堀口和重の「イキイキと生きる!生き物伊豆紀行」(第2回)

自分の家を持ち歩く不思議なタコ!?イキイキと生きるメジロダコのおもしろ生態シーンを撮影@大瀬崎

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こんにちは。水中カメラマンの堀口和重です。

先日、西伊豆・大瀬崎に、ユニークなタコが登場しました!

今年の伊豆半島は例年に比べると、生き物の出方が不思議なほどに違います。

冬場の寒い季節にはほぼ見れなくなってしまうような、オオモンカエルアンコウやクマドリカエルアンコウなどの南方種が未だに顕在しており、そうかと思えば4月ごろから続々と出てくるような、カエルアンコウの幼魚などがすでに姿を見せているなど、生き物の出方が変わっているのです。

さらに、甲殻類も例年に比べてバリエーションが多く、「本当に2月の海なのかな?」と思えてしまいます。

そんな季節感がわからなくなってしまいそうな大瀬崎に、またしてもおもしろい生き物が登場しました。

その生き物はメジロダコ!

今回、はまゆうマリンサービスの相原店長から情報をいただき、早速行ってきました。

道具を使うことで有名な
賢いタコなんです!

メジロダコがいたのは、大瀬崎のポイント「湾内」です。
水深18mほどのところで、大人しく、貝殻のバリケードの中からこちらを見ていました(笑)

このタコはなかなかユニークで、普通のタコとは少し違い、アカガイなどの2枚貝の殻を持ち歩いたり、その貝殻の中にうまく入って身を守ったりするんです。

貝殻をバリケードのように砂に立てて、中に潜んでいます。(撮影/堀口和重)

貝殻をバリケードのように砂に立てて、中に潜んでいます。(撮影/堀口和重)

メジロダコの特徴のひとつである白い吸盤。(撮影/堀口和重)

メジロダコの特徴のひとつである白い吸盤。(撮影/堀口和重)

ダイバーが近寄ると、逃げる体制に入るのか、体全体を出します。(撮影/堀口和重)

ダイバーが近寄ると、逃げる体制に入るのか、体全体を出します。(撮影/堀口和重)

離れるとまたバリケードの中に戻ります。(撮影/堀口和重)

離れるとまたバリケードの中に戻ります。(撮影/堀口和重)

また、近くの貝殻をそっと掴み、自分の持ち場へと運んでいくシーンも見られました。

さらに運がいいと、そこから全部の貝殻を持って、移動する姿も見られます。

貝殻を上手に掴んでいます。(撮影/堀口和重)

貝殻を上手に掴んでいます。(撮影/堀口和重)

自分の家の前に貝殻を置いています。マイホームの壁がまた1枚増えました。(撮影/堀口和重)

自分の家の前に貝殻を置いています。マイホームの壁がまた1枚増えました。(撮影/堀口和重)

実は、6年前にも大瀬崎でメジロダコの姿を見たことがあります。
見た個体は少し小さめで、2枚貝に上手く入っていました。

メジロダコとダイバー(撮影/堀口和重)

メジロダコとダイバー(撮影/堀口和重)

主な生息地はインドネシア
名前の由来はココナッツの家!?

私は10年ぐらい前に、インドネシアのレンベ海峡で、初めてメジロダコの仲間に出会いました。

そのときはまさか、貝殻の中にタコがいるなど想像もできなかったです。

貝以外にも、ココナッツの殻を被る姿も見られており、別名ではココナッツオクトパスとも呼ばれています。

人間以外にも、知性の高い動物は「道具」を使うものもいますが、タコの仲間では大変珍しいとのことです。

レンベで見た時は貝殻の中に潜んでいたのが見られました。(撮影/堀口和重)

レンベで見たときは、貝殻の中に潜んでいたのが見られました。(撮影/堀口和重)

私が大瀬崎で撮影したのは、先週の土曜日(2/16)ですが、日曜日も少し場所を変えて見られています。ものすごく移動する生き物ではないので、もしかしたらまだ見られる可能性はありそうですね!

今週末は、冬とは思えない、まるでレンベのような大瀬崎で、カエルアンコウやメジロダコなどを探してみてはいかがでしょうか?

堀口和重さん
プロフィール

horiguchi_profile

伊豆の大瀬崎にある大瀬館マリンサービスにチーフインストラクターガイドとして勤務後、2018年4月にプロのカメラマンに転向。
現在は伊豆を拠点に水中撮影から漁風景や海産物の加工まで海に関わる物の撮影を行っている。
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▶堀口さんのFacebookはこちら

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PROFILE
日本を拠点に活動している⽔中カメラマン。カメラマンになる以前はダイビングガイドをしながら数々のフォトコンテストで⼊賞。現在はダイビング・アウトドア・アクアリストなどに関連する雑誌やウェブサイト、新聞などに記事や写真を掲載、水中生物の図鑑や教書にも写真提供している。2019年に日本政府観光局(JNTO)主催の“「⽇本の海」⽔中フォトコンテスト 2019”にて審査委員、2020年には“第28回 大瀬崎カレンダーフォトコンテスト”の特別審査員も務める。近年は訪⽇ダイビングツーリズム促進を⽬的として“NPO 法⼈ Japan Diving Experience”としての活動も⾏っている。
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