越智&寺山、ベストシーズンの伊豆を潜り歩いて2014秋。(第5回)

伊豆の穴場ダイビングエリア「妻良(めら)」の新鮮な驚き

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妻良のボートダイビング(撮影:寺山英樹)

ベストシーズンの伊豆潜り歩き2日目。

初日はビーチダイビングだったので(海獣カメラマン越智隆治、滅多に潜らない伊豆でマクロ1本勝負)、2日はボートダイビング。

しかも、潜ったことがなくて、穴場的な海を潜りたいと伊豆ガイド(伊豆の特定ポイントではなく「伊豆を潜る」ガイドの価値)の村井ちゃんにリクエストすると、「だったら南伊豆の妻良(めら)に行こう!」。

確かに、現地ガイドがいない妻良(めら)は、伊豆フリークでもあまり潜ったことがない海で、伊豆の主要の海はほとんど潜っている自分も初体験です。

意外!?ダイバーが快適に潜れる施設

伊東からおよそ1時間半。
のどかな漁港の目の前にあるダイビングのクラブハウスに到着。

妻良のダイビング施設(撮影:寺山英樹)

失礼ながら、思ったより施設がいい!
その知名度の低さから、漁師さんが片手間にダイビングもさせていて、施設も残念な感じなのかなと勝手に想像していましたが、ダイバー向けにシャワーが3基、ウエットスーツのまま入れるクラブハウス、そしてすぐ目の前の港にはダイビング専用船と、ダイバーのツボがおさえられています。

妻良のダイビング施設(撮影:寺山英樹)

ウエットスーツのまま使えるクラブハウスがあるので、快適に1日を過ごすことができる

現地の窓口となっているボートダイビング海聖丸の清田聖二さんも一見怖そうですが(笑)、ハーレーとワンピース(漫画のほう)をこよなく愛する優しい兄貴。

妻良のダイビング施設(撮影:寺山英樹)

クラブハウスの横に大きな水中マップがあり、清田さんが海底の様子を教えてくれる

迫力の海岸線がそのまま水中に再現された海

妻良のボートダイビング(撮影:寺山英樹)

ダイビングボートはダイビング専用船で、足場がフラットで幅も広く、ダイバーにとっては使い勝手が良い

妻良港を出港すると、まず目を引くのが、海岸線の景観。

妻良の海岸線(撮影:越智隆治)

妻良の海岸線は、海底火山から噴出された火山灰や軽石でできた地層や洞穴が続き、見ていて飽きません。

地層を縦にぶった切るような斜めのラインはマグマの痕跡(岩脈)で、蛇が崖を横切るように見えることから「蛇下り」と呼ばれているそうです。

メインポイント「平島」へは港から5分ほど。
水深30mオーバーから立ち上がる巨大根は、水面上に少し頭を出しています。

妻良のダイビングポイント(撮影:寺山英樹)

水中は、海岸線がそのまま水中に沈んだような、切り立った迫力ある地形。
断崖絶壁の壁やV字に削れたクレバス、岩が折り重なってできたケーブなど、まさに外海の雰囲気。

潮通しもよく、”なんか出る感”をビシビシ感じます。

妻良のキンギョハナダイの群れ(撮影:越智隆治)

潮が当たる岸壁では、数は少なかったものの、キンギョハナダイが向きをそろえて群れている

妻良のヒラメ(撮影:越智隆治)

水底で休んでいた巨大なヒラメ。まるで座布団のよう

2本目は、岸壁沿いの湾状になった「グイシ」。
1本目とはうってかわって、白砂広がる穏やかなポイントです。

妻良の白砂の砂地(撮影:越智隆治)

ソフトコーラルやイソギンチャクの着く小さな根が点在し、のんびりマクロ探しがオススメ。

妻良のソフトコーラル(撮影:越智隆治)
妻良のカザリイソギンチャクエビ(撮影:越智隆治))

カザリイソギンチャクエビ

妻良のオルトマンワラエビ(撮影:越智隆治))

オルトマンワラエビ

妻良のミナミギンポ(撮影:越智隆治))

ミナミギンポ

もう一度潜りたい、穴場の海

妻良でシャワーを浴びる稲生薫子(撮影:寺山英樹)

シャワーは3基。器材洗い場、干場など、ダイバーに必要な設備は整っている

この日は透明度も悪く、特にこれといったものも出ませんでしたが、それでも水中の状況からは期待値の高さを感じました。

ボートで5分ほどで、潮通しのよい巨大根があり、穏やかな海岸線のポイントもある。
まあ、たったの1日潜っただけでは何とも言えませんが、、ポテンシャルは十分に感じられました。

ただ、ファンダイビングに明るく、定期的に潜っているガイドがいないので、事前に海の情報がなく、使い勝手のよいダイバー向けの施設があるのにあまり知られていません。

また、現地ガイドがいないので、村井ちゃんのようなダイビングショップを通じて潜るケースが多いので、セルフダイビングはせず、現地サービスを使って個人で潜っているダイバーにはなじみのない海となっています。

妻良の海は、良くも悪くも確かに穴場。

知られていなくて「もったいないな~」と思う一方、ダイバー側としては、空いているし、快適に一日を過ごせ、海もおもしろいので、ぜひまた潜りたいと思いました。

潜りたい方は、セルフで潜れるボートポイントも珍しいので、きちんと潜れる方はセルフするもよし、行きつけのショップがあればリクエストするもよし。

時に潮も速いので、落ち着いて楽しみたいのであれば、まずは、村井ちゃんのような、妻良を潜ったことのあるプロと潜るのが安心かと思います。

妻良の海岸線(撮影:越智隆治)

○協力:ボートダイビング海聖丸
○撮影:越智隆治
○モデル:稲生薫子

海をガイドしてくれたのは…
ダイビングサービスむらい

ダイビングサービスむらいの村井智臣(撮影:寺山英樹)

富戸のガイド16年、伊豆のガイド3年の、今年ガイド歴20年目の”むらいちゃん”。
底抜けに明るいキャラクターと、生物愛、ラブリーなスレート会話、マスク越しの笑顔で、老若男女ファンが多い。伊東を拠点に、状況に応じて、確かなガイド力で伊豆の海をナビゲート。

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PROFILE
法政大学アクアダイビング時にダイビングインストラクター資格を取得。
卒業後は、ダイビング誌の編集者として世界の海を行脚。
潜ったダイビングポイントは500を超え、夢は誰よりもいろんな海を潜ること。
ダイビング入門誌副編集長を経て、「ocean+α」を立ち上げ初代編集長に。

現在、フリーランスとして、ダイバーがより安全に楽しく潜るため、新しい選択肢を提供するため、
そして、ダイビング業界で働く人が幸せになれる環境を作るために、深海に潜伏して活動中。

〇詳細プロフィール/コンタクト
https://divingman.co.jp/profile/
〇NPOプロジェクトセーフダイブ
http://safedive.or.jp/
〇問い合わせ・連絡先
teraniku@gmail.com

■著書:「スキルアップ寺子屋」、「スキルアップ寺子屋NEO」
■DVD:「絶対☆ダイビングスキル10」、「奥義☆ダイビングスキル20」
■安全ダイビング提言集
http://safedive.or.jp/journal
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