのホオジロザメ取材などの水中取材経験もある。
ダイビング経験本数5500本以上。
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