新スタイルで潜るガラパゴス ~関戸紀倫が愛する「共に生きる」世界遺産~(第6回)

ガラパゴス諸島の陸の魅力~共に生きている命の数々~

第5回は海の魅力をお伝えしてきました。

今回は海も陸も楽しめる「リゾートステイ」ならではの、陸の魅力をご紹介いたします。

第1回リゾートステイで楽しむガラパゴス ~世界遺産の陸も海も楽しむ新スタイル~でもお伝えしたように、ガラパゴス諸島の楽しみ方は、昔から「クルーズ船に乗ること」が主流で、ダイビングもダイブクルーズが主な楽しみ方でした。

クルーズというくらいだから、ダイビング後はクルーズ船の上で過ごす事が多く、せっかくのガラパゴス諸島の陸の自然を100%に楽しめないのが欠点でした。
裏を返せば、リゾートステイの魅力はアフターダイビングの過ごし方が様々にあるということですよね。

夕暮れ時の光を狙って撮る海イグアナ

夕暮れ時の光を狙って撮る海イグアナ

日差しの強いガラパゴスでは、夕暮れ時の撮影がベスト!
オススメ撮影スポット3

せっかくなので、じっくりとガラパゴスの人気固有種である「海イグアナ」を写真に残してみては??
イザベラ島のイグアナ撮影時のオススメは二箇所。

まず1つめのオススメは、リゾートからビーチに向かう途中のイグアナのコロニー。

イグアナのコロニーがあり、そこには多くのガラパゴス海イグアナが溶岩の上に生息していて、優しく近寄れば逃げないし、気軽に写真が撮れます。
日中は日差しが強すぎて暑いし、撮影にあたっては光が強すぎるので、夕暮れ時に来て優しいオレンジがかった光がイグアナに当たっているのを狙うのが良いと思います。
個人的には、恐らく、人でも動物でも写真を撮るなら“夕暮れ時の光”が一番綺麗な時だと思います。
赤道直下に位置するガラパゴス諸島は日がかなり強く、日中は特に強烈です。
海イグアナはこの強烈な太陽の暑さを“うまく利用”しながら生活しています。

波打ち際に群がる海イグアナのコロニー

波打ち際に群がる海イグアナのコロニー

うまく利用って?と思いますよね。
海イグアナの主食は栄養分が豊富な海藻。
基本的には波打ち際に海藻が多いのですが、波打ち際の岩場から潜って食べて、30メートル以上潜って海藻を探しに行く子もいるようです。

以前お話ししたようにガラパゴス周辺の海域は複雑で、水温はとても冷たく、イグアナやアシカも海に入っていられる時間には限界があります。
食事が終わったら岸にあるコロニーに戻ってきて、ガラパゴス諸島特有の真っ黒な溶岩の上で日向ぼっこをして、下がった体温を太陽が上から直接体を温めます。
太陽の熱を十分に吸収して暖かくなった溶岩が、下からお腹を温めて一気に体温を上げながら効率よく休憩をしてまた潜りに行く、という作業を繰り返しています。
どうですか?だいぶ効率的ではありませんか?

気軽に一緒に写真が撮れるアシカだが「距離感」は忘れないでほしい

気軽に一緒に写真が撮れるアシカだが「距離感」は忘れないでほしい

2つ目のオススメの撮影は海イグアナの子供。

ビーチの方へ向かっていくと桟橋があって、その桟橋の先端には昔はバーがあったんですが、取材時に足を運んだ時は廃墟になっていて、今ではベイビーイグアナちゃん達のお気に入りの場所となっていました。

人間が作り出した人工物を、人間が使い終わってもそのままイグアナに残してあげている(ただお金がなくて壊せないだけだったりして(笑))、これも人間と動物の共生に繋がるんじゃないかなー、なんて思っています。

バーだった廃墟に住み着く海イグアナの子供

バーだった廃墟に住み着く海イグアナの子供

観光客が寝ている横を通過する海イグアナ

観光客が寝ている横を通過する海イグアナ

溶岩の上にいるイグアナというシチュエーションはガラパゴス諸島では日常に見られる光景。
こんな新しい写真を求めたい方はオススメのポイントです!

