14年ぶりでも楽しくダイビングできました!!超ブランクダイバー、復活への道(後編)
この物語は、14年ぶりのダイビングという戦いに挑んだ一人のダイバーの記録である……
↓前編・中編はこちら
▶最終ダイビングから10年以上!!超ブランクダイバー、復活への道(前編)
▶ついに海に来たぞ!潜る準備や器材のセッティングはできるのか!?超ブランクダイバー、復活への道(中編)
さて、いよいよ14年ぶりのダイビングが始まる。
(初回から読んでいただいている方には、やっと潜るのかよ!と言われそう)
前回お伝えした通り、もはやほとんどの工程を忘れていた私ですが、セッティングやブリーフィングを何とか終え、タンクを背負ってエントリー口へ。
「では、無理せず、楽しんでいきましょう!!」
村井さんのキラキラさわやかなかけ声で、テンションが上がる。
「エイエイオー!(私の心の声)」
もはや出陣する気分。
14年ぶりでも潜れたぞ!
ブランクダイバーからの復活
「黄金崎ビーチ」はエントリー口がゆるやかなスロープになっており、手すりとロープがついている。なんて優しいポイントだろう……泣
久しぶりのタンクの重さにヨロヨロしながらも、手すりをつたってゆっくり降りていく。
エントリーし、足のつく浅場でレギュレーターをくわえ、顔をつけて呼吸をしてみる。
最初は普通にスーハースーハー、今度は深呼吸するみたいにゆっくりと。
「あれ? なんだか大丈夫そう……。」
もはやレギュレーターで呼吸ができるのかすら不安だった私。でもここで急に手ごたえが。
「私、このまま潜れちゃいます!!」
村井さんが何度も「OK?」と確認してくれた。こちらも思いきり「OK!!!!」のサインを返す。
緊張して不安だったのはエントリーして数分間だけ。それ以降はすっかりダイビングを楽しんでいた。
ただ中性浮力は上手く取れない。浅場では特にバタバタして暴れてしまう。
巻き上げちゃってごめんなさーい! 岩とかめっちゃ掴んでるけどお魚さん許してーー!!と、動揺する気持ちをぐっと抑えて、「仕方ない……だって14年ぶりだもの。初回は安全に楽しめればオールオッケー~!」と、自分に言い聞かせる。
途中、笑ってしまってマスクに水が入った。マスククリア、久しぶりだなぁ~。でもこちらは問題なくできた。自転車に乗るのと同じで、自然と体が覚えていることもあるんだなぁと実感。
1本目を潜り終えて、エキジット。
あの……あんなに怖がって大騒ぎしてたのに、声を大にして言ってもいいですか……
「やっぱりダイビング、楽しいー!!」
村井さんも「全然大丈夫じゃーん! よかったね~」とほめてくれる(ほめてない)。
ランチもモリモリ食べて、2本目も潜る。
今度はすっかり落ち着いて、余裕を持ってエントリーできた。
調子に乗って、村井さんのカメラで水中写真まで撮ってみた。浮力コントロールが上手くできないので水中で止まれない……汗
被写体の前で足がつりそうになりながらも、何枚か撮らせてもらった。ブレブレですごい写真しか撮れないけれど、これまた楽しい。
ダイビングが終わると、何とも言えない充実感と、心地良い疲労感でいっぱいになる。
わ、この感覚! 何だか懐かしい!
