新スタイルで潜るガラパゴス ~関戸紀倫が愛する「共に生きる」世界遺産~(第4回)

「親父と一緒に住んだ記憶はない、でも親父の作ったものは残したい」 自然写真家・関戸紀倫インタビュー

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前回の取材時に、久しぶりに一緒に写真に収まった

前回の取材時に、久しぶりに一緒に写真に収まった

人と生き物の共生をテーマにしたガラパゴス連載。

第4弾は、今連載の編集を担当しています稲生が、「作者・関戸紀倫を探る」ということで、筆を取らせていただきました。

紀倫さんと初めて会ったのは実はトンガ・ババウの空港(本人覚えているかな・笑)
私はトンガ・ホエールスイムのスペシャルトリップのスタッフとしてババウの空港にゲストのお出迎えに行っていて、紀倫さんは私たちのゲストと同じ飛行機で別の撮影担当としてババウに来たタイミングでした。

実はそれが1年前なのか2年前なのか重要な部分を忘れてしまったのですが(笑)、そこからたまにと言っても奇跡に近いくらいたまに会って、いつか一緒に仕事したいねなんて話をしていたら、本当に機会に恵まれ、同世代と一緒に仕事ができて正直に嬉しく思っています。

とは言ったものの、いざ打ち合わせするとガラパゴスに関してはもちろんのこと、紀倫さんとももはや初めましての領域で、話をすればするほど魅力が溢れてきました。

今回は、そんな紀倫さん自身について、またガラパゴスにハマったきっかけ、この連載や自分の写真を通して伝えたいことなどを伺ってみました。

ガラパゴスにハマったきっかけは親父です
紀倫さんと父親の意外な関係

紀倫さん

実は、親父と一緒に暮らした記憶、ないんですよね

ガラパゴスにハマったきっかけは、お父さんに連れられてガラパゴスに訪れたことと聞いていた私は、一緒に暮らしたことがないと聞きびっくり。

紀倫さん

父は、世界中を年がら年中旅をしていたので、一緒に暮らした記憶はないです。

それでも素直に会話はできるんですか?

紀倫さん

普通に面と向かって話しますよ。

やはり恥ずかしかったり、遠慮したりしますか?

紀倫さん

恥ずかしい話はあまりないですが、そういう話があったら晩酌好きな親父ですのでお酒の席で話します。

どんな方ですか?

紀倫さん

とにかくTHEフランス人という感じで物事はハッキリと言う性格で、物事に対しては人一倍積極的でとにかくマグロのように何かをしていないと機能が停止する程、落ち着きがない人です(笑)。

父とダイビングをしたときに撮影

父とダイビングをしたときに撮影

一緒に住んでいなくても、ダイビングをはじめたきっかけは父親だったのですか?

紀倫さん

父がダイビングインストラクターで僕が13歳の時に来日した時に式根島へ行った時、初めてダイビングに連れて行ってもらいました。

その中でもガラパゴスに行ったきっかけ、あるいは興味を持った理由は何だったのですか?

紀倫さん

最初にガラパゴスに行った時は4歳位、それから成長とともに何回か父親と訪れるようになり、今では僕の第三の故郷みたいな場所です。
どこの国と比べても、動物と人間との距離が近いと思ったのが印象に残り、そんなガラパゴス諸島に興味を持つようになりました。

水中で初めてアシカと遊んだのはイザベラ島で、16歳の時。

水中で初めてアシカと遊んだのはイザベラ島で、16歳の時。

一緒にダイビングをした経験とか、エピソードはありますか?

紀倫さん

ガラパゴスでオープンウォーターコースを父親に行ってもらい海洋実習は全て終わらせたものの、当時16歳で英語がまだ全くできなかった僕は、学科講習ができなかった印象が大きいです。
それ以外は親父のガイドのアシスタントで潜ることが多かったですね。
今はまるでライバルかな!?
同じ写真家であり、親父ではありますが、やはり撮りたい瞬間は僕と違うので、お互いにカメラを持って潜ると、水中で「こっち行こう」「いやこっちだ!」と口論(?)ハンドシグナルで喧嘩(?)となってしまうため、なるべくは一緒には潜りません(笑)

え~もったいない!せっかく一緒に潜れるのに!
うちは父がカナヅチなので、天と地がひっくり返っても叶わないかも・・・(笑)
ところで、紀倫さんのお父さんって、フランス人ですよね?
普段は何語で会話するんですか?

