【「Dive in Japan!」vol.06:徳島県】未知の海・日和佐でタカアシガニに会いたい!(6/39)
こんにちは! 写真家のむらいさちです。
すっかり春を通り越して夏の匂いさえしてきましたね。
先日、徳島県の日和佐というポイントに潜ってきました。
日和佐がどこか分かりますか?
はい、この地図の赤いピンが示している場所です。
四国と言えば、柏島や愛南が有名ですが、黒潮の影響を大きく受ける柏島などの海とは違う、四国の東側にあるのが日和佐です。住所で言えば、徳島県美波町日和佐になります。
瀬戸内海の潮の影響も受ける日和佐の海
「四国の海は暖かい」という印象があったのですが、4月に撮影に行った日和佐は、水温13℃! これもイメージと違いました。理由は日和佐の漁師さんに教えてもらいました。ここは瀬戸内海の影響もとても受ける場所で、この時期は雪解け水が流れてくるので毎年水温も下がり、濁りも入るのだそうです。
黒潮の影響も受けますが、瀬戸内海の栄養豊富な潮の影響も受けるという独特な海域です。
それは海に入ってみるとより分かりました。
日和佐の目の前にある、大浜海岸はとても美しいビーチで、毎年ウミガメが産卵に上がる場所としても有名です。街中は古い漁師町の雰囲気が残っていて、個人的にはとてもその雰囲気が気に入りましたし、この街の景観に魅せられて移住してくる方も多いそうです。
では、海の中をご紹介していきましょう、やっぱり最初はタカアシガニですよね。
「タカアシガニ会いたい!」
「どうやら、日和佐の海はタカアシガニを狙って見られるらしい」。ほかの海ではたまに出現して話題にはなりますが、ここでは狙って見られるということで、ボートで「大磯」という、高確率でタカアシガニが見られるポイントへ向かいました。
港を出ると、切り立った断崖が続き、期待は高まるばかり。初めての海というのはいつもドキドキですね。
そもそもタカアシガニとは、世界最大のカニで、大きいものだと脚を広げると5mになるそうです。通常は水深150~800mの深海に生息し、産卵するこの時期だけ浅瀬に上がってきます。浅瀬といっても水深50mくらいなので普段のダイビングで出会うことはほとんどないのですが、日和佐では水深20mほどで見られるとのこと。
正直ふんわりにはほど遠い被写体ではありますが(笑)、やっぱり一度は自分の目で見てみたい生物ですよね。しかも世界最大という言葉にも弱いです(笑)。
しかし、そんな毎回見られるわけでもないので、一緒に潜るスタッフもちょっと緊張気味…。まあ、とりあえずエントリーしましょう!
そして、エントリーしてたったの5分、幸せの鈴の音が…。
「でかい!!!」遠目でも、すぐわかるほど大きい! それが最初の印象でした。
思った通り、じっとして逃げないので撮影開始です。
「後ろ姿もすてきです!」
なんと、今回の取材で三度タカアシガニを狙いにいったのですが、毎回見ることができました!(かなり運が良いらしいです)。
正直…、正直な話、そこまでタカアシガニには興味のなかった僕ですが、実際会うとかなり興奮しました!気づいたら1ダイブ、タカアシガニをひたすら撮影していました。
なかなか会えない生物だけに、ぜひ皆さんも機会があれば見て欲しいと思います。
例年3月20日~4月20日までの一か月間が確率が高いそうです。
動画でもどうぞ。
むらいさちが命名!「レインボーウォール」
さて、日和佐の魅力は当然タカアシガニだけではありません!
ダイビングはボートがメイン、エリアは広範囲にわたり、ポイント数も多いです。
その中で今回潜った中で特に印象に残ったポイント、「平家」と「渡りの瀬」をご紹介します。
「平家」は港からすぐのポイント。地形が面白く洞窟などもあり、生物も多いです。
洞窟の中にはネンブツダイがたくさんいて、中から撮るととてもフォトジェニック。
楽しく潜っていると、ブリーフィングの時のガイドさんの言葉を思い出しました。「トンネルの後にオーバーハングしている地形があり、そこがカラフルできれいだと私は思うのですが…」と、弱気なブリーフィングをしているのを思い出し(笑)、そこに連れて行ってもらうことに。
そして、そこで衝撃的な光景を目にすることに!
「!!!!」
それは、壁一面に小さくてカラフルなウチワと、ソフトコーラルが群生していました!
壁はとってもカラフル!!!
