新スタイルで潜るガラパゴス ~関戸紀倫が愛する「共に生きる」世界遺産~(第7回)

アフターダイビングはペンギンと泳げる!? イザベラ島のアフターダイビングの過ごし方

ガラパゴス諸島のリゾートステイの魅力を伝えてきているこの連載企画、早くも第7回目を迎えました。
「ガラパゴス諸島の行き方」「海の魅力」「陸の魅力」などを伝えてきましたが、まだまだ他にも魅力がたくさんあります。

今回はアフターダイビングでできるシュノーケルの魅力をお伝えします!

シュノーケルポイント”Concha y perla”で見られるガラパゴスアシカ

シュノーケルポイント”Concha y perla”で見られるガラパゴスアシカ

「ダイビングを1日楽しんだ後にリゾートに帰ってきたものの、まだ海で遊び足りない」
「シュノーケルでも行こうかな?なんて思ってもポイントまでが遠い」

ダイビングの旅行で、こんなことを感じたことはありませんか?

ガラパゴスのリゾートステイでオススメしているイザベラ島なら、そんな願いが簡単に叶ってしまうんです!
ダイブセンターから港方面へ歩いていく途中、港の手前に「Concha y perla」というシュノーケルができるラグーンがあります。
ここに行くまでの間は、マングローブに囲まれたウッドデッキの道を進むのですが、途中途中に海イグアナやアシカなどが寝ているので、それらの動物たちをうまく避けながら歩く必要があるくらい海洋生物が生活圏に存在しています。

ウッドデッキの上で寝ている海イグアナを踏まないように移動する観光客

ウッドデッキの上で寝ている海イグアナを踏まないように移動する観光客

このスノーケリングポイントはタイドプールなのですが、自然に作られた溶岩の防波堤が外洋から来る波の侵入を防ぎ、いつでも穏やなので、地元の子供達にも大人気の天然のスイミングプールみたいになっています。

飛び込みを楽しむのもよし!気持ち良く泳ぐのもよし!シュノーケルするのもよし!大きなカメラを持って入って好きなだけ写真を撮るのもよし!
撮影するなら、是非ともワイドスタイルで行っていただきたいと思います。

地元の子供達にも人気の穴場スノーケリングポイント

地元の子供達にも人気の穴場スノーケリングポイント

アシカがタイドプールで遊んでいるのは日常の事で、ほかにも大きなマダラエイ、マダラトビエイ、タイマイ、アオウミガメ、ガラパゴスペンギン、海イグアナなどなど、見られる生物は多いです。

また、タイドプールはすり鉢状になっていて、真ん中の深場は水深約12m。
以前はバラクーダの群れをも見たこともあり、めちゃくちゃオススメのポイントです。
大物が多いガラパゴス諸島は、タイドプールの中だって人を魅了させる力を持っています。

好奇心おう盛なアシカちゃん

好奇心おう盛なアシカちゃん

また、水深3mくらいには溶岩流でできた長さ10mくらいの水中水路があるのですが、その中にはマダラエイが寝ていたり、アシカが通り抜けたり、素潜りに自信ある方は水中生物と同じく通り抜けできちゃたりします。
水面にも溶岩流でできた水路があって、イグアナが溶岩の上で日向ぼっこをしているのが見られたり、また、マングローブの間を泳いだりするのはかなり面白いです。

良い写真を撮りたいのであれば、夕暮れ前くらいの弱めの明るさの時を狙って入ると、マングローブの間から入り込む光のシャワーが綺麗に撮影できます。

夕時はマングローブの間からシャワーの様に光が差し込む

夕時はマングローブの間からシャワーの様に光が差し込む

港付近で泳いでいたアシカとかくれんぼ

港付近で泳いでいたアシカとかくれんぼ

このタイドプール、日中は人気スポットとして賑わうので、誰もいない朝一に訪れるのがおすすめ。
写真も自由に撮れるし、アシカだって独り占めして遊ぶことができます。

日中は観光客や地元の人で賑わうスポット

日中は観光客や地元の人で賑わうスポット

他にも、港のすぐ横にあるビーチでは、アシカとペンギンがかなりの確率で見られます。
僕が行った2015年12月頃はちょうど港の周りに小魚がいっぱい群れていて、その群れを狙ってガラパゴスペンギンやアシカで大賑わいでした。

