「海牛杯(ウミウシカップ)&フォトコンテスト2022」結果発表!

オーシャナ編集部・セリーナも参加した海牛杯&フォトコンテスト2022の結果発表!海牛杯の優勝を手にしたダイビングショップ、同時開催のフォトコンテストでグランプリ、準グランプリ、3位を手にした3名それぞれからコメントもいただきました!そして記事最後には、全日本ウミウシ連絡協議会の理事長・中野理枝博士からの講評も。


海牛杯 結果発表!

海牛杯は、全国8箇所の対象ショップが、2022年1月8日〜3月21日の期間内で撮影したウミウシの体色と数の合計ポイントを競うショップ対抗戦。体色ごとにポイントが決まっており、白色は7ポイント、オレンジ色は5ポイント、黒色は3ポイント、ピンク色は2ポイント、赤色は1ポイントでウミウシの数×ポイントで得ポイントを加算していく。

開催3回目を迎えた今年の海牛杯で、栄えある優勝を手にしたのは…、

237種を見つけ、15,034ポイントを獲得した静岡県・雲見のCollins DC

おめでとうございます!

Collins DCコメント
「本格的に雲見でウミウシを探し始めて6年。少しずつですが“地形ポイント”だけでなく“ウミウシポイント”として認知していただけるようになってきた最中、今年は多くの方にご参加いただき、なんと優勝をすることができてしまいました!ウミウシを探すことやたくさんの種類と出会える楽しさ、写真を撮る楽しさなど、この海牛杯を通じてスタッフ・ゲストともに再認識できた気がします。今後もウミウシダイビングの楽しさを伝え、一人でも多くウミウシダイバーを増やせるように、雲見から発信できればと思っています。来年も是非参加させていただき、王者防衛を目指してスタッフ、ゲストの皆さまと協力しつつウミウシ探しに勤しんでいきたいと思います!」

ランキング

1位 Collins DC(静岡県・雲見)合計15,034 ポイント(237種)
2位 マリンステージ串本(和歌山県)合計14,725ポイント(254種)
3位 ブルーアース21長崎(長崎県)合計9,755ポイント(96種)
4位 ダイビングショップNANA(神奈川県)合計9172ポイント(135種)
5位 アリストダイバーズ(三重県)合計4,308ポイント(99種)
6位 ダイビングショップSB(鹿児島県)合計3,347ポイント(121種)
7位 糸島ダイブベース(福岡県)合計2,816ポイント(35種)
8位 Clover Diving Service(静岡県・富戸)合計2,133ポイント(105種)

Instagramフォトコンテスト結果発表!

海牛杯と同時開催のInstagramフォトコンテスト。こちらは、海牛杯参加のショップで撮影したウミウシの写真をInstagramに指定のハッシュタグをつけて投稿するというもの。審査員はゆるふわな世界観でお馴染みの写真家のむらいさち氏で行われた。

応募総数は500件越えの中からグランプリ、準グランプリ、3位に輝いたのは…

3位 asu_chan_chanさん

asu_chan_chanさんコメント
ダイビングショップNANAのガイドさんからウミウシのことを習ったり、可愛く撮れるアングルを教えてもらったり、この日もゆっくり時間をいただき、この写真を撮れました。今までウミウシの写真は、魚や生えものなどに比べて苦手意識があったので、賞をいただけてとても嬉しいです。

むらい氏コメント
「おめでとうございます!とても小さなウミウシを頑張って捉えていますね。そして全体的に明るく、ウミウシの可愛さが表現されている作品でした」。

準グランプリ y_yoshio_oさん


y_yoshio_oさんコメント
「年々盛り上がる海牛杯。今年はフォトコン部門に賞金までつくということで、ダメもとで参加させてもらいました。選んでもらえて本当に嬉しいです。こんな可愛いウミウシをたくさん紹介してくれた、マリンステージ串本店のスタッフさんにも感謝しています。来年はさらに盛り上がって、寒い冬の海を熱くしてもらえたらいいなと思います」。

