オーシャナ読者のエッセイで綴る特別連載(第2回)

多忙を極めるビジネスマンが衝動的にダイバーデビュー!仕事に必要な精神力はテクニカルダイビングで磨く

この記事は約3分で読めます。

「私がダイビングをする理由」というテーマでエッセイを大募集中〜!
応募作品の中から、編集長の心に響いた作品を連載します。

今回ご紹介するのは、3人称で語られる「NAGAE」さんのストーリー。
多忙を極めるビジネスマンが、挑むように潜り続ける姿からは、海とのただならぬ絆さえ感じます。

(写真提供:NAGAEさん)

(写真提供:NAGAEさん)

テーマ「私がダイビングをする理由」

滞在先のホテルで
衝動的にダイバーデビュー

ひとりの男がいた。
会社を立ち上げたばかりで、飛行機の中でもノートブックパソコンが手放せず、衛星電話を使い、打合せをする日々だった。

20代は寝た記憶がないと男は言う。離婚を経験し、仕事にますます没頭する男は、このままでは自分が壊れてしまうと思うようになった。

「誰もいないところ、誰の声も聞こえないところ、電話がかかってこないところで一人になりたい」

仕事の戦略を練るために滞在していたホノルルのホテルで、思い立った男はダイビングショップのドアを叩いた。

テクニカルダイビングで自らを追い込み
仕事のモチベーションを保つ

それから25年。
今では東南アジアに拠点を移し、平日は仕事に集中し、週末を海で過ごす生活をしている。
仕事を三年間休み、テクニカルダイビングの腕を磨いた。ダブルタンクを背負い、減圧ガスを抱えて潜るたびに、必ず生きて海面に戻ると男は誓う。

所持しているダイコンの一部。自他ともに認めるダイコンマニア(写真提供:NAGAEさん)

所持しているダイコンの一部。自他ともに認めるダイコンマニア(写真提供:NAGAEさん)

「死ぬかもしれない恐怖に比べたら、仕事で発生する問題やストレスなんて大したことない」

激流ダイビングや難関なる沈船ペネトレーション(船内探索)を克服することで、そう言い切れるようになった。
仕事で失敗をしたところで命まで取られることはない。せいぜい一文無し、借金を抱えるくらいだ。いくらでもやり直しがきく。

愛読書はクライブカスラー(写真提供:NAGAEさん)

愛読書はクライブカスラー(写真提供:NAGAEさん)

しかしダイビングは違う。
基礎を怠ればミスをおかす。ミスが重なれば命が危うくなる。自然が相手なので予期せぬこともおこる。どんな状況に陥っても冷静でいるための精神力も必要になる。

男はダイビングを楽しいと思ったことは一度もない。
自分が理想とするダイビングが出来るまで、知識と実技を磨き、何度も何度も同じ訓練を繰り返す。1本潜るたびに減点法で自分を評価する。出来ていないところは、どうすれば出来るようになるかを考える。

ダイビングにおける思考回路の訓練と、そこから養われる忍耐力が、仕事におけるどんな困難をも乗り越えることができる精神力を男にもたらしている。だから男は潜り続ける。

小物用器材棚。その日の海況やダイブポイントにあわせて器材を調整する(写真提供:NAGAEさん)

小物用器材棚。その日の海況やダイブポイントにあわせて器材を調整する(写真提供:NAGAEさん)

今日のダイバー

ペンネーム:NAGAE
SNS:Facebook/https://www.facebook.com/hiroyasu.nagae.54
ダイビング歴:25年/1500本
プロフィール:ダイビングは手段ではなく目的なので、日本人ダイバーのお友達はおらず、もっぱら同類の欧米人と仲良くしています

今回エッセイを送ってくださったNAGAEさん(写真提供:NAGAEさん)

今回エッセイを送ってくださったNAGAEさん(写真提供:NAGAEさん)

“男の美学”を感じる、素晴らしいエッセイですね。
これからも素敵なダイビングライフを!

ダイバーの数だけ、物語がある。
ぜひ、あなたのストーリーを聞かせてください。

「私がダイビングをする理由」というテーマで、エッセイ募集中です!

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