紀倫さん

フランス語ですね、父は日本語を喋りません。

ということは、もちろん紀倫さん、フランス語話せるんですよね?

紀倫さん

ファーストランゲージは日本語でその他にフランス語と英語です。

お父さん繋がりで聞くと、ガラパゴスにあるショップについてどう思いますか?

紀倫さん

日本ダイバーがよく話す「ガラパゴス行ってみたーい」「ガラパゴスは死ぬまでに行きたい」「ガラパゴスは夢のまた夢」みたいなコメントをいっぱい聞いてきているので、父がやっとの思いで建てたショップはそんな日本人の方に利用していただき、ガラパゴスをより近い存在にしたい!とはずっと思っていました。

Scubadragon Dive Center & Tres Palmas Eco Lodge

Scubadragon Dive Center & Tres Palmas Eco Lodge

こちらのショップはいつできたのですか?

紀倫さん

2011年だったと思います。曖昧ですいません。
ショップと宿泊施設が一か所にあり、ここから港までは1分なので、そこからボートに乗ってダイビングに出かけます。

どんなところをこだわって作ったとか聞いた事ありますか?

紀倫さん

基礎以外は親父が大工さんと一緒にコツコツ作り上げました。ほぼ親父が作ったみたいなものです。親父が気に入っているのは、溶岩一面の庭をそのまま残して「火山島」を意識したところのようです。

全然関係ないですが、ガラパゴスって虫多いですか?

紀倫さん

そういえば、イグアナとかアシカが目立つので、虫は特に気にしなかったですが、やはり暑いところなのでハエは少し印象に残っています。

コテージは全部で4部屋で最大10名滞在可能

コテージは全部で4部屋で最大10名滞在可能

一番伝えたいことは、人と生き物が共に生きているということ

紀倫さん

ガラパゴスに何回か訪れてふと気づいた事がありました。
それは人間と動物が協力し合って生きている光景です。

協力とは具体的にどんなことですか?

紀倫さん

例えば人間が作った桟橋はアシカは休憩所や日向ぼっこに使います。
いらなくなった桟橋があってもアシカのために残しておいたり。

デッキに寝そべっているアシカとかって触ってもよいんですか?

紀倫さん

基本的に野生動物を触るのは良くないですね。
それは危害を加える加えないとか言う問題ではなく、あくまで動物に対しての「尊敬」で逆にいきなり知らない人に人間が触られるのと一緒。
また、アシカなどの母親は子供を匂いで区別します。
そこで触ってもし人間の匂いがしたら母親は「自分の子ではない」と判断してしまい、育てなくなってしまいますので、動物には触ってはいけないのです。

ガラパゴスには様々な動物が生きていて、特に印象があったのがアシカと人間は海のある生活がガラパゴスでは必要ということで、互いに一定の距離を保っていること。
地元の子供達もそれを理解していて、動物たちとうまく距離をとりながら遊んだり、動物も人間に危害を与えずに人間を受け入れていることです。
このガラパゴス諸島の「人と動物の共生」をもっと世界中の人に見てもらい、動物虐待などがなくなり世界中の生き物が仲良く共生できればと思います。

この島で一番好奇心旺盛な動物、ガラパゴスアシカ

この島で一番好奇心旺盛な動物、ガラパゴスアシカ

ガラパゴスで1番お気に入りのダイビングポイントと、陸のポイントはどこですか?

紀倫さん

一番のお気に入りポイントはイザベラ島の「4 Hermanos」です。
ここは魚影もかなり濃くてマンタやハンマーも高確率で狙えます。
地形もかなり面白く、水中アーチなど地形派にもオススメです。
陸では夕暮れ時にイグアナに囲まれながらイグアナの美しい表情を写真に収めること!

4 Hermanosの地形を泳ぐ大きなネムリブカ

4 Hermanosの地形を泳ぐ大きなネムリブカ

ところで、カメラマンを目指したきっかけって聞いてもいいですか?

