タイのダイビング。ジンベエザメとの本当の遭遇率とは?
「タイの海といえば?」とダイバーに聞くと、やはり多いのが“ジンベエザメ”。
実際、潜りに来るダイバーに中にも「ジンベエザメのポイントに行きたいです」というリクエストは少なくないそうです。
何となく、“タイといえばジンベエザメ”というイメージは定着しているようですが、実際のところ、どうなんでしょうか?
毎年のように出ているが
ピンポイントでは難しい!?
タイ湾側の海をサムイベースで潜って19年、「サムイダイビングサービス」の増子均さんによれば、サムイ・タオのタイ湾側の海では、ジンベエザメは毎年のように出てはいるとのこと。
ポイントは、“毎年のように”というところかもしれません。
毎年出現することはするが突発的で、「あまりシーズナリティはなく、いつ出るかというのは断定できない」とのこと。
当たっているシーズンだと、しばらく根付き、2~3日に1回くらい出現し、1ヶ月くらい続くこともあるそうですが、ある特定のポイントに、その時期に行けば確実に見られるというものはなさそうです。
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一方、昨年ジンベエザメ大当たりの年になった、半島を隔てたアンダマン海はというと、プーケットのデイトリップやシミランクルーズを開催している「カタダイビング」の畑隼佑さん(タイ暦9年)によれば、「正直、昨年の大当たりまでは、7年間で見たのは2回だけです……」とのこと。
それでも、やっぱりゲストからは「ジンベエザメが見たいです!」とキラキラした目で言われることが多いそうですが、原因はやはり、メディアを中心にあおり過ぎたのかもしれません。
シミランクルーズでいえば、ダイバー憧れの名物ポイント「リチェリューロック」で、18年くらい前に爆発した年があって、ジンベエザメというキャッチーさもあって、看板として定着したのでしょう。
確かに、政府観光庁のダイビングガイドブックの表紙はジンベエザメですし、雑誌のグラフや旅行会社のパンフレットなどでも、これでもかとジンベエザメの写真が使われていました。
これだけあおられれば、タイに潜りさえすればジンベエザメに会えると思ってしまっても仕方ないかもしれませんね。
つまり、タイの海には確かにジンベエザメは回遊していると思うのですが、潜る前にピンポイントで当てるのは難しく、出現して根付けばしばらく見られるという感じではないでしょうか?
伊豆半島の神子元でハンマーヘッドを当てるのと似たような気もしますが、違うのは距離。
日帰りでも行ける神子元であれば、出ている時にすぐに行けば当てることもできますが、タイだとそこまで気軽にはいけません。
ジンベエザメを狙ってリチェリューロックへ!
結果は……
ただ、これはあくまで個人的な印象(思い込み?)として、長いスパンで考えると、当たりには周期というものがあって、本厄の前に前厄があって、後には後厄があるように(あまり良い例えではないですね……)、大当たりの年の前後は“当たりの余波”のようなものがある気がしています。
ということで、昨年のシミランでのジンベエザメ大爆発の報を受け、今年、「エクスプローラー」号に乗ってシミランクルーズでジンベエザメを狙いに行ってきました(2015年1月16~20日)。
「会えればラッキー」とか言いながら、密かに「なんだか見られる気がする」と思っていたのですが、結果は……
ノージンベエ。
結局、自分も告知でジンベエザメの写真を使ってあおってしまった結果になり、参加者にも「詐欺だ!」と冗談まじりに怒られましたが、一応、言い訳をしておくと、昨年の大当たりを経て迎えた今シーズン。
僕らが乗る前の4クルーズで3クルーズがジンベエザメと遭遇。
ほら、やっぱり今年も結構当たっているでしょ!? と言い訳をしようとして、「なおさら、うちらのクルーズで当たらなかったのは何なんだ」と言われることに気がつき(汗)、そっと心にしまっておいたのでした。
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タイの魅力は、その魚影。
タイ海のリチェリューロックやアンダマン海のリチェリューロックの魚影は凄まじく、バラクーダやギンガメアジが渦巻き、キンセンフエダイが壁になるシーンは圧巻です。
タイのジンベエザメは、神様の贈り物。
自然との遊びでは、ふいに会えるほうが何だか嬉しいこともある、ということでひとつ。
僕もタイでは5回潜っていますが、未だにジンベエザメとの遭遇はありません。
次回も魚影に巻かれるダイビングを楽しみ、タイ料理を堪能しつつ、飛ばすコムローイにジンベエザメをお願いしたいと思います。