フリーフローと誤認!? 独特な使い方の古いレギュレーター
器材が故障していないのに、オーバーホール後に「フリーフローしている」というお申し出をいただくことがあります。
フリーフローと誤認される背景と理由は幾つかあるのですが、そんな事例の中からひとつピックアップして、今日は“年式の古いレギュレーター”についてご紹介したいと思います。
先日あったお申し出は以下のような内容でした。
「前回オーバーホール後、ダイビング中のフリーフローが定常的に起きるため、流量調節ネジを一番押し込んだ(渋い)状態で使用しています。今回のオーバーホールでは、現在の押し込んだ状態(圧力)を中位に持って来られるよう調整をお願い致します」
到着した器材の調整数値を確認したところ、やはり正常値範囲内でした。
問題は“2ndステージのノブの使い方“にあります。
同じくアクアラング旧機種であるクリオも同様なのですが、これらの機種は2ndステージのノブの使い方が独特です。
これは、「全開から2回転締め込む間の中で、フリーフローせず、ご自身が吸い心地がいい位置でノブを止めて使っていただく」機種です。
2回転を超えるとフリーフロー(空気が漏れ出)するのは、正常な状態です。
使い手が調整して使わないといけません。
これらの機種をご使用されているユーザーの多くはそのことをご存知なく、同様のお申し出をいただくことが多いです。
年式の古い機種なので、ファーストオーナーから譲り受けたり、ネットオークションで購入したなど、中古で手に入れられたケースが大半なのですが、取扱説明書がなく、使い方の説明を受けられる機会もないまま使っておられることが原因のようです。
これらの機種をご使用のユーザーは、ぜひご自身でノブの位置を適切に判断し、快適にご使用いただけたらと思います。
ちなみに、現在の機種は、ノブの改良がなされているため、可動域のどの位置にレバーを持ってきてもフリーフローはしません。
旧機種ならではですね。
また、フリーフローと誤認されるケースでよくあるのが、「下を向いた状態のとき、自分の呼吸のタイミングとは関係なく空気が出てくる」という現象。
これは、ダイアフラムが持ち上がりレバーを押してしまって起こる現象であるため、フリーフローではありません。
前述したマイクラADJやクリオ、旧のコンシェルフのような、特に呼吸抵抗が軽い
(重くしにくい)レギュレーターのバネがへたったときに起きやすい症状です。
もし気になるようであれば、組み上げ調整時に、座金で調整をしてバネ力を高めるようにすることが可能です(古い機種は部品が製造終了しているたm、バネ交換は不可能なのですが)。
近年の高性能な、呼吸抵抗の軽いレギュレーターも同様に、前述したような症状が起きやすいですが、性能が上がっており調整しやすくなっています。
今回ご紹介したのはほんの一例です。
器材を快適に使用するためには、器材をベストコンディションにすること以外に適切な使用方法といった知識が必要不可欠です。
ご自身が正しく使用できているかどうか自信がない場合は、ぜひ、いま一度取扱説明書に目を通してみたり、購入店やインストラクターの方に相談するなど、再度ご確認いただいた上で、安全快適にマイギアをご使用ください。