マンタ林典子のダイビングお悩み相談室(第6 回)

【お悩み相談室 第6回】ドライスーツの適切なウエイト量がわからなくて潜るのがしんどい!

この記事は約7分で読めます。

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こんにちは、あなたのダイビングのお悩みにお答えいたします、マンタ林典子です。

今回のお悩みはこちら。
ペンネーム「潜水マニア」さんよりいただきました「ドライスーツの適切なウエイト量がわからない」というお悩みです。

マンタ林先生。
僕はダイビングが大好きなんですが、1つ悩みがあります。
ドライスーツでウエイトはどれぐらいつけるのがいいのでしょうか?
ドライスーツで適正ウエイトで潜ると、浮いてきてしんどいです。
「ウエイトはできるだけ少なく」と習っているので、少なくした方がいいのはわかっているのですが、アルミタンクだともう地獄です。ボートダイビングだと安全停止中に浮力との戦いになります。毎回息切れして水中でもハーハーしてて、「これって逆に危ないんじゃね?」と思います。
どうしたらいいでしょうか?
ペンネーム 潜水マニア

ウエイトに関するお悩みですね。

冬になると浮力を多く含むドライスーツを着て潜ります。
さらに、インナーウエアも着て、身にまとう浮力の要素が多くなってきます。

同時に増えるのは、浮力と戦うダイバー、名付けて“浮き浮きダイバー”たち。

ダイビング中に浮き気味になると、焦ってしまってバタバタしてしまい、呼吸が乱れてさらに浮くという魔のループに!
みなさんも経験したことがありませんでしょうか?

先生も最初はよく浮き浮きダイバーになっていました。
焦れば焦るほど、全然沈まない。

!!!みんな水中で楽しそうなのに、なんで自分だけ!!!

せっかくの楽しいダイビングが浮力と戦って終わるなんて辛すぎる……
そんな浮き浮きダイバーたちのために、お答えしていきます。

ダイビングは戦うスポーツやないねん……

ダイビングは戦うスポーツやないねん……

「適正ウエイト」ってなに?

「浮くのが怖いならウエイト多くつければいいやん」という声が聞こえてきましたね。

なのではじめに、「適正ウエイト」についてお話ししましょう。

人の体は浮きます。
なので、基本的には沈むためにウエイトをつけなければいけません。

上記でも言いましたが、冬になりドライスーツに衣替えをすると、浮力が多くなり余計に沈みにくくなります。

しかし!!
水中では、「水圧」という重りが加わります!!
コイツが厄介なのです……

沈まへんからウエイトつけたのに、水中入ったら勝手に重りつけてくるってどういうことや!!と、言いたい気持ちはよくわかります。

しかも、この水圧は水深によって加わる大きさが変わるので、ますます厄介!!

かといって、水中でウエイトを「え〜い(^^)/」って陽気に捨てるなんてできません……(ウエイトは消耗品ちゃうねんぞ)。

ということで、ウエイトはただ自分が海に沈むためだけにつけるという考えだと、水中で重くて重くて動けません!という大変危険な状態(オーバーウエイト)になってしまうので、自分に合った必要最低限のウエイト量「適正ウエイト」で潜らなければいけないのです!

人それぞれ体重も違えば、器材も違います。
ということは、浮力も人それぞれ違うということになるので、自分に適したウエイト量で潜るのがダイビングの鉄則です。

適正ウエイトなのに浮くってなによ?

……では、本題です。

んじゃ、ドライスーツの適正ウエイトで潜ってんのになんで浮くんやと。聞いてないぞと。

適正ウエイトなのに浮くという方は、主に次のようなことが原因と考えます!
(元浮き浮きダイバーの先生的に)

ドライスーツ内の空気がちゃんと抜けていない

そもそも、ドライスーツのエアは全部抜けてますか?
足の空気や肩の空気はしっかり抜かないと空気が溜まったままになりがちです。

エントリー前に全部抜いておきましょう!!