アオアシカツオドリがミサイルのように水面に突っ込んでいく姿や、イグアナが水面を泳いでいる様子、大きなペリカンが散歩している姿など、港にいるだけで軽く2~3時間は過ぎてしまいます。

港付近のビーチに多く見られるガラパゴスペンギン

港付近のビーチに多く見られるガラパゴスペンギン

ペリカン、ペンギン、イグアナ、アシカがいっぱいいた港横のビーチ

ペリカン、ペンギン、イグアナ、アシカがいっぱいいた港横のビーチ

ガラパゴスのペンギンは大きく口を開けて冷たい風を吸い込む?
暑い環境でガラパゴスペンギンが生活できる理由

「赤道直下のガラパゴス諸島にペンギン?」と思いがちの方が多いのではないでしょうか。

ガラパゴスペンギンは名前の通りガラパゴスにしか生息しない種で、暖かいところでも生きられる珍しいペンギンです。
第2回 3つの海流が作り上げた摩訶不思議な海 ~ガラパゴスのダイビングの魅力~でもお伝えしましたが、ペンギンが生きていける条件が、ガラパゴスの複雑な海流によって揃っているのです。
ガラパゴスの水面は20度~22度くらいと比較的冷たく、ペンギンにはちょうどいい環境。

またペンギン自体も独自の進化を遂げ、陸にいるときは自分で血管を広げたり、大きく口を開けて海流によって冷やされた冷たい風を吸い込んで体温を下げたりして調整しています。

小魚などを追っていたガラパゴスペンギン

小魚などを追っていたガラパゴスペンギン

ペンギンは、群れを作ってイワシやイサキなどの小さな魚をうまく囲んで捕食しています。
追われた小魚は姿を隠すために岸に集まり、その魚を食べにペンギンが集まり、それ故に、港やラグーン周辺でペンギンはよく見られるのです。
ただ、環境汚染や、今年海に大打撃をもたらした“エルニーニョ現象”によって絶滅危惧種にも認定されている生体でもあります。

エルニーニョ現象の原因は未だに解明されておらず、世界中でもかなり深刻な問題となっています。
実際に、2015年12月に訪れた時も1997年以来ぶりのエルニーニョ現象の年で、水温も例年より5~6度高かったのが印象的。

その時は、アシカがいつもより海の中でよく遊ぶなー!と思っていたのですが、もしかしたらこれも水温が上昇したことによって、アシカが水中に居られる時間が増えたから喜んで遊んでいたのかも。

気軽にガラパゴス諸島でアシカやペンギンと泳げるのは、イザベラ島ならではの楽しみで、これはリゾートステイの大きな魅力の一つだと感じています。
ぜひ訪れた際には体験してもらいたいアフターダイビングの大イベントです!

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PROFILE
1988年7月6日生まれ
東京にフランス人の父、日本人の母の間に生まれる。生まれて間もなくフランスのパリに移りフランス人として成長し10年。父は写真家、ダイビングインストラクター。
小さい時から父にフィリピン、タイ、ガラパゴス諸島など自然豊かな場所に連れて行ってもらい、いつの間にか自然が大好きになる。時が経ち2010年にダイビングを始め2011年から沖縄でダイビングインストラクターとして活動。2013年からオーストラリアのダイビングクルーズ船にて働くことになりそこで船内販売用に写真を撮る。今度は撮った写真をソーシャルネットワークにも載せたりするようになり友達に『世界にはこんな場所がある!こんな海がある!』などと紹介するのが楽しくなる。2014年10月にクルーズ船の仕事を終え帰国前にオーストラリアを一周することに決め念願の一眼レフを手に入れ放浪。 現在は、自然写真家として水中写真をメインに世界中を撮影し活躍中。
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