私が14年ぶりの
ダイビングで感じたこと
ブランクからの復活方法に特に決まりはない。必ずリフレッシュ講習を受けないとダメとか、プール練習がマストとか、そんなことはなくて完全に自由。だから、自分が一番安心できるやり方で復活するのがいいと思う。
大切なのは、久しぶりに潜るときに、どれだけ不安とストレスを取り除いてから潜れるかということ。
自分の中で何が不安・ストレスなのか。そしてそれをさらけ出し、ひとつひとつ解消していくことができるか。
つまり、これが叶う環境で潜れるかどうか、が重要。
ブランクさん(ビギナーさんも)は、ストレス、緊張、スキル不足……などなど、現役ダイバーに比べ、とにかく不安でいっぱいだ。
不安やストレスがあるから、呼吸が乱れたり、吐き気や頭痛を起こしたり、パニックに陥りやすくなる。
それなのに、「本当は怖いけど、大丈夫なふりしちゃう」とか、「イントラにいろいろ聞けない……」という状態だと一気にリスクが高まること必至……
なので、誰とどんな風にどんな場所で潜ったら一番安心できるか、そこを最優先で考えていけば、自分に合った復活方法が見えてくるはずだ。
■信頼できるイントラやガイドとマンツーマンで
最初は信頼できるインストラクターやガイドとマンツーマンで潜るのがベスト。また、潜るメンバーも、気心の知れた仲間ならパーフェクト!
■不安、ストレスはひとつずつ解消
スキルや気持ち、外的要因など、さまざまなことが不安なブランクダイバー。疑問や不安は事前におさらい(勉強)したり、インストラクターやガイド、バディに相談して、ひとつひとつクリアにしてから潜ろう。
■できるふり、大丈夫なふりは厳禁!
イントラ歴12年のマンタ林典子曰く、「大丈夫なふりされるんが一番困るんや~」とのこと。自分がどんな状態でどんな気持ちなのか、一緒に潜るメンバーには正直に申告を。じゃないともしもの時に助けてもらえないですよ!
■自分のペースを厳守
みんなに合わせて泳がなきゃ、一人だけエアの消費が早かったらどうしようなど、ブランクさんは周囲に合わせてがんばる必要はナシ。むしろ周囲に合わせてもらおう。とにかく自分のペースで安全に潜ることを最優先に。
■海況や天候にも注意を
せっかく海まで来たのに、荒れていたり、寒かったり、透明度がほとんどない味噌汁状態だったり……。もうそれだけで、潜るのが怖くて苦痛になってしうし、安全面でのリスクも高まる。復活のチャンスに意を決して海に行く気持ちも大事だが、時にはスケジュール変更をする勇気を。
もちろん、体調面で不安がある場合はリスケ必須!
「また海に潜りたい」
そう思う気持ちも大切に
「Cカード講習で学んだことはできて当たり前、自立したダイバー、自立した安全管理」というのは、オーシャナとしてもしっかり提唱していきたいところだ。
でも、いろいろ忘れちゃったし、器材はないし、安全管理も自信がないし……とダイビングを諦めるより、「また潜ってみたい」そう思う気持ちを大事に、優先してもいいんじゃないかと思う。(自分を棚に上げて言っているわけじゃないですよ!)
だってみんな、一度はダイバーになった身……。
ライフステージの変化や、さまざまな理由からダイビングと離れてしまっても、きっと「海が好き」な気持ちは変わらないですよね?
それなら思い切って復活!!
思い立ったが吉日!!
とにかく一度潜ってみて、また続けたいなと思ったら、スキルアップやマイ器材のことを考えればいいんですよ、うんうん。
(だから、決して自分を棚に上げて言っているわけじゃないですよ……)
***
安全に楽しく潜ることは大前提で、家族や子どもがいる人はちょっとだけ準備も大変かもしれないけれど、せっかく始めた趣味として、“脱・ブランクダイバー”、ぜひしてみませんか? きっと楽しい日々が待っているはず!
そして何より、私みたいにブランクがこ~んなに長く、緊張しぃで、テンパる人でも何とか潜れたというのを心の支えにしていただいて(笑)、ブランクダイバーさんたち、ぜひまた海の世界へ。
また一緒にダイビング始めましょー!
▼私をしっかりサポートしてくれた素晴らしきガイド・村井ちゃんこと、村井智臣さんの新連載もスタート!
超ブランクダイバー復活体験談(連載トップページへ)
- 最終ダイビングから10年以上!!超ブランクダイバー、復活への道(前編)
- ついに海に来たぞ!潜る準備や器材のセッティングはできるのか!?超ブランクダイバー、復活への道(中編)
- 14年ぶりでも楽しくダイビングできました!!超ブランクダイバー、復活への道(後編)