新スタイルで潜るガラパゴス ~関戸紀倫が愛する「共に生きる」世界遺産~(第1回)

リゾートステイで楽しむガラパゴス ~世界遺産の陸も海も楽しむ新スタイル~

新スタイルで潜るガラパゴス ~関戸紀倫が愛する「共に生きる」世界遺産~

ダイバー憧れの海「ガラパゴス諸島」

ガラパゴス 関戸 紀倫(せきと きりん)

イザベラの港。昔は船着場となっていたが、現在はアシカの溜まり場となっている

はじめまして。
この度、ガラパゴス連載を執筆することになりました関戸紀倫(せきときりん)です。

昔から父によく連れて行ってもらったガラパゴス諸島。
僕にとっては第3の故郷かも!? 

僕がよく知る、未だに知られていない本当のガラパゴスの楽しみ方を少しでも皆さんにお届けできればと思います。

皆さんにとって、“夢のまた夢”となりがちであるガラパゴス諸島ですが、「位置すらよく知られていない」というのが現実ではないでしょうか。

「どこの国?」「アフリカだっけ?」などの声を聞くこともしばしば。

ガラパゴスは南米・エクアドルから西に1,000km沖合の赤道直下に位置していて、簡単に言えば日本のほぼ反対側にある小さな島々。

“どこにあるのかわからない”って、無理もないですよね。

そんなガラパゴス、「ダーウィンの進化論」で世界的に知られていて、1978年には第一号世界遺産として登録され、2001年には海自体も「ガラパゴス海洋保護区」となった世界遺産の島。

ガラパゴス 関戸 紀倫(せきと きりん)

イザベラ島のゾウガメ飼育下繁殖所にて撮影したガラパゴスゾウガメ

今や世界中から、多くの観光客が年中来島しており(2015年には22万4855人)、観光ビジネスで毎年大忙しなうえ、宿泊予約も困難な地としても名を連ね始めています。

ガラパゴスはここ!

ガラパゴス

僕がリゾートステイを選ぶわけ

ダイバーは、ガラパゴスといえば、ダイブクルーズというイメージがあるかもしれませんが、個人的には、21世紀のガラパゴスは、クルーズ旅行ではなく、リゾートステイがオススメだと思っています。

その理由はというと……。

ガラパゴスでリゾートステイを選ぶ理由
その1:リーズナブル

まず、ダイバーのガラパゴスの旅行スタイルは、クルーズに乗るか、陸にあるリゾートにステイし毎朝ダイビングに出かけるかの2つに分かれます。

主流はクルーズ。

一時は、大小合わせ80以上のもクルーズ船が存在していたほど、ガラパゴスの旅はクルーズ船で島々を回るスタイルが人気なのです。

それは今でも変わらなく、クルーズ船には、日帰りのものや、3泊4日で島を巡るクルーズ、一週間島を巡るクルーズとさまざま。

しかし、年々、各クルーズの値上がり競争があり、今では100万円越えのクルーズツアーも多いのが現実。

距離の問題から、日本からガラパゴスまでの飛行機代が高いのは理解ができるし、おそらく人生に一度しか行けないような場所だからツアー料金が高いのも仕方がない。
とはいえ、いくらなんでも3桁の100万円越えと聞くと、正直ビビりますよね……。

ガラパゴス 関戸 紀倫(せきと きりん)

クルーズ船を眺める(!?)海イグアナ

ガラパゴスでリゾートステイを選ぶ理由
その2:陸の観光も楽しんでほしい

正直に言って、ダイビングクルーズはダイビングがメインのツアーとなっているので、陸の観光はあまり楽しめません(上陸しないですからね)。

お金にも時間にも余裕がある方はクルーズ船でゆっくりするプランでも良いと思いますが、僕みたいに冒険心が溢れるタイプは、クルーズ船でシャンパンを持って夕日を眺めるタイプではなく、常にそこの文化、自然に触れ合い、行動し続けたいもの。

ガラパゴス 関戸 紀倫(せきと きりん)

海イグアナの子供達の目に映るのは

僕の意見はこう。

「せっかく地球のほぼ反対側まで来ているので、思う存分“陸も海”も楽しもうじゃないか!」

もちろん海もオススメですが、なんといってもアフターダイビングでも十分楽しむことのできる陸がオススメ。

のちの連載で詳しくご紹介しますが、町の裏にある汽水域(淡水と海水が混ざった池)ではフラミンゴが見られたり、リゾートの椅子はアシカに占領されていたり(笑)、イグアナを踏まないように避けながらマングローブを散歩したり、町から西へ3km続くビーチでは求愛ダンスで有名なアオアシカツオドリが観察できたり、港のすぐ横のスノーケルができるラグーンでは、アシカやペンギン、運が良ければ海イグアナと泳げちゃう穴場だってあるんです!

