2013年のマイニュース・ベスト3と、2014年ダイビング界の注目ポイント
明けましておめでとうございます。
北は北海道から南は沖縄、果ては、ロタやGBR…などなど、2013年もたくさん潜りまくった1年でした。
2014年は…のその前に、2013年を振り返ってみたいと思います。
2013年マイニュース・ベスト3
まずは、個人的に印象深かった体験ベスト3です。
■3位:ハンマーヘッドシャーク300匹!年に一度のギャンブルダイビングは大当たり!
神子元島に15年通ってもなかなか会えずにいたハンマーヘッドだけに、夢の“ハンマーリバー”をその目で見た時は、水中で叫ぶほどの感動となりました。
トンガのクジラや北海道のクリオネなど、何年潜っていても、海の生物との“初対面”の体験は、ダイバーで良かったなと感じる一瞬であり、ダイビングの醍醐味です。
思い出すと、お尻のあたりがムズムズと…。
■1位:漂流寸前のトラブルを経験して、いま振り返る教訓と考察
あわや漂流か!? という体験で、自分のダイビングを見つめ直すきっかけはもちろん、反響も大きく、後述しますが、メディアとしてのダイビング事故情報の重要さを感じた体験でもありました。
2014年の抱負はより読者目線を大切に。
まずは、ダイビング事故情報の充実を
マイニュース1位の通り、自らトラブルを体験し、その記事の最後で、こう書いています。
「ダイバーが事故やトラブルについての情報を素早く得られる環境を整えることの重要性を痛感しました。この実現にはメディアのビジネスモデル自体からいじくらないといけない難しいテーマですが、今回のトラブル体験をきっかけに、事故をテーマにしたコンテンツを作ることを決めました」
これまでダイビングメディアは“プロモーション”がメインの作りになっていました。
どんな業界でもすそ野を広げることはとても大事で、これはとても素晴らしいことです。
ただ、あまりにも“楽しいよ!”の声が大きすぎて、ダイバーの声が聞こえていなかった分野があるのも事実です。
事故の情報とその分析が、その象徴のように感じています。
業界の内側にいると、そうした事故情報について、「怖がらせてどうする!?」というネガディブな意見も聞くのですが、それはダイバーを少しなめ過ぎかなと思います。
事故の情報を見て、「ダイビングってなんて怖いんだ!やーめた!!」という短絡的な人はむしろ少数派で、ダイビングの9割を占める楽しい部分はよく知っているから、残り1割のリスクや安全潜水にいかせる情報が欲しい、という声は多いのではないでしょうか。
ということで、最近のオーシャナを見ていただけるとわかるように、事故情報をはじめ、ダイバーが知りたかったけどなかなか手に入らなかった情報を充実させるべく、エキスパートの皆さんに連載をお願いしています。
2014年、続々とエキスパートの皆さんの記事、そして、特集がアップされますので、ご期待くださいませ。
高まるセルフダイビングの気運!?
ダイビング界を俯瞰して見渡す立場にいると、おもしろいもので、ひとつひとつの出来事は別の話でも、点と点がつながり、何やら気運というか、大きな潮流を感じることがあります。
そういう意味では、2014年は“セルフダイビング”がひとつのキーワードになる気がしています。
まず、個人的に、セルフダイビングについて考えさせられることが多かった2013年。
セルフダイビングのメッカ・GBRで潜ったことをはじめ、海外でセルフダイビングの場面に多く出くわしました。
■バディ潜水(セルフダイビング)を後押しする規定とは~Cカード取得後そのままバディ潜水~
■海パン一丁でダイビング!? 日本人ダイバーと外国人ダイバーの違い
また、国内、海外問わず、セルフダイビングの解禁を模索するダイビングサービスからの相談も増え、「これは、一体どういうことなのだろう?」と思っていたところに、PADIのオープンウォーター・プログラムの改訂。
やどかり仙人さんの言葉を借りれば、「“ダイバーたちの自主性の回復”といったところが、その改訂の基本理念」とのこと。
点と点がつながり、大きな流れを感じる出来事でした。
そして、“自己責任”の議論の行方
セルフダイビングと切っても切れない議論が“自己責任”と、裏返しにある“管理責任”。
これは、ダイビング事故に関しても、核を成す議論です。
そう考えると、2013年、大きな話題となった“ガイドの法的リスク”に関する記事も、こうした大きな流れに書かされたような気がしてきます。
■ダイビングガイドの新局面。 急激に増す、ガイドという職業の法的リスクとは?
※
ダイビング事故の事例を見ると、本当に判断が難しいなと思います。
遺族の立場から“たられば”を聞けば「そりゃそうだよな」と思いますし、ガイドの立場から“これってみんなやっていることでしょ”と言われれば「よくあることだな」とも思います。
事故さえ起きなければ、むしろわかり合えていた人たちが闘うはめになり、落としどころを見つけなければいけないのが裁判。
シビアな視点で見れば、善悪ではなく、そこにあるのは闘いで、もっと悪い言葉でいえば、勝てば官軍というゲーム。
だからこそ、ダイバーもプロダイバーも法的リスクについては、もっと知っておくべきで、その過程で最大の不幸、事故の予防を学ぶべきなのでしょう。
ガイドによる法的リスクについて学ぶ勉強会、消費者としてのダイバーを守る研究者の活動、PADIやSSIの経営の変化、若手のショップオーナー集団の“イントラの地位向上”を目的とした活動など、それぞれの立場で、いろいろな動きがありましたが、何かこう、変化を求め、枠組みやルールを変える、あるいは、作る気運のようなものを感じています。
オーシャナの理念のひとつは“多様性”。
2014年もいろいろな立場、角度の意見を尊重、紹介していきたいと思います。
もちろん、楽しいことも!
もっとダイバーの皆さんと身近に
もちろん、楽しい海もたくさん紹介していきますし、楽しいこともたくさんやっていきたいと思います。
特に、昨年、「実際に学べる場が欲しい」、「もっと楽しいイベントを作って」という皆さんからの声も多かったので、2014年は月に1度はセミナーやイベントなど、実際にダイバーが交流できる場を作る予定です。
ということで、今年も、ダイバーが安全に楽しく潜る手伝いをしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。