3つ目のオススメはフラミンゴ。

イグアナが移動しているビーチをお散歩した後は、町に足を伸ばしてみるのもいいかも!
町の中には小さな汽水域(淡水と海水が混ざった池)があってそこにはフラミンゴが餌を求めて毎日やってきます。
町は小さいので見所はあまりないですがこの汽水域は町の真ん中にあるのでオススメです。

町の中にある汽水域にいるフラミンゴ

町の中にある汽水域にいるフラミンゴ

一番のオススメは「Muro de las lagrimas(涙の壁)」。

涙の壁は町から8kmくらい離れたところにあるのですが、道中にはガラパゴスゾウガメが普通に歩いていたり、イグアナのコロニーや、溶岩流が作りあげた洞窟や、マングローブから出る淡水でマングローブに囲まれたプライベート感満載の秘境などがあります。
全部回ると1日かかってしまうので時間に合わせてダイビングサービスScubadragonのスタッフがプランを考えてくれます。

”涙の壁”への道中で見られるガラパゴスゾウガメ

”涙の壁”への道中で見られるガラパゴスゾウガメ

溶岩流が自然に作り上げた空洞

溶岩流が自然に作り上げた空洞

アフターダイビングで町に行く場合は、リゾートから少し距離があるので、行きはタクシーで帰りは途中で降ろしてもらい、ビーチを歩きながらお散歩して帰って来るというコースがいいかもしれません。

涙の壁にはちょっと悲しいストーリーがあるのですが、みなさんにちょっとでもガラパゴスの歴史に触れていただけたらなーと思います。
涙の壁の悲しいストーリーは、今度のツアーまで秘密にしておきますね。

イザベラ島の町の外れにある涙の壁

イザベラ島の町の外れにある涙の壁

陸の楽しみ方はまだまだありますが、南米エクアドルの美しい文化にも触れていただきたいです。
島の人はみんな優しいし、愉快!
そして特に日本人が大好きです。
取材時にタクシーに乗った時も「どこから来たんですか?」とドライバーに聞かれ「日本!」と答えると「おー!ジャパン!トヨタ大好き!」「日本の車は本当に安心して乗れるよ!」と、ベタ褒めされたのが記憶に新しい(笑)

人形を燃やす!?
ちょっと風変わりなエクアドルの年越し

取材の時はちょうど年末に行っていたので、年越しはイザベラ島で過ごしました。
エクアドルでは少し珍しい年越しをします。

一番火が上がっていた運転手付きバスの模型

一番火が上がっていた運転手付きバスの模型

12月31日、ダイビングから帰ってきて町に買い物に行くと、なにやらいろんな有名アニメキャラクターなど人の形をした大きな人形が道のど真ん中に置いてありました。
大きいもので3~4mくらいはありましたねー。
「これはなんかきっとイベントがあるなー」と、珍しく(?)年越しを起きて迎えようと決意(笑)

年越し前に町にでて、「カンパーイ!」とともに年を越します。
すると町全体が明るくなり、見てみると昼間飾ってあった人形が着火!
ガソリンをかけて激しく燃やしている人もいました(笑)

町を回ってみると、各家の前にある人形は激しく燃えていて、いろんなタイプの人形が道路で燃えていて・・・これはこれでなんだか神秘的。

これらの催しは、伝統的なエクアドルの年越しで、何かその年に起きた悪いことや嫌なことをその人形を作る時に思いを込めて「来年はいい年になりますよーに!」「そのことが二度と起きないよーに!」と願いを込めて燃やすらしいです。

日本では見られない、ローカルな文化を楽しむのもリゾートステイの楽しみの一つですね!

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PROFILE
1988年7月6日生まれ
東京にフランス人の父、日本人の母の間に生まれる。生まれて間もなくフランスのパリに移りフランス人として成長し10年。父は写真家、ダイビングインストラクター。
小さい時から父にフィリピン、タイ、ガラパゴス諸島など自然豊かな場所に連れて行ってもらい、いつの間にか自然が大好きになる。時が経ち2010年にダイビングを始め2011年から沖縄でダイビングインストラクターとして活動。2013年からオーストラリアのダイビングクルーズ船にて働くことになりそこで船内販売用に写真を撮る。今度は撮った写真をソーシャルネットワークにも載せたりするようになり友達に『世界にはこんな場所がある!こんな海がある!』などと紹介するのが楽しくなる。2014年10月にクルーズ船の仕事を終え帰国前にオーストラリアを一周することに決め念願の一眼レフを手に入れ放浪。 現在は、自然写真家として水中写真をメインに世界中を撮影し活躍中。
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