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リアル・サイドマウント体験ダイビング(第5回)

サイドマウントは1日にして成らず ~テックの世界をかじってみる~閲覧無制限

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現地からレポート

コンフィグとバランス調整が終わると、サイドマウントならではの講習体験を2日間みっちりと……。

どんなことを体験したのか、かいつまんで紹介し、最後に、講習を受けた感想をまとめます。

サイドマウント器材

くわえているセカンドステージを交換

独立したタンクにそれぞれレギュレーターがついているので、左右の重要バランスを考えて、くわえているセカンドステージを交換することの多いサイドマウント。
口からセカンドステージをはなした時に、セカンドステージからエアがフローしないように、流量調整を絞ったり、開放したり。

排気は腰の辺りのバルブで行なうのが基本

水平姿勢がデフォルトなので、排気は腰の辺りのバルブで行なうのが基本。

バディがエア系のトラブル時

バディがエア系のトラブル時は、ネックレスのセカンドステージをくわえて、首に一周してある長いホースのセカンドステージを渡す。

バックアップが基本のテック

すべてにおいて“バックアップ”が基本のテック。
お尻のあたりにフックしたポーチには、ナイフやカッターだけでなく、マスクやフック、バンジー(ゴム)、結束バンドなど、トラブルを想定したアイテムを入れておき、すぐに取り出せるようにする。

タンクが脱着可能なのも特徴

タンクが脱着可能なのも特徴。ただし、レクリエーショナルダイビングの講習では、エグジットの際に、すぐにタンクを体からはなすため”だけ”のスキルとして教えている、ということだ。

後ろに進むバックキックの練習

後ろに進むバックキックの練習。
ケーブなど一方通行の時や回転しない方がスムーズな場合に便利なだけでなく、フィンが水をとらえる感覚、フィンキックと姿勢のバランス等の感覚を磨くのにも有効なので、これはレクリエーショナルダイビングの講習でも教えているということだった。

これ得意。慣れると、泡がこんなには出ないが……

これ得意。慣れると、泡がこんなには出ないが……

最悪の場面を常に想定したトレーニングが重要なテックの世界。
レギュレーターが壊れても、タンクから直接エアを吸えれば生きて帰ってこられる。

だだし、これはあくまでケイブダイビングの上級者用のトレーニング、ということで、今回は、ちょっと遊ばせてもらっただけ。
レクリエーショナル用のサイドマウント講習には含まれない。

やっぱり、メリットをメリットとするにはデメリット克服の道を通らねばならない

2日間の、講習内容の一部を含んだ体験ダイビングを受けてみて、サイドマウント・ダイビングの世界は、どこまでも合理的で、レジャーダイビングにも生かせるメソッドがたくさんあると改めて感じた。

また、水平姿勢で泳ぐことに関しては、アジャストすることができてくると、いつも以上に快適に泳ぐことが可能。
特に、いつもは重めのラバーフィンなので、フィンに浮力があると、こんなに楽なのか、と。

ただ、「水平姿勢で最も効率よく泳ぐため」に快適なだけとも言え、全方位的な動きにおいては、率直に、タンクが2本より1本の方が、メリットがあるだろう。
実際、シングルの方が身軽だ。

そして、何より、どっと疲れた……(笑)。

2日間程度ではメリットまでたどり着くことができなかった、というのが率直な感想だ。

やはり、これまでのダイビングとはまったく異なるスタイルなので、覚えることが盛りだくさん。

例えば、メリットであるはずのタンクの脱着も、すべて手探りで行なうので、なかなかフックをBCにかけることができない。
つまり、最初のうちはデメリットでしかない。

また、バディがエア切れの際、ホースが長いこと、独立した呼吸源があることのメリットはとても大きいが、「え~と、今くわえているセカンドはメインだから……」「とりあえず、自分がくわえているセカンドの空気流量をしぼって……」などなど、頭が混乱して2日間では“自分のものになった”感触は得られず。

メリットを感じるには、身に着けている器材を手足のように扱えるようになることが前提で、一応、インストラクターでダイビング歴20年以上の自分でも、正規の講習をちゃんと終了し、その後にさらに経験を積むことが必要だろう。

サーフィンで「ショートボードの方が小回り効いて楽しいよ!」と言われても、そんなこと言われても「た、立てない……」みたいな感じかな。

タンク脱着

また、田原さんが再三言っていたように、「慣れた、シングルタンクを背負うダイビングでよくない?」とツッコミも常にある。

ケーブ・ダイビングなど、効率よく水平に進むことが必要で、2つの呼吸源があるメリットが大きい場面ではとても有効で、「メキシコのセノーテで潜ってみたい!」なんて夢を持つダイバーにはピッタリだろう。

ちなみに、僕は浮上できないケーブで、潜りたいと思ったことは一度もない(笑)。
しかし、ダイビングの追求、自己鍛錬という意味では興味はある。

田原さんのおっしゃることは、ダイビング自体に関しては、合理的でツッコミどころは一ミリもなく、自分との違いがあるとすれば、哲学の部分でないだろうか。

究極のツボを作ることに命をかけ、少しでも納得がいかない焼き上がりならその場で叩き割る職人と、考えずにマニュアル通りのツボを量産して売ろうという商売人との違いとでもいうような。

もちろん、職人が田原さんで、ツボは命にかかわらないが、ダイビングは命にかかわるので、安易なマニュアル化と量販はいかんぞ、というのが言わんとすることだと推察する。

ただ、自分の場合、ダイビングの世界ですごく稼いでいる人にも興味があり、ビジネスが先に来る人たちの思考もおもしろく、かっこいいと思うこともある。
また、職人とビジネスの折衷案もある気がしないでもない。

本来、マニュアルとはレベリングしつつ、効果的にマーケットを拡大する役割を果たすもので、ファーストフード店のようにはいかない分野ではあるが、使い方を間違わなければ有効だろう。

まあ、水中でのたたずまいがかっこいいは圧倒的に職人ですが……。

水中姿勢のコントロール

いずれにせよ、新しいスタイルを体験することは、理屈抜きに、新鮮で楽しいこと。
レジャーダイビングにもそのメソッドは活かせるし、直接的に取り入れる流れもある。

サイドマウントのメリット・デメリットをきちんと理解していれば、あとは、必要性がある、ただやってみたい、トレーニングのためにやる、などなど何でも自由だし、新たなアドベンチャーダイビングの魅力に気づく扉となるかもしれない。

ぜひ、トライしてみて欲しい。

こういう新しい分野ではさまざまな視点がある。
Cカード取得当時にそのショップ、イントラがすべてであったようにこの分野の自分の視野が広いとは言えない。

今回の連載内容に対して、「もっとこういう視点があるよ」でもいいし、異論・反論であっても大歓迎だ。
ぜひ、話を聞いてみたい。

最後に、田原さんは「宣伝しなくていい!」と言うのだが、フィリピンパブもある夜の街でお酒をおごっていただいた身としては(笑)、ぜひ、興味がある方は、田原さんの講習を受けてみてください、と言っておきます。

いや、これはおべっかでも癒着でもなく(いや、ちょっと癒着? 笑)、ダイバーとしてのレベルアップにつながるはずだ。

写真だと、マッチョでおっかない印象を受けるかもしれないが、大好きなラテンのおねーちゃんには、頼み事があれば、即座に土下座できる柔軟性とオープンマインドな、素敵な本物のダイバーです。

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