インナーウエアを厚くした

冬のダイビングだと、「今日は寒いし、インナー1枚増やそうっと」ってインナーを厚くすることもしばしば。
その1枚、浮力ですよーしっかりと浮力ですよー
インナーの素材にもよりますが、衣類が増えるとウエイトも増える可能性もあることもお忘れなく……

エアの残量が減っている

空気には重さがあるので、タンク内のエアが減ると重さも減ります。
当然、ダイビングの終盤に差し掛かるとエアが少なくなっているので最初よりは浮いてきやすくなります。もうウキウキ祭り……ウキウキウォッチングです(昭和世代ならわかるはず)。
水中でウエイト量を変更することは基本的にはできないので、潜る前に準備しておかなければなりません。後半浮いてきてしまうかも…と自信がない方は、事前に一緒に潜るインストラクターに相談し、予備ウエイトの手配などを行うのがよいかと思います。

呼吸の乱れやすい状況

おそらくこれが一番盲点かなと思います。
ダイバーなら知ってると思いますが、肺も浮力の一つですよね。
ということは、呼吸が乱れていると浮きやすくなります。
水温が低すぎたり、船酔いで体調が悪かったりでも呼吸は乱れますが、特に盲点となるのは緊張です。
久しぶりのダイビング、はじめて潜るポイント、はじめて潜るメンバー、はじめて使う器材……緊張で呼吸は乱れます。
なので、緊張すると浮きやすいということになります。
そうです、適正ウエイトで問題なく潜れるようになるには、それなりのダイビングスキルと経験による慣れも必要なんです。

ということで適正ウエイトでも浮いてくるという原因は主に、スキル不足です!!!!!!!!!

スキルが上がってくると、ドライスーツやBC浮力調節も上手にできるようになりますし、状況によってウエイトを調節することもできるようになります。
そして、落ち着いて潜れるようにもなるので、呼吸も落ち着き、浮きにくくなります。

無理しないことが大事!

そんなこと言っても、そんなすぐに上手になるわけないやん!!

……ですよね。

なので、その領域にいくまでは、せめてウエイト調節をがんばるのです!!

アドバイスとして、ウエイト調節が必要となる状況をまとめるとこんな感じです。
(ほかにも原因があるかと思いますが代表的なものです)

ウエイト量の調節が必要!
ウエイトを増やしたほうがいい場合
■アルミタンクで潜る(いつもはスチールタンク)
■海で潜る(いつもは淡水)
■ドライスーツを新調した
■平均水深がいつもより浅い
■インナーウエアを普段より1−2枚増やした
■不慣れな環境で潜る(はじめてのポイント、はじめてのメンバー、はじめて使う器材など)

ウエイトを減らしたほうがいい場合
■スチールタンクで潜る(いつもはアルミタンク)
■プールや湖などの淡水で潜る
■平均水深がいつもより深い(ただし、安全停止中に浮いてくる可能性があるのでインストラクターに要相談)
■スキルが上がって落ち着いて潜れるようになり、いつものウエイト量が重く感じてきた!!!(これベスト)

以上を参考に、ウエイト量を調節するようにがんばってみてください!!
不安なら、1本目は重めにつけて様子を見て、2本目は減らすという戦法もありかと思います。
どう調節していいかわからない場合は、インストラクターに相談してみましょう。的確なアドバイスがもらえるはずです!

もちろん、ウエイトが少ないほうが、水中も楽チンやし、危険性も減るので少ないに越したことはありません。
適正ウエイトで潜れることが一番です。

がしかし、無理して浮き気味で潜ると、ダイビング中のトラブルの原因になったり、極度に疲れて全然楽しめなかったりします。

ダイビングで一番重要なのは、精神を安定させること!
沈めない沈めないと焦ってしまうぐらいなら、インストラクターの相談して、少しウエイトを増やすなど調節することも大切です。

適正ウエイト、適正ウエイトと……教科書に従うことももちろん大切や……

でも、教科書通りいかないこともあるのが人生!!!!
(恋愛もアドバイス通りにやってんのにうまくいけへん。どういうことや?)

浮いたり沈んだり、人生いろいろあるもんやん。
ダイビングも同じや、「あ?今日いい感じに潜れてる」と思う日もあれば、「ええ!今日めっちゃ浮くやん!!」ってなる日もあるんや。

人生もダイビングも、うまいこと調節して中性浮力取って生きていくんやで〜〜!!!!!!

……取り乱しました。
今回はここまで、マンタ林典子でした。

実際、全然ウキウキ♪ちゃうわ!!

浮力と戦うだけで3キロぐらい痩せた気がするのは私だけ?

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PROFILE
都市型のダイビングショップでインストラクターとして約12年務める。

コースディレクター、障害者ダイビングのインストラクターの資格も保有・活動し、現在は編集者の立場から情報を発信している。
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