それは僕の大好きな風景で、この景色を見た時「日和佐好き?」と思いました。
こういう景色は他にもありますが、ここまでカラフルな光景は初めて見ました。撮影しながら「これはレインボーウォールだー」と勝手に名前まで付けていました(笑)。
その後スタッフの皆にも承認してもらい、正式にこの壁を「レインボーウォール」と皆で名付けました!
ぜひ、日和佐に行ったらこの「レインボーウォール」を撮影してみてくださいね~。とてもきれいですよ!
今回初めての場所だったのもあり、マクロ撮影はあまりしなかったのですが、探せばきっと色々な被写体に会える気がします。ただ、この時は水温が低かったので生物はまだ多くありませんでした。
夏限定のスーパーポイント「渡りの瀬」へ
日和佐の沖に「渡りの瀬」という、8月と9月にしか潜れない隠れ根のポイントがあります。今回取材ということで、漁協さんの許可を得て特別に潜ることができました!
いやー、ほんとにここはすごかった…。
日和佐のポテンシャルをビンビンと感じるポイントでした。
エントリーすると、根のトップが15mくらいで、そこから60mくらいまでズドーンと落ちています。
水深20mくらいから下は、ソフトコーラルが根の周りにびっしり!!!
ストロボだと一部しか光が当たりませんが、全部に光が回ったら超カラフルなのでしょうね。
そして、他のポイントでもちらほら見えていた、サクラダイがここではたくさん!
僕の印象では、サクラダイはあまり西日本では見かけない気がします。ここで気づいたのですが、四国にありながら海の中は伊豆の雰囲気に似ているのです。それは、瀬戸内海の潮の影響で水温がそこまで高くないのも理由だと思います。ハードコーラルはあまり見られず、ソフトコーラルがどこもモコモコ生えていました。
なんとも面白いですね、これも日和佐の魅力ですね!
ソフトコーラルを見ていると、クダゴンベさんを発見! とても大きいので越冬していますね。
水深の深いところには、2mほどある十文字トサカがありました。久々にこんな大きなのを見ました。これも手付かずの海だからですね。
とにかくカラフルな「渡りの瀬」、これから秋に向けてサクラダイが大きな群れになるそうで、この時期は小さな子どもたちがたくさんいました。
そして、なんと水深30mには大きなアーチがあるのです!
「日和佐ビッグアーチ!」
水深50mから水深20mにかかる大きなアーチがあるのです!
ソフトコーラルの森でも十分感動していたのですが、この大きなアーチに心奪われました。
出てきた言葉は「日和佐やばいよ…」。未知の海、日和佐のポテンシャルはまだまだありそうです。
とにかく感動したことを、船上でスタッフに伝えていると、「夏になるとあの根は、群れが凄くてマクロの生物を見る暇なんてないほどですよ」とそんな話を。
確かに水温が上がり、透明度も上がった「渡りの瀬」はほんとに凄いのでしょう!
僕にとって未知の海だった日和佐、来てみたらまだまだ大きなポテンシャルを秘めた海だということが分かりました。ということで、また秋に潜りに行くことを決めました!
この記事だけでも、かなり楽しい海というのは伝わったと思います。ぜひ、一度日和佐の海に足を運んでみてくださいね。
ウミガメにも会える! 日和佐の陸のご紹介
この日は、むらいのフォトセミナーと、海鮮BBQのイベントがあり、四国や関西、中国地方から多くのダイバーさんが集まって大賑わいでした! 中にはタカアシガニに会いたくて関東から来たという方もいました。
海鮮BBQでは、なんとタカアシガニの試食も!(もちろん漁協さんから購入したものです)、名物の伊勢海老やサザエもあって超贅沢なBBQでした!
今回のアイス!「道の駅日和佐」にて購入した、すだちと、桜のミックスソフトです、美味?
日和佐はウミガメの街でもあり、街を上げてウミガメを保護しています。「日和佐うみがめ博物館カレッタ」では、実際ウミガメを見ることができます。
実際このように大浜で産卵しています、というのを身をもって教えてくれたスタッフの星さん(笑)。
今回お世話になった「海と遊ぼ屋 海達」の右からオーナーの森永さん、スタッフの柚木崎さん、星さん、3人ともとても明るく、彼らと過ごした時間はすごく楽しいものでした。 そして「日和佐の海をもっと多くの人に潜ってもらいたい」と頑張っています。ぜひ、潜りに行ってみてくださいね。
海と遊ぼ屋 海達
https://umitatsu.com/
10月22日(土)、23日(日)と、日和佐×むらいさちの、水中フォトセミナー&伊勢海老BBQイベント行います! そして、この時期はクローズしているベストシーズンの「渡りの瀬」にも潜れちゃうかも! お問合せお申し込みは、「海と遊ぼ屋 海達」まで。
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