タイの奴隷労働を映し出した映画「ゴースト・フリート 知られざるシーフード産業の闇」

世界有数の水産大国であるタイの漁船では、今もなお人身売買と奴隷労働が行われていることをご存知だろうか。そして、信じがたいが、日本も決して無関係ではないのだ。
そんな状況を終わらせるべく動いた一人のタイ人女性とその仲間たちの活動を追った映画「ゴースト・フリート 知られざるシーフード産業の闇」が2022年5月28日に公開する。オーシャナ編集部は、一足先に試写会へ伺い映画を鑑賞。映画を見た感想と、私たちが今すぐ変化を起こせる取り組みを提案したい。

©Vulcan Productions, Inc. and Seahorse Productions, LLC.

【あらすじ】今日も東南アジアの海で「海の奴隷」が
私たちの食卓に並ぶ魚を捕っている

あなたの買っているシーフードやペットフードは「海の奴隷」が捕ったものかもしれない。信じられないかもしれないが、現代も奴隷が存在し、世界有数の水産大国であるタイには、人身売買業者に騙されるなどして漁船で奴隷労働者として働かされている「海の奴隷」が数万人存在するといわれている。

タイの水産物輸入で世界第二位の日本は、多くのツナ缶やエビなどを輸入。安価な水産物の裏で犠牲になっているのがタダ同然または無給で働かされている「海の奴隷」と言われる人々。本作は、タイの漁船から離島に逃げた人々を捜索し、救出すべく命がけの航海に出る2017年ノーベル平和賞にノミネートされたタイ人女性、パティマ・タンプチャヤクル(以下 パティマ)たちの活動を追うドキュメンタリー。奴隷労働5年、7年、12年──。ミャンマー、ラオス、カンボジアなど貧困国から集められ、売り飛ばされた男性たちをパティマたちは救うことが出来るだろうか?

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決して続いてはならない、人の人生を大きく狂わせてしまう「奴隷」

「奴隷」と聞くと、学校で習った一昔前の歴史上の出来事だと思ってしまっていたが、現在進行形で行われている衝撃の事実を知り、まず驚きが隠せなかった。そして何よりもこの映画を多くの人に観てほしいと感じたのは、劣悪な作業現場のことだけでなく、奴隷になった人の人生が大きく狂わされてしまったという部分だ。

ある日突然、恋人や結婚相手、家族に別れも告げれぬまま、目覚めたら一面海しか見えない船の上に。それから数十年間海の上で毎日寝る暇もなく働かされ、意を決して海に見を投げ脱出できたとしても、たどり着いた島は母国から離れた知らない場所。帰り方もわからず、家族に再会することを諦め、その島で第2の人生を歩んでいる人もたくさんいるのだ。自分たちが食べるシーフードやペットフードのために、人権を奪れ、人生が狂わされている人が存在している事実を知る責任が私たち消費者にはあると感じた。

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この状況を変えるために私たちができること

①原産地を見て商品を選ぶ or 信頼できるブランドを選ぶ

原産地見て判断することはなかなか難しいかもしれないが、原産地や輸入経路を開示しているブランドの魚を選ぶなど、購入時に一歩立ち止まって考えてみる。

②MSC海のエコラベルのある商品を選ぶ

③映画や本、SNSを通して知識を身につけ周りの人へシェアをする

自分がキャッチした情報や知識を周りの人へ伝えることによって、少しでもこの問題について知って考える人を増やすことに繋がる。そして、多くの人が行動に移すことによって一人の力では変えられない問題を変えるきっかけとなる。

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奴隷が労働を強いられている漁船では、乱獲が行われており海の生態系も崩している原因の一つでもあるという。タイの水産物輸入で世界第二位の日本国民として、人にも海にもやさしくない漁法をこれ以上続けさせないために、まずはこの映画を見て今の食生活を見直してみよう。

映画「ゴースト・フリート 知られざるシーフード産業の闇」

5月28日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー

©Vulcan Productions, Inc. and Seahorse Productions, LLC.

シャノン・サービス、ジェフリー・ウォルドロン監督作品
配給:ユナイテッドピープル
2018年/アメリカ/90分/カラー/16:9
映画詳細や上映館についてはこちら

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PROFILE
奄美在住。高校生の時にブラジル留学を経験。泳ぐのが苦手で海とは縁がない人生だと思っていたが、オーシャナとの出会いを通じてOWD(BSAC)を取得。オーシャナを通じ、環境問題や海のことについて勉強中。
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