海とサンゴ礁保護のために水中に彫刻を展示するイギリス人アーティスト

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Jason DeCaires Taylorの水中彫刻(提供:ボニー・ウェイコット)

先月投稿した「水中クローシェ編みのプロジェクト」に関わったオレックさんの話に続いて、今週はプロジェクトの舞台に関わっているイギリス人アーティスト 、ジェイソン・デカイレス・テイラー(Jason DeCaires Taylor)のお話です。

イギリス人アーティストJason DeCaires Taylor(提供:ボニー・ウェイコット)

ジェイソンは、ダイバーとして海に強い関心をもっており、人間は海を守る義務があると信じています。
彼の狙いは、海やサンゴ礁を保護するため、彫刻を作って、そこにサンゴ礁を育て、海の生態性を維持する事です。

ロンドンで彫刻を勉強したジェイソンは、大学生の時に潜っていたため、海と美術を組み合わせたかったそうです。
そこで、水中博物館というコンセプトが生まれました。

産卵や魚の行動によって、特定の季節や時間帯でないと彫刻を海の中に入れることができないので、こうした水中プロジェクトには国立海中公園の海洋生物学者などとの関わりが欠かせません。
また、コンクリートなど、生物に悪影響を与えないものを使う必要もあります。

ジェイソンの作品でかなり人気なのが、28人の子供(男の子14人、女の子14人)が立っている「子供の輪」です。
横になっている作品は砂だらけになってしまい、サンゴ礁はそんな環境で育たないので立っている人間を作ろうというアイディアから「子供の輪」が生まれました。

Jason DeCaires Taylorの水中彫刻(提供:ボニー・ウェイコット)

人間の彫刻を作っている理由は、人間と海の共生関係が可能だという事を表すためです。
また、海の深刻な問題に取り組まなければいけないのが人間なので、人間の彫刻が最も相応しいとジェイソンは言います。

彫刻の頭のてっぺんを上から見たり、砂場で少し横たわってじっくり足を見たりなど、ダイバー達はさまざまな位置からジェイソンの彫刻を楽しむことができます。

Jason DeCaires Taylorの水中彫刻(提供:ボニー・ウェイコット)

収入は不安定で、次の依頼がいつどこから来るか分からないというジェイソンですが、将来が楽しみだそうです。
今後はカトリン海洋調査と関わりたいそうで、ノアの方舟とその動物も作ってみたいという大きな目標も抱えています。

今後のプロジェクトや情報が楽しみです。
ぜひ頑張ってほしいですね!

Jason DeCaires Taylorの水中彫刻(提供:ボニー・ウェイコット)

※写真家:Jason Decaires Taylor

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PROFILE
イギリス生まれ、8歳から13歳まで日本で育ったイギリス人と日本人のハーフ。

2006年に再度来日し、ナレーター、翻訳者、ライターとしてNHKテレビ、ラジオ、日本駐在外国人向けのウェブサイトなどで活躍。
2010年ニューカレドニアで体験ダイビングをしたのを機にライセンスを取り、2011年以降定期的に日本で潜っている。

日本の海の魅力、多様な生物や地形等に感動し、海外であまり知られていない日本のダイビングを紹介する目的で、2011年にブログ(Rising Bubbles)を立ち上げた。

外国人向けのサイトや海外のダイビングサイトで日本のダイビングスポットを定期的に紹介しており、スコットランドのセントアンドリューズ大学で水産養殖も勉強中。

「ダイビングをきっかけに、日本の海がどれだけ魅力的なのかをすごく実感しました。この連載では、たくさんの情報を届けていきながら、海外からのトピックを取り上げ、日本と海外の違いや海外の視点等をシェアするのを楽しみにしております」
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