アイランドサファリロイヤル号で潜る! 赤道直下のモルディブ「ガーフ環礁」(第4回)

王道コースでは味わえない魚群、大物たち ~越智カメラマンの撮影テクニックも公開!~

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船上からナイトジンベエ

船上からナイトジンベエ

モルディブの王道コースとは、南北マーレとアリ環礁を巡るサファリコースのこと。
今回のガーフ環礁までの南下コース中、この王道コースではあまり見れない、あるいは見られない魚たちについてアイランドサファリロイヤルのガイド、的場充弘(マトバ ミチヒロ)君やマウルーフに質問してみた。

まずは、ナイトジンベエ。

これはジンベエザメのメッカ、アリ環礁を巡る王道クルーズでも見られるものと思っていたが、意外や意外、ナイトでは見ることがないのだそうだ。

今回は、タア環礁で3個体、ガーフ環礁でもおっこと主のようにコバンザメを体中にくっつけた大きなジンベエが出現してくれた。

おっこと主みたいなジンベエザメ

おっこと主みたいなジンベエザメ

個人的に意外だったのは、クルーズ参加者中、ナイトで海に入ったゲストは半数のみ。

リピーターが多かったこと、夜の海が怖い、お酒を飲んじゃっている、ナイトでの撮影に対応できるカメラ装備を持っていないなどなど、いろいろ理由があるかもしれないのだけど、ナイトでジンベエ撮影できる機会もそうそうあるものではないので、自分はカメラのバッテリーがなくなるまで撮影を続けた。
入る人も少なくて、こちらとしては、正直ラッキーだったと言っていい。

装備は、ストロボではなく、水中ライトのRG Blueを2灯。
こちらの方が、母船からのライトに頼らずに、光源から少し離れたジンベエでもフォーカスが効くし、撮影もできる。

ISO 感度は6400にしていることが多かった。
カメラはCANON EOS 5D MARK3で、シャッタースピードは1/125以上で切って、ブレないようにした。

感度を6400まで上げちゃって、粒子が荒れるんじゃないの?と心配する人もいるかもしれないけど、ブレるよりかは、全然良いわけだ。

とにかく、自分はこのナイトジンベエで2夜撮影ができただけでも、大満足のクルーズだったと言っていい。

このほかにも、あまりメジャーな魚ではないのだけど、自分ではかなり好きな魚の上位に来るサバヒー。

水面近くを小群や単体で見かけることが多いのだけど、今回の群れはイスドゥームリのリーフトップで200匹くらいの群れで泳いでいた。

ギンガメアジの群れがメインのポイントだったのだけど、とにかく、一時、深場のギンガメアジを無視して、このサバヒーを追跡し続けた。

サバヒーの群れ

サバヒーの群れ

かくいうギンガメアジの群れも、王道コースではあまり群れているところを見ることは無いのだそうだが、イスドゥームリでは、数百の群れを何群か目撃。
これが一つにまとまったら、相当巨大な群れになりそうだった。

ギンガメアジの群れ

ギンガメアジの群れ

ムリカンドゥでは、大潮近くだったからか、ヒメフエダイが大きな群れを作っていた。
しかし、このヒメフエダイの群れ、どの海で見かけても、基本的に見えるけど、撮影可能な距離まで寄らせてくれることは少ないのに、なぜか、「あれ?あれれ?」と思っているうちに思いっきり群れに巻かれてしまった。
しかも、モデル絡みでも撮影できたって、地味だけど、結構珍しい。

そう思ってガイドの的場君に尋ねると、やはり普段はあまり寄れないのだそうだ。
モルジブの中でも、ここのヒメフエダイが変わっているのか?
いずれにしても王道コースではこれもなかなか体験できない群れの一つ。

ヒメフエダイの群れとルコちゃん

ヒメフエダイの群れとルコちゃん

タア環礁のグライドゥカンドゥーでの早朝ハンマー狙いでは、なんとクルーズ参加者全員が数個体のハンマーを目撃することができた。

王道コースでハンマー狙いをするラスドゥ環礁(アリ環礁北)では1年見ていなかったとのこと。

暗いし、深いし、撮影はなかなか難しいのだけど、それ以上に全員が「見れた」ことがラッキーだった。
写真は証拠写真程度で残念ではあるのだけど。

ハンマー単体

ハンマー単体

過去にも、何度かモルジブで早朝ハンマー狙いで潜った経験から、自分は何チームかに分かれたグループの中心に位置し、水深を、ハンマーを探すガイドたちより10数メートル上に位置して衛星のように全体が見渡せるように泳いだ。

