久しぶりに伊豆を潜った越智にその海はどう映ったのか
ベストシーズンの伊豆半島!
……ということで、11月に潜り歩いたわけですが、伊豆を20年近く潜っている、今回お世話になった「ダイビングサービスむらい」の村井ちゃんにして「こんなに透明度の悪い11月の伊豆半島は初めてかも」というコンディション。
それでも楽しめるのが伊豆の海の底力というわけですが、久しぶりに伊豆半島を潜った、普段はクジラやジンベエ、サメなど、大物海洋生物を追いかけている越智カメラマンに、今回の弾丸3日間ロケを振り返ってもらいます。
―――
まず、率直に伊豆を潜った感想は?
越智
よく潜っていたのが30年前なので、懐かしかった。
報道カメラマン時代、富戸にはイルカ漁の取材に来たなぁ。
ポイントポイントで、地形のバリエーションもあり、見られる生物もそれなりに違うし、それぞれの海を管理している人たちの配慮やダイビングスタイルが違っていておもしろかった。
ガイドロープが張られ、生物の情報を伝えてくれるなど、とても潜りやすいシステムが確立していた黄金崎ビーチに対して、潜るまでよくわからない、手つかずのボートダイビングができる妻良(めら)など、同じ伊豆半島でもいろいろ違う顔が見られた。
もちろん生物や地形もだけど、海を管理する人間によってもまったく違う表情になるんだよね。
―――
どんなことを考えて撮影していましたか?
越智
伊豆の生物写真はみんな見慣れているので、プロとしてはプラスαの表現を意識して撮影した。
見つけてもらったものをただ撮るのではなく、常に考えながら撮っている。
止まっている被写体をじっくり撮れるのが伊豆撮影の良いところだというダイバーもいるけど、たからこそ、自分はもっと動き回る魚に一瞬を狙いたかった。
越智
あとは、環境を入れ込んで撮ること。
地味な背景をどう処理しよう、大きさをわかってもらうにはどうしようとか考えつつ。
他の生き物と組み合わせて、物語的な写真が撮れるのが理想かな。
越智
あとは、村井君がスレートで物語を書いて紹介してくれるので、そういう風に撮ろうとか。
↓
越智
自分が表現したい写真を撮るのと、ガイドがこう見せたいというのを瞬時に考えて撮るのとでは違う。
本当は何回も通って、ガイドと一緒にそういう作品を撮りたいなと思う。
―――
ガイドの村井ちゃんと潜ってみて
越智
人当たりがよくて、老若男女話しやすい人だなーと。
いつも笑顔でいるから、透明度悪くても、生物見られなくても、まあしょうがないなと思える。
それに、ただ人当たりがいいだけじゃなくて、伊豆での積み重ねと裏付けを感じた。
伊豆のいろいろな海をその日に決めて潜るスタイルだけど、場当たり的ではなく、しっかり情報収集をした上で潜っている。
“伊豆ガイド”というスタイルはやろうと言えば誰でもできそうな気がしてしまうけど、いろんなガイドとの交流が多く、ゲストを満足させるスキルや経験がないとなかなかできないと思う。
伊豆で長くやっている下地を感じたし、一種の才能だと思う。
―――
伊東を拠点に伊豆各地を潜るスタイルについて
越智
風が急に変わる場合もあるし、リクエストもスキルもそれぞれ。
ショップツアーだと急に変更しづらい事情もあるだろうし、そういう意味でも、都市型ショップと現地サービスの中間のようなスタイルはおもしろいね。
選択肢が多ければ多いほどいいわけだから。
可能だったら、村井君だけでなく、チームを組んでやるとさらにおもしろいかもね。
―――
最後に、今後伊豆で撮ってみたい写真は?
越智
海外の人に向けて撮ってみたい。
そういう見方をすることで、伊豆を潜ってきた人に「あ、こういう視点もあるんだ」と思ってもらえるかも。
当たり前のようにスルーされちゃっていた魚でも自分にとっては新鮮だったし、外国人が喜ぶものが”日本らしさ”のヒントになるかもね。
越智
今度は、ぜひベストのコンディションの時に潜りたいな。
何気ない写真に意図がある
地味な背景を明るくする
○ゼロのドライスーツを背景に使う
○あおって青抜きバックに
↓
大きさを伝えるために
○比較対象となる他の生物と
構図と余白で物語が生まれる
○ただ正面から撮るだけが生物写真ではない
○空間に物語や動きが生まれる
○環境の面白さを生かす
生物の特徴を強調する
○背ビレ
○ヒゲ
近さを表現
○縦位置で正面から
海をガイドしてくれたのは…
ダイビングサービスむらい
富戸のガイド16年、伊豆のガイド3年の、今年ガイド歴20年目の”むらいちゃん”。
底抜けに明るいキャラクターと、生物愛、ラブリーなスレート会話、マスク越しの笑顔で、老若男女ファンが多い。伊東を拠点に、状況に応じて、確かなガイド力で伊豆の海をナビゲート。