フロリダのマナティーと変わりゆくルール~岡田裕介の海中時間~

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アメリカ フロリダ半島北西部にあるクリスタル・リバーのマナティの集まる泉では2010年頃からルールが変わり、潜る、マナティを追いかける、といった行為が禁止になったそうです。

フロリダ、クリスタルリバーのマナティー(撮影:岡田裕介)

僕がここで撮影を行った時にはなかったルールなので、もしその時にこのルールが適用されていれば、良くも悪くも今回のような写真は撮れていなかったでしょう。

アメリカはそういった保護活動には特に熱心なようで、僕がよく撮影に行くハワイ諸島では、固有種のアザラシ・ハワイアンモンクシールは150フィート(約45メートルくらい)離れた所からしか見る事が出来なくて、カメは近づいたり触ったりしたら罰金。
また、鳥の楽園・ミッドウェー諸島は2002年以降、島に入る事すら出来なくなってしまいました。

日本の海では石垣島マンタスクランブルの厳しく決められたウオッチングルールが有名ですね。

正直、撮影の事だけを考えたらルールなしで自由に動ける方が良いに決まっているのですが、地元の人や研究者がその動物の将来を考えて決めた事を一介の旅行者、撮影者である僕らは受け入れる事しかないのです。

決められたルールが自然や生物を守り、将来を豊かにしてくれるものと信じてしっかりと守り、決められた範囲のなかで結果を出すのがプロの仕事なのかなと。

今まで何度も撮影地の地元の人や関係者から『ここは昔はもっと良かったよ』なんて言葉を聞いて悔しい思いをしたものです。

フロリダ、クリスタルリバーのマナティー(撮影:岡田裕介)

今の子供達が大人になった時に少しでもこの声が減る事を祈りつつ、自分の写真が少しでも、その役に立てるよう今年も頑張って行きたいと思います。

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PROFILE
埼玉県生まれ。大学卒業後、フォトグラファー・山本光男氏に師事。
 2003 年より、フリーランスフォトグラファーとして独立。沖縄・石垣島、ハワイ・オアフ島へ の移住を経て、現在は神奈川県の三浦半島を拠点に活動中。 水中でバハマやハワイのイルカ、トンガのザトウクジラ、フロリダのマナティなどの大型海洋ほ 乳類、陸上で北極海のシロクマ、フォークランド諸島のペンギンなど海辺の生物をテーマに活動。 2009 年 National Geographic での受賞を機に世界に向けて写真を発表し、受賞作のマナティ の写真は世界各国の書籍や教育教材などの表紙を飾る。温泉に入るニホンザルの写真はアメリカ・ スミソニアン自然博物館に展示。国内でも銀座ソニーアクアリウムのメインビジュアルはじめ企 業の広告やカレンダーなどを撮影。 またミュージシャンのライブ撮影も行い、雑誌、WEB、広告などに作品を発表している。
 
HP:https://yusukeokada.com
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