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越智&寺山、ベストシーズンの伊豆を潜り歩いて2014秋。(第6回)

名物ダイビングガイドに訊く、マクロ生物の見つけ方閲覧無制限

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現地からレポート

ルコさんに生物の探し方を教えるむらいちゃん(撮影:越智隆治)

次々と生物を見つけるガイドの姿を見て、「か、神!」と驚いたことがあるダイバーも少なくないのではないでしょうか?

実際、「どうやったら、自分で生物を探せるようになりますか?」という質問も多い。

そこで、富戸専属で16年のガイド経験を持つ、ダイブサービスむらいの村井ちゃんに、生物探しのコツやポイントを聞いた後で、富戸・初体験のモデルのルコさんにイロカエルアンコウを探してもらいました。

ガイドが生物を探せる理由

――

村井ちゃん、ぶっちゃけ、なんでガイドは生物をあんなに早く探せるの?

村井

身も蓋もないけど、やっぱり毎日潜りこんでいるからだよ~。

自分の庭というか、部屋みたいになるまでその海を熟知しているからだよね。

――

一見散らかっているようだけど、どこに何があるか把握しているような?

村井

そうそう。
あとは、探したい生き物自体を何回も見ているので、いる場所の環境とか様子が想像できるの。

富戸だけじゃなく、いろいろな伊豆の海を潜っているけど、伊豆でよく見られる生物なら、同じように見つけられるんだよね。

富戸でイロカエルアンコウは何度も見続けてきたので、他の伊豆に行っても、あ、ここにイロカエルアンコウいそうだなーって。

――

フィールドを熟知して、さらに生物を何度も見つけたという成功体験の積み重ねでイメージを作っていく。伊豆の各地を潜るガイドスタイルができているのも、富戸で16年の”伊豆勘”みたいなのがあるからなわけだね。

じゃあ、海外の海なんかだと、急に探せなくなっちゃうの?

村井

うんうん。
初めて見るような魚だと、最初に聞かされて潜っても、イメージがわかないので見つからないこともあるよ。

でも、逆に一度見せてもらうと、次からイメージ湧くので見つけやすくなるね。

だからかどうかわからないけど、ツアーなんかは、バリのトランバンとかマブール、国内だと柏島など、伊豆のスタイルとかぶる、生物探しやマクロ撮影がおもしろい海になっちゃうのかも(笑)。

黄金崎ビーチの水中マップとルコさん(撮影:越智隆治)

安良里の黄金崎ビーチでは、海の中に持って行ける水中マップが置いてある。水中でも自分の位置や目的の場所がイメージできるのでとてもありがたい

ダイバーが生物を探すコツとは?

――

生物を探すには、イメージが大事というのはわかった。

でも、村井ちゃんのように何年も潜りこめないダイバーが、初めての潜る海でもお目当ての生物を見つけられるコツみたいなものはないのかな?

村井

潜らなくても、ある程度は、イメージ作りはできる。

例えばカエルアンコウを探したくても、知らないと見つけられない。

だから図鑑などで、こんな形して、こんな色して、こんなところにいるんだ、と頭で想像できると、探すことができると思うよ。

あとは実際に潜ってその目で確認した情報が一番。
ダンゴウオでも、一度海の中で居場所を教えてあげると、情報がわかって、次から次々と見つけられるようになる人もいるしね。

――

あと、よくガイドさんが「いると信じて探すと全然違う」と言うんだけど、そう思う?

村井

思う思う!
これもイメージを持つってことの違う言い方だと思うよ。

ゲストはやっぱりどこかガイドに見せてもらおうと意識だし、自分で探せると思っていないから、探しているようで探していないってことが多い。

ガイドとしては、まったくそれでいいんだけど、探そうと思うなら、絶対に見つかると思って探すのとそうでないのとでは、結果は違ってくると思うよ。

海底を触りヤドカリを探すむらいちゃん(撮影:越智隆治)

砂をさわさわして、大好きなヤドカリを探す村井ちゃん。なんか、鼻が…

ゲストに楽しんでもらう方法とは?

――

ちなみに、伊豆は小物探しがメインのスタイルだけど、マクロの面白さってなんだろう?

村井

マクロは行きつくところがないからね。

大物だと、前提として「出るか、出ないか」と、白か黒かのギャンブルみたいになっちゃう。

透明度も自分ではどうにもならない。

ガイドとしては、ギャンブルで負けた時が嫌で、確実に見せていって楽しんでもらいたい。

――

「楽しんでもらいたい」というところで言うと、生物にまったく興味がない人っているよね? そういう人はどうするの?

