<G.W速報>山口県青海島でキアンコウの稚魚&幼魚に多数遭遇!珍しい浮遊系生物に会うなら今がチャンス?

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こんにちは。水中カメラマンの堀口和重です。
平成最後、そして令和初となる大型ゴールデンウィークがいよいよ始まりました。

先日の記事にも書いたハリセンボンの大群を見た後、山口県の浮遊系生物の聖地とも呼ばれる青海島(おうみしま)を訪れています。

青海島に到着後、ここでまたもや珍しい生き物と遭遇したのでレポートします!

とても珍しい浮遊系生物
キアンコウの稚魚&幼魚に遭遇

それがキアンコウの稚魚と幼魚。

しかも4月27日は大フィーバーとなり、生まれて少ししか経っていないと思われる5㎜前後の稚魚から、少し成長した15㎜前後の幼魚など、いろいろなバリエーションの個体になんと6匹も登場!

山口市のダイビングショップ・シーアゲインのオーナー笹川勉さん、そして奥様の笹川美紀さんが発見しました。

生まれてから少し経ったキアンコウの稚魚(撮影/堀口和重)

生まれてから少し経ったキアンコウの稚魚(撮影/堀口和重)

15㎜前後の幼魚(撮影/堀口和重)

15㎜前後の幼魚(撮影/堀口和重)

500mほどの深海に生息するキアンコウの成魚は、大きくなれば1.5mにまで成長します。

“吊るし切り”されるアンコウの姿を見たことがある方もいると思いますが、アンコウ鍋やあん肝など、食用としても有名ですよね。

不思議なことに、伊豆半島などでは冬場に浅場に上がってきて多く目撃される成魚なのですが、青海島では成魚はほぼ見られてないのです。

今年2月、大瀬崎に現れたキアンコウ(撮影/堀口和重)

今年2月、大瀬崎に現れたキアンコウ(撮影/堀口和重)

浮遊系生物の聖地
青海島はプランクトンの宝庫!

青海島は山口県の北西部、日本海に浮かぶ周囲約40kmの島です。
島の北岸は日本海の荒波を受けた浸食地形となっていて、断崖絶壁や奇岩、洞窟などがあり、別名「海上アルプス」とも呼ばれています。その絶景は、国の名勝、および天然記念物に指定されるほど。

青海島の内海、紫津浦湾(撮影/堀口和重)

青海島の内海ポイント「紫津浦湾」。今回キアンコウが出たのはここ(撮影/堀口和重)

紫津浦湾の裏側に位置する船越ビーチ(撮影/堀口和重)

紫津浦湾の裏側に位置する「船越ビーチ」。外洋に面しており潮通しがいい(撮影/堀口和重)

そんな、潮当たりがいい環境のためか、海にはクラゲなどのプランクトンが、潮に乗って数多く入ってきます。湾に潮が入ると、ゆっくりと外に出ていく環境のため、ダイビングでは大量のプランクトンが見られるのです。

そのクラゲなどの中に、キアンコウの稚魚や幼魚が紛れていることがあるんですね。
キアンコウの子どもたちは鰭が長く、まるでクラゲの触手のよう。その姿から「クラゲに擬態しているのでは?」という説もあります。

そして、ある程度の期間プランクトン生活を送り、大きくなると着底して深場へと移動していくようです。

クラゲのような鰭を持つ(撮影/堀口和重)

クラゲのような鰭を持つ(撮影/堀口和重)

日本、いや世界でも、キアンコウの稚魚や幼魚を見ることは非常に稀なことです。今の時期しかないチャンス!

しかも浮遊系生物なので運次第になりますが、行かなければ見ることはできません。
ぜひ、山口県青海島に狙いに行ってみてはいかがでしょうか?

■撮影協力/シーアゲイン

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堀口和重さん
プロフィール

horiguchi_profile

伊豆の大瀬崎にある大瀬館マリンサービスにチーフインストラクターガイドとして勤務後、2018年4月にプロのカメラマンに転向。
現在は伊豆を拠点に水中撮影から漁風景や海産物の加工まで海に関わる物の撮影を行っている。
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PROFILE
日本を拠点に活動している⽔中カメラマン。カメラマンになる以前はダイビングガイドをしながら数々のフォトコンテストで⼊賞。現在はダイビング・アウトドア・アクアリストなどに関連する雑誌やウェブサイト、新聞などに記事や写真を掲載、水中生物の図鑑や教書にも写真提供している。2019年に日本政府観光局(JNTO)主催の“「⽇本の海」⽔中フォトコンテスト 2019”にて審査委員、2020年には“第28回 大瀬崎カレンダーフォトコンテスト”の特別審査員も務める。近年は訪⽇ダイビングツーリズム促進を⽬的として“NPO 法⼈ Japan Diving Experience”としての活動も⾏っている。
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