越智&寺山、ベストシーズンの伊豆を潜り歩いて2014秋。(第4回)

ウエット?ドライ?伊豆でのダイビングに最適なスーツの選び方

防寒対策をしてダイビングに臨む村井さんと稲生薫子(撮影:越智隆治)

秋冬は防寒対策をすれば、最もおもしろいシーズンとも言われている

四季のある伊豆半島の海を潜るとき、悩むのがスーツ選び。

「ウエットスーツなら何ミリがいいのだろう?」
「ドライスーツの方がいいのかな」

まず、伊豆のガイド歴20年目のダイビングサービスむらいの村井ちゃんが「絶対に間違っていると思うんだよね」といつも力説するのが…”夏は5ミリワンピースでOK”説。
伊豆っ子だった自分も完全に同意で、やはり、

“伊豆の海に5ミリワンピースは合わない”

が、ひとつの結論です。

7、8月の海でも冷たい二枚潮が入ってくることもありますが、夏は陸が暑いこともあって、ついワンピースで潜って、途中で寒くなることはよくあること。

ましてや、今回の11月取材でも、ワンピース+フードベストで潜っているダイバーが結構いましたが、皆さん、震えていました…。

伊豆のアオリイカの子供(撮影:越智隆治)

“大丈夫”の意味は”我慢できる”ではなく”快適”

ダイバーに、防寒に関して「その装備で大丈夫ですか?」「その装備で寒くないの?」と聞くと、「大丈夫、大丈夫」と答えます。

その”大丈夫”に込められた意味の大半は、「我慢できる」「まあ、何とかなる」でしょう。
中には、我慢することを自慢話のように語る人までいます。

しかし、ダイビングにおいて、最大のストレスが”寒さ”。

僕も学生時代は17度を切るような時でも、ツーピースとはいえ5ミリのウエットスーツで潜っていましたが(買えなかったので…)、エントリーして10分で、エグジットすることばかり楽しみになり、エグジット後のお風呂を想像してテンションを上げていました(笑)。

これでは、何のために潜っているのかわかりませんよね。

寒さを我慢するのは事故の一歩手前。

“快適に潜り、余力を残す”のがダイビングの大原則で、”大丈夫”の意味は”快適”でなければならないのです。

伊豆半島で最適なダイビングスーツとは?

では、どんなスーツが最適かということですが、個人差があるので、あくまで僕の見解ですが、まず言えることは、四季のある日本では、陸上と同じように、水中でも衣替えがあって然るべき。

少なくとも2着併用が快適に伊豆を潜るポイントです。

通年、伊豆半島を潜るダイバー

伊豆を潜ることだけを考えれば、ウエットスーツとドライスーツの併用が一般的。
5ミリの2ピース+フードベストで夏~秋、その他はドライスーツがベストだと思います。

また、ガイドがよく着ているロクハン(6.5ミリのスーツ)であれば、ウエットスーツで潜れる期間が伸び、最も水温が下がる時期(2~4月)をのぞけば快適に潜れます。

ちなみに、個人的に一番注目しているのが、「世界一温かいウエットスーツ」とも言われる、フォースエレメントのウエットスーツ「プロテウス」

わかりやすくいえば、セミドライスーツのようなもので、背中のファスナー部を開けると、中にもう一枚ネックシールがあるしかけ。

「世界一温かいウエットスーツ」とも言われる「プロテウス」

22度の海で快適に潜れ、「これは!」と感動してオーシャナでも販売することになったスーツですが、今度は、20度を切った海で7ミリを試してみようとたくらんでいます。

これで快適なら、動きやすくて温かくて言うことないですしね。

※詳細なレビューはこちら。

南の島ときどき伊豆のダイバー

難しいのが、南の島がメインで「たまには伊豆でも潜ってみたい」というスタイルのダイバー。

南の島を軸に置くダイバーは、最初に買うウエットスーツが、3ミリだったり、5ミリのワンピースだったりするのですが、やはり、本来ならウエットスーツの使い分けがベストです。

しかし、「伊豆はたまにしか潜らないし!」というのであれば、夏場に絞るか、秋にちょっと我慢して潜るしかないですね。

ちなみに、「5ミリワンピースでOK」という定説は誤解を生むとい言っているだけで、まあ、いけないこともないですし、潜った後のお風呂がすごく気持ちよかったりもするので(笑)、それはそれでありですが、やっぱり防寒バッチリでこそダイビングという気がしちゃいます(楽しさが2倍は違いますよ!)。

先日、ダイビング雑誌の伊豆付録を見ると、「夏は3ミリでもOK」みたいなことが書いてあり、マジか!と思いました、これもかなり限られた時期に、”まあ、潜れる”ってことだと思います。

■伊豆に通いたいけど、とりあえず1着しか買えない

伊豆を1着で長く潜るというのであれば、先述したロクハンがベター。
インストラクターの中には、何かと便利な通年ドライスーツの方もいますけどね。

ドライスーツがあれば
ベストの伊豆半島を体験できる

12~1月の伊豆半島は、透明度もよく、まだまだ生物も多くカラフルで、個人的には一番好きなシーズン。

多くのガイドや伊豆ダイバーに聞いても同じことを言う人が少なくないのですが、実はあまり潜られていない気がします。

一応、世界、日本中、人より多くの海を潜っていますが、ドライスーツがあるとダイビングの幅、興味の幅はかなり広がりますよ。

スコーンと抜けた冬の伊豆の海を初めて潜った時、南の島の透明度の良さとは違った、緊張感というか荘厳さに、ちょっと世界観変わりました。

余計なお世話ではありますが、ドライスーツ、ロクハン、セミドライなどなど、防寒対策をバッチリして、ぜひとも伊豆の冬も潜って欲しいと願いします。

ゼロのドライスーツを着用した稲生薫子(撮影:越智隆治)

(伊豆のガイドにも愛用者が多いゼロのドライスーツ。僕も使うことがありますが、やっぱり、自分で脱ぎ着できるのはウルトラ便利ですね。
■レビュー記事はこちら)

\メルマガ会員募集中/

週に2回、今読んで欲しいオーシャナの記事をピックアップしてお届けします♪
メールアドレスを入力して簡単登録はこちらから↓↓

writer
PROFILE
法政大学アクアダイビング時にダイビングインストラクター資格を取得。
卒業後は、ダイビング誌の編集者として世界の海を行脚。
潜ったダイビングポイントは500を超え、夢は誰よりもいろんな海を潜ること。
ダイビング入門誌副編集長を経て、「ocean+α」を立ち上げ初代編集長に。

現在、フリーランスとして、ダイバーがより安全に楽しく潜るため、新しい選択肢を提供するため、
そして、ダイビング業界で働く人が幸せになれる環境を作るために、深海に潜伏して活動中。

〇詳細プロフィール/コンタクト
https://divingman.co.jp/profile/
〇NPOプロジェクトセーフダイブ
http://safedive.or.jp/
〇問い合わせ・連絡先
teraniku@gmail.com

■著書:「スキルアップ寺子屋」、「スキルアップ寺子屋NEO」
■DVD:「絶対☆ダイビングスキル10」、「奥義☆ダイビングスキル20」
■安全ダイビング提言集
http://safedive.or.jp/journal
  • facebook
  • twitter
FOLLOW