ガラパゴス 関戸 紀倫(せきと きりん)

アシカに高確率で会える港すぐ横のスノーケルポイント(Concha y Perla)

もう、クルーズ船に乗りっぱなしで陸に降りられないなんて、僕には考えられません!

リゾートステイのツアーは
8日間か11日間から選択可能

最短ツアーは8日間でサンタクルス島滞在かイザベラ島滞在が選べます。

一方、11日間のツアーはサンタクルス島とイザベラ島の両方を楽しめるスタイルで、僕のオススメは断然こちら。

サンタクルス島はガラパゴスのスタート地点であり、多くの観光客で行き交う場所。
年々町も観光化されていて、ガラパゴスの自然を楽しむには町のプエルト・アヨラから少し離れなければいけません。

ガラパゴス 関戸 紀倫(せきと きりん)

各島へプエルト・アヨラの港から船が出ているので、港は常に観光客で大賑わい。気軽に自然を楽しむには少し物足りないかも。

言い換えれば、サンタクルスは必ず通過しなければいけない街。
ローカルレストランやお土産吟味をはじめ、必然とダーウィン研究所だって観光できてしまいます。

一方、イザベラ島は、年々観光客が増えているものの昔ながらの町並みが残っている小さな町。

ガラパゴスは火山島ですが、その中でも6つの火山があるイザベラ島は、一番若くて一番大きい島、かつ、最も火山の数が多い島なのです。
イザベラ島で最近噴火した火山はウォルフといい、2015年5月に噴火しています。

1日のツアーにはなってしまいますが、僕が宿泊したリゾートのオーナーは事前に伝えておけば火口を巡るツアーも開催してくれ、贅沢にも、町の裏にある火山の火口へは乗馬しながら行くことができるのです。

僕も2006年に来島した時に噴火火口の100m付近まで行ったのですが、2005年に噴火したばかりだったこともあって、まだマグマの熱気が出ていてとても熱かったことを記憶しています。

そんなガラパゴスは、諸島全体の約97%は国立公園で、残りの約3%は島民の居住区や農地などとなっています。

ガラパゴスは保護団体によって厳しく守られており、他の国では味わえないような大自然が海の中も陸も味わえます。

ガラパゴス 関戸 紀倫(せきと きりん)

イザベラ島の町から7km位西に行った”涙の壁”付近の展望台は360度の絶景パノラマポイントでイザベラ島の自然が一望できる

連載を通してみなさんに知ってもらいたいのは、ガラパゴスは“陸ありきの海”だということ。

魅力的なガラパゴスのクルーズスタイルを覆す、リゾートステイで楽しむガラパゴスのさらなる魅力を、海と陸の両側面から伝えていきたいと思っています。

どうぞ、よろしくお願いします!

ガラパゴス 関戸 紀倫(せきと きりん)

島では普通にどこでも見られるガラパゴス固有種の海イグアナ

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PROFILE
1988年7月6日生まれ
東京にフランス人の父、日本人の母の間に生まれる。生まれて間もなくフランスのパリに移りフランス人として成長し10年。父は写真家、ダイビングインストラクター。
小さい時から父にフィリピン、タイ、ガラパゴス諸島など自然豊かな場所に連れて行ってもらい、いつの間にか自然が大好きになる。時が経ち2010年にダイビングを始め2011年から沖縄でダイビングインストラクターとして活動。2013年からオーストラリアのダイビングクルーズ船にて働くことになりそこで船内販売用に写真を撮る。今度は撮った写真をソーシャルネットワークにも載せたりするようになり友達に『世界にはこんな場所がある!こんな海がある!』などと紹介するのが楽しくなる。2014年10月にクルーズ船の仕事を終え帰国前にオーストラリアを一周することに決め念願の一眼レフを手に入れ放浪。 現在は、自然写真家として水中写真をメインに世界中を撮影し活躍中。
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