この場合、運良く近くにハンマーを見つけたグループの動きによってその位置まで急潜降しやすいからだ。

ハンマーは見えなくても、ダイバーの動きでそちらに向かう。
一番手になることは難しくても、撮り逃すことは少なくなる。

間横に移動していくよりも、上から急潜降した方が、より目視してハンマーに接近する可能性は上がる。
あとは自分の泳力を信じて撮影できるまで追跡するだけだ。

この日は、そんな感じで、3回急潜行とダッシュを行った。
潜水スタイル的には危険かもしれないけど、深場を横に激しく泳ぎ続けてエアを一気に消費するよりかはいい。

このほか、ガーフ環礁のマトゥギリというサンゴの綺麗な隠れ根の南東にある水深20m〜28mのガレた砂地では、トールフィンゴビーを6個体見つけた。

最初は現地ガイドのマウルーフと一緒にそこに行き、1〜2個体見つけてくれればいいかなと思っていたのだけど、自分でも結構簡単に3個体ほど見つけることができた。

トールフィンゴビー

トールフィンゴビー

あまり寄れなくて、自分がもうあとちょっと寄りたい、というところまで寄る前に引っ込んでしまったのだけど、3箇所にマークを設置して、1個体が引っ込むと次の個体へ、そこが引っ込んだら、また次の個体へと3角形に移動して撮影ができたので、とても効率的だった。

王道コースでもトールフィンゴビーは見られるけど、これだけの個体数がいる場所はあまり聞かないとのこと。
そういう意味では、これもガーフならではと言っていいのかもしれない。

ビリギリカンドゥ(チャネル)のグレーリーフシャークの群れも、100匹近くになり、王道コースでは見られないシーンだとか。
ときには、タイガーシャークを目撃することもあるのだとか。
この時期、東からインの流れが普通だと思っていたのに、アウトになることが多く、チャネルを流すことが難しい潮が多かったのは残念だったけど、100匹以上のサメに巻かれるダイビングは壮観だった。

グレーリーフシャークの群れ

グレーリーフシャークの群れ

このほかにも、パイダーブルーサージョンフィッシュのパウダー玉だけでなく、ゴマニザ玉にも遭遇した。
これも王道ではあまり目西ない光景。

ゴマニザの群れ

ゴマニザの群れ

そして、忘れてはいけないのがサンゴの美しさ。

今回あまりサンゴポイントには行けなかったけど、ガーフ環礁では、美しいサンゴの根の上をエヴァンスアンティアスが群れ泳ぐシーンを堪能することができる。

個人的には、もっと光の差し込む明るい時間帯に、そんなポイントに潜ってみたかったんだけど、早朝に1本目か暗くなる4本目にサンゴポイントにいくことが多かったのは少し残念だったかな。

王道コースではサンゴを堪能できるポイントが本当に少ないと聞いているので、もっとサンゴをフューチャーしても良いのではと思ったりするのだけど、なかなか来ないコースなだけに、それもやはりまずは、イルカやカジキなどのお大物を見てからってことになるのかもしれない。

エヴァンスアンティアスの群れ

エヴァンスアンティアスの群れ

以上が、王道コースでは見ることができない、あるいはなかなか見られない群れや魚たちの情報です。

案外地味目? いやいや、どう捉えるかは、ダイバーである皆さん自身の感性です。

僕ははっきり言って、今回、ナイトジンベエ、サバヒーの群れ、それにヒメフエダイの群れに激寄れしただけで十分満足なサファリトリップでした。

快適なダイブクルーズでモルディブを潜る!
アイランドサファリロイヤル号の旅

アイランドサファリロイヤル号

ダイバーが一度は潜りたい、憧れの海・モルディブ。
有名な環礁をまたぎながら広い範囲で潜り倒せるのがダイビングサファリの醍醐味だ。サファリボートに乗船して5泊以上すれば、ジンベエザメとの遭遇率は90%。

その他、マンタやハンマーヘッドシャークなどの大物にも出会えるだけでなく、穏やかな海況でマクロも堪能できるのが、モルディブのダイブサファリの懐の深さ。

また、サファリボートも年々グレードが上がっており、お部屋にエアコン、トイレシャワーは完備され、快適そのもの。一度、乗船すると何度もリピートしてしまうのが、モルディブダイブサファリなのだ。

アイランドサファリロイヤル号の旅
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ガーフ環礁・スペシャルトリップ
北マーレから赤道直下「ガーフ環礁」まで南下するスペシャルクルーズ。世界最大級の環礁は、ジンベエザメやマンタ、時にはカジキやイルカなど大物遭遇率が高い。

モルディブマップ
(MAP/ Maldives@World Explorerより)

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PROFILE
慶応大学文学部人間関係学科卒業。
産経新聞写真報道局(同紙潜水取材班に所属)を経てフリーのフォトグラファー&ライターに。
以降、南の島や暖かい海などを中心に、自然環境をテーマに取材を続けている。
与那国島の海底遺跡、バハマ・ビミニ島の海に沈むアトランティス・ロード、核実験でビキニ環礁に沈められた戦艦長門、南オーストラリア でのホオジロザメ取材などの水中取材経験もある。
ダイビング経験本数5500本以上。
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