新スタイルで潜るガラパゴス ~関戸紀倫が愛する「共に生きる」世界遺産~(第5回)

アシカとマンタとハンマーヘッドシャークがコラボする海 ~ガラパゴスの海の魅力第二弾~

この記事は約7分で読めます。

ガラパゴス

マンタとアシカの夢のコラボレーション

第4回のルコちゃんのインタビューに引き続き、第5回はガラパゴスの海の魅力パート2です。
海の良さは本当に多すぎて書ききれないので、僕が個人的に「これはいい!」と印象に残ったエピソードをいくつかお伝えしたいと思います。

一番印象に残っているのは、ガラパゴスアシカとマンタのコラボ!

どこの海でも味わえないコラボレーションが観られるのが、ガラパゴスの海では多かった。

ガラパゴス諸島全域に生息するガラパゴスアシカは、カリフォルニアアシカの仲間で、島に約5万頭いるとも言われている。
そんなガラパゴスアシカは、陸では当たり前に観測できることは以前からお伝えしていますが、実は、好奇心おう盛なアシカちゃんは、海の中でもダイバーに寄ってきて、一緒に遊んでくれるんです!

こんな非日常とも思える光景も、ガラパゴスでは日常。

実際、ダイビング中ずーっと僕の周りを泳いでいたりしていた印象があります。

イザベラ島のダイビングポイント「4 Hermanos(4兄弟)」という、火山島が4つあるポイントでは(島の周りにもいくつかダイビングポイントがある)、特にアシカが多かった。

ガラパゴス

4Hermanosではダイビング中ずっとついてきたガラパゴスアシカ

アシカダイビングを楽しんでいたら、贅沢にも突然マンタまで現れた!

急いでファインダーをのぞいて、マンタを撮影しようとしたら・・・、なんとガラパゴスアシカが横から「俺も入れて〜」と言うような感じでポーズを取り、写真に写り込んできた(笑)

その後も、そんなシーンは何度か訪れて、このようなアシカとマンタのコラボレーションの一枚が完成した。

先ほども言ったように、ダイビングの序盤から終盤までガラパゴスアシカが周りを泳ぎながらついてくることが多かったので、皆さんもガラパゴスに来たらただでさえ珍しいアシカと、何か別の生物の奇跡的はコラボレーションが撮れちゃうかも!?

ガラパゴス

まるで「撮って〜」と言わんばかりにポーズまで

マンタとアシカだけでは終わらない!
今度は、ハンマーとカメのコラボ!

Tortuga Island(トルトゥーガ島はスペイン語でカメの意味)ではその名の通りカメがかなり多く、これまた贅沢なことにハンマーヘッドやガラパゴスシャークまでもが多かった。

ガラパゴス

ハンマーヘッドとアオウミガメのコラボレーション

偶然というかなんというか、ハンマーだけを撮りたくても、アオウミガメが一緒に写っていたりする贅沢も味わった。

昔、親父もガイドをしていた時、トルトゥーガ島での水面休息中にシャチに出くわしたことがあり、急いでフィンとマスクを装着してカメラ持って飛び込んで、シャチの綺麗な姿の撮影に成功したらしい。

なので、親父に対抗して(!?)、次はシャチと何かのコラボレーションでも狙ってみようと思う。

水中で突然真っ暗!黒い影の正体とは!?

太陽ガンガンの快晴の日の、トルトゥーガ島での出来事。

カメが多いこの島では、ついついカメにカメラを向けてしまうことが多かったが、ハンマーやマンタの大物が出る可能性も高確率であるので、ときどき沖の方を見たりしてカメラを構えていた。

そして、その出来事は一瞬で訪れた。
快晴の日だったが、ドリフトで流されながらカメを撮影していると、いきなり辺りが暗くなった。

ん? なんだ??と、ちょっとテンパり気味になってしまった僕。
「えー!?これ、魚っ!?(少し驚きすぎじゃないですか?と思いますよね・笑)」

落ち着いてよく見てみると、やはり魚の群れで、500匹以上はいたであろうペリカンバラクーダの群れであった。

ガラパゴス

500匹はいたであろう、ペリカンバラクーダの群れ

思わずカメさんに「ごめんね~、また遊ぼうね~」と告げ、気持ちを切り替えて猛ダッシュ。
いろんな角度からバラクーダの群れを撮影しようとさらにダーッシュ!
気がついたら、500匹ほどのバラクーダに囲まれていた。

360度バラクーダ・・・。

口がポカーンってなってレギュレータが外れそうになった。
群れはいろんなところで見たけれど、ここの数は正直ハンパなかった。。。

でも、うーん。
逆に曇っていたら気付かなかったのかなー?とか思うとすごくゾッとしますね(笑)
あれだけの群れをカメラマンとして逃すのはさすがにちょっと・・・。
晴れていてよかったと正直ホッとしていました。

サンタクルス島の人気ポイント「Gordon Rocks」のハンマーは世界的にも高確率!

