マンタ林典子のダイビングお悩み相談室(第3回)

【お悩み相談室 第3回】エアの消費が早くて、周りに気を使ってしまう……

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こんにちは、あなたのダイビングのお悩みにお答えいたします、マンタ林典子です。

今回のお悩みはこちら。
ペンネーム「T男」さんよりいただきました「エアの消費が早くて、周りに気を使ってしまう……」というお悩みです。

こんにちは。
今、ダイビングやっているんですが、どれだけ潜ってもエアの消費が早く他の人に迷惑をかけてしまいます……どうしたらいいでしょうか?
ペンネーム T男

切実。
この短い文の中にいろんな想いが入っていると先生は見ました。

基本的にダイビングは
「チーム行動」

ダイビングは基本的にはチーム行動(セルフダイビングは除きます)。

なので「誰か1人だけ先に浮上する」という行為は基本的にはできません。

チーム内にガイドやインストラクターのようなプロダイバーが1名しかついていない場合は、1人でもエアが少なくなったら、チームで一緒に浮上するか、バディで浮上する場合が多いです。

このときに「自分のせいで、他の人の潜水時間が短くなってしまった……」などと考えてしまう方も多いでしょう。

エアの消費の原因はさまざま。

呼吸の乱れ、緊張、運動量、スキル不足……などなど。
年齢や体格、肺活量も原因と言われております。

「俺はスポーツ万能! ダイビングなんかちょろいぜ! かわいい女の子にかっこいいところ見せつけてやるぜ〜〜!!(心の声)」

……というような男性の方が、初めてダイビングをして、無残に打ちひしがれている姿を何度も見てきました。

先生は一応性別的には「女性」に入るので、比較的にエアの消費は少なく、この問題はあまり抱えたことがないのですが、先生が講習した男性のお客さんは、まだダイビングに慣れてないころは結構このお悩みを抱えている方が多かった気がします。

もちろん、女性の方でもエアの消費が早い方はいらっしゃいましたが、やはり肺活量と運動量の問題でどうしても男性の方がこのストレスを抱えるケースは多くなってしまいます。

エアの消費、それは男のプライドとの戦い……ともいえるかもしれません。

(注意: こちら先生の勝手な妄想なので、実際にT男さんが男のプライドと戦ってるかはわかりません)

それでは、お答えしていきます。

エアが好っきゃねん

エアが好っきゃねん

エアの消費を
少しでも抑えていこう!

エアの消費が激しくて、周りに気を使うというのはよくわかります。
まずは、シンプルに、エアの消費を抑えることから考えていきましょう!

呼吸ではなく運動量を節約するのです

無理に呼吸を止めたりして(スキップ呼吸)、エアの節約をするのは危険なので絶対やめましょう。

スキップ呼吸とは?

ダイビング中に、吸って吐くという通常の呼吸ではなく、息を止めたりすることによって途切れ途切れに呼吸すること。酸欠状態を引き起こしやすく、頭痛が出てくることが多い。

ダイビング中は、いつでも「深く、ゆっくり」というダイビングおける「通常の呼吸」を心がけましょう。

ただ、いくら通常の呼吸をしていても、陸上で激しく動くと息が切れるように、ダイビング中もたくさん動くことによって呼吸が乱れます。
呼吸が乱れることによって、エアが減りやすくなります。

ダイビング中は運動量を下げて、無駄な動きをしないようにするのです。

かくいう先生も水中で爆笑しすぎて死にかけたことがあります。
私のバディがちょっとお調子者で、水中でわざわざスーツを脱いで、生尻を見せつけてきました(よいこはマネしないでね)。

涙のマスククリアーをするほど笑ったあとに、ふと残圧計を見ると「50」。
緊急浮上です。

「え、私の人生の最後これ?」といろいろ怖くなり、浮上中も無駄な動きをせずに感情を「無」に徹し、水面に上がった時は「30」だったので、「20」の消費で上がってこれました。
(それでも残圧が「30」というのはかなり危険なのでもっと余裕を持って計画しましょう!)

無駄な動きをしないようにするためには、中性浮力の技術を磨くのも一つ。

フィンキックの方法を変えてみるのも一つ。

エアの節約をするには、「通常の呼吸」をしながら「運動量を節約」することです。

自分の空気消費量を知るのです

エアの消費を抑えるためには、やはり中性浮力のスキルをつけるということも近道ですが、T男さんの場合、文面に「どれだけ潜っても」とあるので、ダイビングのスキルで判断はできませんが、もしかしたら原因は他にあるのかもしれません。

自分の空気消費量から原因を知るというのも一つです。

空気消費量の平均値(目安)

男性:13~15ℓ以下/分
女性:10~12ℓ以下/分

毎回のダイビングで空気消費量の記録をつけておくと、その日のダイビングで起こったことから原因を追求しやすくなります。

平均値より多かったら、「なんでこんなに多いのだろう」と原因を探してみましょう。
すると、「いつもと違うバディだった」「透明度が悪かった」「水温が低かった」「浮上中に少しパニくった」など、呼吸数を増加させたストレスの原因が見えてくることによって、エア消費対策にもつながるかも?

勇気を持ってメンバーに伝え
思いっきり吸いなさい

エアの消費を抑えることを散々お話ししておいてなんですが……
まずは無理せずに、思う存分吸っちゃうのが一番いいのではないかと先生は思っています。

周りに気を使い、無理なエアの節約をしたりするのではなく、吸っちゃうのではあればもう吸ってしまえばいいのです。

ただ、一緒に潜るバディやチームのメンバー、引率のガイドやインストラクターには必ずエアの消費が早いことは伝えておきましょう。

「でも、チームに気になる女の子が……」「……バレたくない……」というプライドが邪魔してなかなか言えないという気持ちも否めません。

先生が見た講習生にも、残圧を聞いていたら、途中「150」からまったく減らなくなった摩訶不思議なエア消費の方がいたので、その場で残圧計を見たら「50」だったということがありました。気を使って嘘の申告をしていたのですね。もちろん、その場で素敵なおしおきをしておきました(秘密です)。

というような危険な事態も招きえるので、そのような感情は捨て去り、今すぐに開き直るのです。

なぜなら、そのエアに対するストレスは「呼吸の乱れ」を招きやすくなるのでさらにエアの消費を早くしてしまいます。まさに、悪循環。

快適に、なにも気を使うことなく潜るのは、チームでは難しいかもしれへん。

でも、自分が快適に潜るためにもそうやけど、「チームのため」にも自分の不安要素を申告しておくことって実は重要なんやで。
しっかり申告しておいたら、それに合わせて潜水計画を立てることができるから、みんなも安心、自分も安心。

ダイビングって、1つのダイビングをみんなでするんやで。
みんなで楽しむんやで。

自分のために、チームがある。
チームのために、自分があるんやで。

ONE FOR ALL, ALL FOR ONEやでーーーーーー!!!

……ちょっと、また変な方向になってきたので
今日はここまで。

マンタ林典子でした。

1回潜ったら、もうそれって仲間やん……

1回潜ったら……もうそれって仲間やん……

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PROFILE
都市型のダイビングショップでインストラクターとして約12年務める。

コースディレクター、障害者ダイビングのインストラクターの資格も保有・活動し、現在は編集者の立場から情報を発信している。
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