むらい氏コメント
「おめでとうございます!全体的な色合いがとても可愛いのですが、そこに行進しているウミウシの姿がさらに可愛さを増してくれています。2匹でストーリーのある作品だと思いました」。

グランプリ sa_uw2さん


sa_uw2さんコメント
「この度はグランプリに選んでいただきありがとうございました。冬の鹿児島県の与次郎ヶ浜長水路で撮影した、お気に入りの一枚だったので嬉しい結果でした。この時期は、水面を埋め尽くす海藻とアマモの群生でとても幻想的な世界が広がります。陽の差し加減とウミウシの位置の両方が整う瞬間を待っての一枚でした。この緑の不思議な空間の魅力が伝われば嬉しいです」。

むらい氏コメント
「おめでとうございます!ウミウシ単体で写しているものが多い中、周りの情景にも気を使い、作品を作られているところが素晴らしかったです。そしてこの状況でコノハミドリガイに目がいくのも海牛杯を意識していたからこそだと思います。僕が最初にコメントさせていただいた、ストーリーのある、まさにそんな作品でした」。

中野理枝博士より「海牛杯&フォトコンテスト2022」講評

ウミウシの行動生態学的知見や分類学的知見を、より多くの人々と共有することを目的としている全日本ウミウシ連絡協議会の理事長・中野理枝博士より講評いただいた。

「今年から参加したCollins DC(静岡県・雲見)と糸島ダイブベース(福岡県)の観察種数と個体数は、日本周辺の海域の特徴を雄弁に物語っていると思いました。Collins DCは初参加ながら234種もの種数を観察されました。この観察種数の多さは雲見が太平洋沿岸の黒潮の影響の強いエリアにあること、かつウミウシの好む穴(暗所)の多い地形であることが理由のひとつと考えられます。

糸島ダイブベースは、観察種数は35種と一見非常に少ないように見えますが、観察個体数は非常に多く、1ダイブで100個体を超える個体数が見られた由。これは少数の種が優占する、北の海の特徴です。太平洋側と日本海側で全く違う日本のウミウシ相をあらためておもしろいと思いました。

ダイビングショップごとに種リストを見ていくと、昨年に比べて観察種数が倍増しているショップもあれば、観察種数に推移はないものの見られるウミウシ相が半分以上入れ替わっているショップもありました。海洋におけるこのような群衆生態学的な研究はまだ非常に少ないので、複数年続けることで、よりおもしろいことが見えてくるかもしれません。今後も海牛杯が継続することを願います」。

ウミウシをいかに可愛らしく美しく撮影できるか駆使しながら楽しむダイバーとは、また違った学術的な観点からの中野博士による講評にウミウシの更なる奥深さとおもしろさを感じる。

本イベントに参加するダイビングショップSBのスタッフ・射手園(いでぞの)氏曰く、年々海牛杯の認知度が上がり、参加者も増え、ウミウシの発見種類も数も増えているとのこと。しかし今年は、新種の発見がなかったという。来年の開催も1月中旬から3月中旬を予定しており、新ルールも検討中だそう。

筆者も実際に海牛杯に参加してみたが、ウミウシファンでなくてもウミウシの魅力に気づき、好きになってしまうきっかけになるようなイベントだ。今後さらなる盛り上がりを見せる予感のする海牛杯。来年の開催も楽しみにしたい。

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PROFILE
0歳~22歳まで水泳に没頭し、日本選手権入賞や国際大会出場。新卒で電子部品メーカー(広報室)に入社。同時にダイビングも始める。次第に海やダイビングに対しての想いが強くなりすぎたため、2021年にオーシャナに転職。ライターとして、全国各地の海へ取材に行く傍ら、フリーダイビングにゼロから挑戦。1年で日本代表となり世界選手権に出場。現在はスキンダイビングインストラクターとしてマリンアクティビティツアーやスキンダイビングレッスンを開催。
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