サンタクルス島は、世界的にも有名な上級者向けのダイブサイト。
現地ガイドが言うには「ハンマーが見られなかったら運悪い」とブリーフィングで言うくらい、ハンマーヘッドに当たる確率が高い。

そんな高確率でハンマーが見られるとのことで、かなり楽しみにしていた。
Gordon Rocksはサンタクルス島の北から沖に少し行ったところにあり、大きな岩が二つ、水深35mくらいまで落ちていて、岩と岩の間は潮通しがよく、魚影が濃い。
水底は砂地で、ハンマーの大好きな獲物が潜んでいる。

ガラパゴス

Yellow Tailed Grunts 東太平洋海嶺に生息するイサキの仲間

ご存知の方もいるとは思うが、ハンマーヘッドシャーク(シュモクザメ)は頭がトンカチ(正確には鐘や鉦(和楽器)を打ち鳴らす丁字形の撞木(しゅもく)のような頭の形をしていることから「撞木鮫」と呼ばれている)のような形をしていて、トンカチの先には目、そしてこのトンカチのような部分にはロレンチーニ器官と呼ばれる微弱な電気を感知する器官がある。

他のサメもこの機能を持っているが、ハンマーヘッドはその機能が特に発達したことで、あのトンカチ型になったと一説にはいわれている。

したがって、他のサメよりも、生物が出す微量の電気をサメ界ではトップクラスでキャッチできるのだ。

そんなハンマーは、左右に大きくゆらゆらと泳ぐのが特徴で、あれはまさにロレンチーニ器官が働いていて、水底に潜む生物をまるでソナーのように探している。
そのため、このポイントの水底にはハンマーの好物であるエイや甲殻類が豊富で、それによりハンマーも多いのだ。

早速、エントリーして一気に水底付近へ潜降し、限られた時間でハンマーを探す。
ガラパゴスでは、水深20mくらいからサーモクライン(水中と水面付近の水温が極端に変化するとその境目がわかる現象)が当たり前のように起きるが、それが邪魔をして一気に透明度が下がるし、何といっても水が冷たい!

水底付近に着くと、まず目に飛び込んできたのは水底にびっしり生息する巨大チンアナゴ。

ガラパゴス

サンタクルス島北部は砂地に巨大チンアナゴがビッシリだった

すると、すぐにハンマーを6匹くらい確認、予想通り水底を優雅に泳いでいた。

ガラパゴス

水底を泳ぐハンマーヘッドシャーク

中には体長が小さな子供もいたので、おそらく家族のグループだろう。
撮影に夢中になっていると、ガイドのアレックスが指示棒でタンクをカンカンカンと叩き、ゲストを呼んでいた。

見上げてみると、ガラパゴスシャークとカマストガリザメがいた。

近づいてみるとほとんどが散ってしまったが、しばらくすると1匹だけやたら寄ったり離れたりしてきて、去った。

その後はしばらく水深15mあたりを、なんとなーく沖の方を意識しながら泳いた。

すると、さっきのカマストガリザメが一気にこっちにやってきて、自分から2m位の距離になったとこでUターンして去っていった。
ものすごい傷がついていたので、「あっ!さっきの子だ!」とすぐにわかった。

ガラパゴス カマストガリザメ

僕に興味があったのか?沖の方から僕に向かって来た時の一枚(カマストガリザメ)

他にもここのポイントでは、マダラトビエイやマンタ、ネムリブカ、バラクーダの群れやキングエンジェルフィッシュがダイビング中に目立った。
さらに、水面休息時にはシュノーケルでガラパゴスオットセイと泳げ、船上からはバードウォッチングを楽しめるポイントとなっていた。

ガラパゴス

Gordon Rocksで水面休息時にシュノーケルで撮影したガラパゴスオットセイ

ガラパゴス

東太平洋海嶺にしかいないKing Angelfishの群れ

ハンマーに、マダラトビエイ、マンタ、ネムリブカ、バラクーダの群れやキングエンジェルフィッシュ、そして、オットセイ。
ここのポイントが世界中から人気を寄せている理由がわかった。

シーズンによっては、ハンマーリバーも見られるらしい。

計り知れないほどの面白さを放つ、ガラパゴスの海。
日帰りのトリップでこのダイビングはやはり“さすがガラパゴス諸島!”って感じでしたね。

自然写真家・関戸紀倫による「ガラパゴストリップ説明会」開催 ~オーストラリア西海岸情報も!~

日時 2016年8月21日(日) 17:00~20:00
場所 渋谷umicafe
地図
費用 2,000円
※軽食・ドリンクは飲み放題
ご予約 お問い合わせフォーム、もしくは下記番号にお電話にてお申込みください(予約が無いとご入場いただけません)
電話番号 03-6415-8633(ダイブナビ渋谷駅前店)
\メルマガ会員募集中/

週に2回、今読んで欲しいオーシャナの記事をピックアップしてお届けします♪
メールアドレスを入力して簡単登録はこちらから↓↓

writer
PROFILE
1988年7月6日生まれ
東京にフランス人の父、日本人の母の間に生まれる。生まれて間もなくフランスのパリに移りフランス人として成長し10年。父は写真家、ダイビングインストラクター。
小さい時から父にフィリピン、タイ、ガラパゴス諸島など自然豊かな場所に連れて行ってもらい、いつの間にか自然が大好きになる。時が経ち2010年にダイビングを始め2011年から沖縄でダイビングインストラクターとして活動。2013年からオーストラリアのダイビングクルーズ船にて働くことになりそこで船内販売用に写真を撮る。今度は撮った写真をソーシャルネットワークにも載せたりするようになり友達に『世界にはこんな場所がある!こんな海がある!』などと紹介するのが楽しくなる。2014年10月にクルーズ船の仕事を終え帰国前にオーストラリアを一周することに決め念願の一眼レフを手に入れ放浪。 現在は、自然写真家として水中写真をメインに世界中を撮影し活躍中。
  • facebook
  • Instagram
FOLLOW