自分で貝殻を作る“特殊能力”を持つタコ⁉謎多きアオイガイの仲間がクラゲに乗って、山口県青海島に登場!

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こんにちは。水中カメラマンの堀口和重です。

先日はキアンコウの稚魚・幼魚が多数登場して盛り上がりを見せた山口県青海島(おうみしま)ですが、5月1日令和になって早々、またもや珍しい生き物が登場。
ゴールデンウィーク中は“浮遊生物祭り”となっています。

クラゲに乗って颯爽と現れた!?
珍しいタコ

前回ご紹介した青海島の外洋のポイント「船越ビーチ」。
その日は特に、クラゲなどの浮遊系生物が多く流れてきていました。

水面の潮目を見上げると、まるでプランクトンの道ができているよう。
水面は必ず変わった生き物がいると信じ、ひたすら探してみると、同じチームで潜っている人たちが集まり、とある被写体を撮影し始めました。

遠目から見た瞬間、クラゲだとすぐにわかりました。

でも、何かくっついている……!?

近寄ってみると、ビックリ。なんとタコだったのです!!

アオイガイ科の仲間。全長30mm前後(撮影/堀口和重)

アオイガイ科の仲間。全長30mm前後(撮影/堀口和重)

調べてみると、アオイガイ科の仲間(アオイガイもしくはタコブネ)でした。

このタコ(アオイガイの仲間)は浮遊性で、プランクトン同様、水面を漂って生活をしています。

しかもこのタコ、ただのタコではなく、自分で分泌液を出し、貝殻を作ってしまうという変わった生き物。
腕の先から貝の元となる成分を出して、貝殻を作ってしまうんです。

浮遊しながら自分の家を作ってしまうなんて、なんともユニークな生き物ですね!

また、水族館などで飼育してもすぐに死んでしまい、詳しい生態も未だにわかってない大変貴重な生き物です。
ちなみに貝殻を持っているのは雌のみとなります。

クラゲと共に流されて…
小さな雄の個体も登場

しかも今回の個体は、写真にも写っているように、バテイクラゲに乗って移動をしていました。

稀にですが、クラゲに乗って浮遊するタコを見ることがあります。
どのような目的があるのかは私にもわかりませんが、もしかしたらクラゲに乗って流され、ラクをしながら移動しているのかもしれませんね。

水面をクラゲに乗りながら移動している(撮影/堀口和重)

水面をクラゲに乗りながら移動している(撮影/堀口和重)

そして極めつけ。
この日はアオイガイだと思われる仲間の雄も登場しました。

雌に比べると大きさは非常に小さく、貝殻は作りません。
今回発見された個体は15㎜前後と小柄で、予想以上に動きも早く、1人で撮影するのはなかなか困難でした。

アオイガイの雄(撮影/堀口和重)

アオイガイの雄(撮影/堀口和重)

ゴールデンウィークの後半戦も、青海島では珍しい浮遊系生物の出現にまだまだ期待がかかっています!

■撮影協力/シーアゲイン
■発見者/大場晴之 様
■参考資料/「ふしぎがいっぱいの人気者!イカとタコの大研究」(土屋光太郎監修/PHP研究所)

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堀口和重さん
プロフィール

horiguchi_profile

伊豆の大瀬崎にある大瀬館マリンサービスにチーフインストラクターガイドとして勤務後、2018年4月にプロのカメラマンに転向。
現在は伊豆を拠点に水中撮影から漁風景や海産物の加工まで海に関わる物の撮影を行っている。
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PROFILE
日本を拠点に活動している⽔中カメラマン。カメラマンになる以前はダイビングガイドをしながら数々のフォトコンテストで⼊賞。現在はダイビング・アウトドア・アクアリストなどに関連する雑誌やウェブサイト、新聞などに記事や写真を掲載、水中生物の図鑑や教書にも写真提供している。2019年に日本政府観光局(JNTO)主催の“「⽇本の海」⽔中フォトコンテスト 2019”にて審査委員、2020年には“第28回 大瀬崎カレンダーフォトコンテスト”の特別審査員も務める。近年は訪⽇ダイビングツーリズム促進を⽬的として“NPO 法⼈ Japan Diving Experience”としての活動も⾏っている。
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