紀倫さん

ダイビングのガイドとして沖縄やオーストラリアで活動時に、ショップのブログに写真を投稿するためにカメラを水中で持っていた事が多く、写真が段々好きになりその写真をソーシャルネットワークの場を借りて友達などに見せた時に「すげー」「綺麗」「行ってみたい」などのコメントをいただき、今度はこの世界中の海の素晴らしさ、地球が作り出すその地その地の美しいアートや、自然が生み出す一瞬一瞬の絶景などを、世界中の人に写真という素晴らしい表現力で紹介できたらと思ったのが始まりです。

もしカメラマンになっていなかったら、何になっていたと思います?

紀倫さん

なんですかね?(笑)
ダイビングのインストラクターとして世界中の海をガイドし続けてたと思います!

ビーチを人間と動物がシェアする光景はガラパゴスならでは

ビーチを人間と動物がシェアする光景はガラパゴスならでは

これから撮ってみたい生物や海はありますか?

紀倫さん

海は広いので行きたいところは多いいですが、シャチなどを撮ってみたいですね!

シャチいいですね!
将来ガラパゴスに住みたいと思いますか?

紀倫さん

僕の写真家としてのコンセプトがまだ決まっていないのでなんとも言えませんが親父が作ったものはどうにか形にして残してあげたいと思っております。
「何処」はありませんが、海辺で自然が豊富な静かなところでコンプレッサーとタンクを準備して1日の始まりは潜りに行ってから。みたいな生活が夢かもです。笑

最後に、ガラパゴスのリゾートステイの魅力を今一度教えてください。

紀倫さん

ガラパゴス諸島でのダイビングスタイルは「クルーズ船」でリラックスして3歩歩けばエントリーできるお姫様ダイブ。もちろんクルーズはクルーズなりに面白いのですが、リゾートステイの魅力といえば「アフターダイビング」をどう楽しむか。クルーズでは味わえない自由に行けるアシカやイグアナ、ペンギンと一緒に泳げるシュノーケル。
好きにイザベラ島のゾウガメ、イグアナ、アシカ、ペンギン、鳥類が辺り一面にいる大自然を満喫できます。
ぜひ訪れて欲しいと思っています!

島全域で観れる海イグアナ

島全域で観れる海イグアナ

紀倫さん、ありがとうございました!

なんだか楽しくなってしまって・・・とりとめもなくいろいろと聞いてしまい、すみません(笑)

人と生き物が共に生きている姿をテーマにした今ガラパゴス連載「共に生きる」は、全8~9回を予定しています。
リゾートステイの魅力は、海だけでなく、陸も楽しめるということ。
未開の地、ガラパゴスを少しでも身近に感じて、この連載が訪れるきっかけとなれば、とても嬉しいです。

自然写真家・関戸紀倫による「ガラパゴストリップ説明会」開催 ~オーストラリア西海岸情報も!~

日時 2016年8月21日(日) 17:00~20:00
場所 渋谷umicafe
地図
費用 2,000円
※軽食・ドリンクは飲み放題
ご予約 お問い合わせフォーム、もしくは下記番号にお電話にてお申込みください(予約が無いとご入場いただけません)
電話番号 03-6415-8633(ダイブナビ渋谷駅前店)
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PROFILE
成蹊大学文学部国際文化学科卒業。
ナレーター、司会、ダイビング・モデルとして、TV、雑誌、モーターショー、トークショーなどで活躍。宝くじのキャンペーンガール「幸運の女神」では、46都道府県を旅する。

2013年からは、大物運・海況運をつかさどる「海の女神」へと転身し、舞台を海に変えてオーシャナの突撃体験レポートを担当。
潜水士資格も取得し、2014年は伊豆大島復興観光大使「ミス椿の女王」として、伊豆大島をはじめとした被災地復興支援活動にも尽力する。

「ダイビングがきっかけで、物の見方も感じ方も生き方も180度変わり、自分の周りまでもキラキラ輝き出したことを実感。 
いろんなことを体験しながら、たくさんの“きっかけ”を届けていきたいです」

【経歴】
・第25期 日本テレビイベントコンパニオン
・第11~12期 スバルスターズ
・第33期 宝くじ「幸運の女神」
・第23代 ミス椿の女王(2014.2~)
・第29代「ミス熱海・桜娘」(2016.1~)
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