村井

マクロはいろんな深堀りができるし、物語も作れるから、興味を持ってもらえるようにスレートで伝える工夫はしているよ。

やっぱり、いた・いない、レア・レアじゃない、見つけた・見つけられなかっただけになっちゃうと「ふ~ん」ってなっちゃうし、飽きちゃう。
だから、例えば、ヤマドリは富戸に多いので、「富戸の名物だよ」というだけど、「ふ~ん」が「へ~」にちょっと変わる。

あとは、「春にしか見られないんだよ」とか「このカミソリウオ、昨日からカップルになったんだよ~。それまでは独りだったんだよ」とか。

――

なるほどー。
スレートで、生物の価値や限定感、物語を伝えたり、擬人化して親しみやすい導入にしているんだね。

村井

そうなんだよねー。そういう意味では、伊東を拠点にいろんな伊豆を潜るようになって良かったのが、車での移動時間。

伊豆の各エリアまで、30分~1時間半とかあるから、車の中で、そういう導入ができちゃう。
ほら、何が楽しいかわからないという人には、何が楽しいかの部分はある程度、導入してあげないとだからね。

前に富戸にいた時は、海で初めて会ってそのままガイド、なんてこともあったから、まったく興味も性格もスキルもわからない。

そういう意味では、移動の車の時間は貴重だし楽しい時間なんだ。

――

なるほど。ゲスト側としても、初めて会うガイドさんと、事前にある程度コミュニケーションできておくと安心だものね。

伊豆のガラスハゼ(撮影:越智隆治)

村井

あ、あと、楽しませるという意味では、やっぱり、「自分が見つけて、誰かに見せる楽しさ」って、ガイドだけでなく、それはゲストも楽しいと思うんだよね。

レアな魚を見つけたお客さん、なんか一日中楽しそうだもん(笑)。

だから、ゲーム感覚で、みんなで探してみたり、一番大切なのはゲストが喜ぶことだから、あえて、見つからなかったフリしたりね。

でも、「村井ちゃんは、生物を見つけられない」とか言われちゃうと困るから、ほどほどにね(笑)。

――

最近は、カメラが普及して、それこそ20年前とはガイドも変わったよね。

村井

そうだね。フィッシュウオッチグのブームが去り、今や、ゲストでカメラ持って来る確率は10人中9人…それ以上かな。

見つける喜びと同じく、一枚でも納得いく写真が撮れたら、ゲストは一日中楽しい。
だから、絞った生物をいかにじっくり撮らせてあげられるかが勝負だね。

――

具体的に、じっくり撮らせてあげる工夫とかあるのかな? 

村井

まずは、順番待ちさせないことが大事かも。

たまに、ふと振り返ると、順番待ちしているイントラとかいるんだけど、それで少し技量がわかっちゃうかも。

ちょっといろいろ話が飛んじゃったけど、生物を見つけるコツとしては、”事前にイメージを持って潜る”ということ。
村井ちゃん、ありがとうございました!

イメージを持っていても意外と難しい生物探し

生物探しにはイメージが大事だとわかったところで、富戸初体験のルコさんにイロカエルアンコウを探してもらいましょう。

透明度も悪く、初めてのフィールドということもあり、あらかじめイロカエルアンコウがいるとの情報がある小さな根に絞り、探してもらうことに。

まずは、じっくりイロカエルアンコウの図鑑を見つめ、大きさや以前いた場所を教えてもらい、いざ。

富戸の海でイロカエルアンコウを探すルコさん

直径2mほどの根をくまなく探すルコさん。
以前いたという根の側面に時間をかけるも、なかなか見つからず…。

村井ちゃんは、ぐるっと根をわかり、一瞬でわかった様子。

イロカエルアンコウをすぐに見つけたむらいちゃん

結局ルコさん、見つけられず時間オーバー。

「事前にイメージを持てばある程度は探せる」という証明のはずが、ド派手なオレンジのイロカエルアンコウでも見つからないなんて、「やっぱり、簡単そうで、生物探しは意外と難しいのかも」という結論に(笑)。

むらいちゃんがすぐに見つけた富戸のイロカエルアンコウ(撮影:越智隆治)

ルコさんは「以前見つかった場所にとらわれ過ぎたのかも。まさか、トップのヤギの下にいるなんて」と悔しそう。

村井ちゃんに聞くと、やはりまずは以前いた側面をのぞいたところいなくて、ふと目線を上げたら、ヤギの隙間からオレンジの尾びれがほんの少し見えたんだとか。

これも、オレンジのイロカエルアンコウをいっぱい見てきたからこそ、ヤギで隠れていても一部分だけでピンとくるのでしょう。

ということで皆さん、生物を見つけたいなら、やっぱり潜りこんでくださいね、という当たり前の結論です…。

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