地味魚でも卵はまるで宝石!クジメの卵、その後の成長は?城ヶ島「梶の浜ビーチ」の見どころも紹介

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こんにちは。水中カメラマンの堀口和重です。
私が1月に書いた記事で、クジメの“美しい卵”をご紹介をしました。

その後もずっと気になっていたので、三浦半島の城ヶ島「梶の浜ビーチ」へ再び向かうことに。

前回もお世話になったseazoo miuraの戸井田静さんにガイドしていただき、撮影をしてきました。

クジメの卵のその後

以前ご紹介した卵ですが、時間も少し経ったということもあり、無事に孵化したようです。

その後は、大時化で飛ばされたりすることもあったようですが、また他の場所でも卵が見つかり、現在はその卵たちに稚魚の目が出ているところまで成長していました。

卵の中に稚魚の目が見える(撮影/堀口和重)

卵の中に稚魚の目が見える(撮影/堀口和重)

目の出た卵以外にも、現在、別の2ヵ所で卵が確認できています。

以前ご紹介したクジメの卵は紫色や水色でしたが、今回は別の色、黄色です。

水色や紫の卵にはその美しさに惚れ込みましたが、こちらもまた素晴らしい色合いです。

前回の記事でも書きましたが、産み落とされた日数により卵の色が変わってくるそうなので、この黄色も期間限定ですね。

そんな美しい卵の横では、クジメの親がダイバーに動じずに、卵をひたすら見守っている姿が見られました。

卵を見守るオスのクジメ(撮影/堀口和重)

卵を見守るオスのクジメ(撮影/堀口和重)

黄金色に輝く美しい卵(撮影/堀口和重)

黄金色に輝く美しい卵(撮影/堀口和重)

エントリーが楽チンな
梶の浜ビーチ

クジメの卵もまだまだ見られるのですが、「梶の浜ビーチ」の見どころはこの卵だけではありません。

実はこのポイントは、生き物たちが豊富でとてもおもしろいので、今回はそちらもご紹介していきたいと思います。

タンクを背負い、少しの距離を歩くとすぐにエントリー口にたどり着ける、快適なビーチポイント。

スロープを降りてもそこまで深くないので、波やうねりの影響が少ない日は軽器材の脱着もしやすいです。

エントリーして、テンションの上がるダイバーたち(撮影/堀口和重)

エントリーして、テンションの上がるダイバーたち(撮影/堀口和重)

このポイントは全体的に浅い場所なので、講習ダイバーなども多く活用しています。

逆に言えば、ファンダイビングとしては穴場であり、先ほども言ったように浅場のポイントなので、フィッシュウオッチング派やフォット派のダイバーはのんびりと潜ることが可能です。

海中の森

海の中は今の時期、海藻類が多く生え、そこを住処に隠れる生き物が多くいます。

大人気のダンゴウオも、今の時期ならエントリーしてすぐに出会えます。
きれいなワカメも生えており、ワイドでも楽しめるポイントです。

エントリー口から少し泳ぐと出会えるダンゴウオ。3月現在は稚魚も多い(撮影/堀口和重)

エントリー口から少し泳ぐと出会えるダンゴウオ。3月現在は稚魚も多い(撮影/堀口和重)

三浦半島の名物でもあるワカメ(撮影/堀口和重)

三浦半島の名物でもあるワカメ(撮影/堀口和重)

隠れている生き物を探せ

海藻の茂みに目を凝らしてみると、探せば探すほど擬態上手な生き物が出てくるのです。

カジメ類に巻き付き隠れているタツノオトシゴは、日本のダイビングポイントではトップクラスの個体数と言ってもいいくらい、たくさん見られます。

個体数がかなり多いタツノオトシゴ(撮影/堀口和重)

個体数がかなり多いタツノオトシゴ(撮影/堀口和重)

また、小さいものになるとまるで“糸くず”のような細さのコモンイトギンポの幼魚も、「梶の浜ビーチ」でよく見かける生き物のひとつです。

コモンイトギンポの幼魚(撮影/堀口和重)

コモンイトギンポの幼魚(撮影/堀口和重)

お昼休みも楽しみのひとつ

ちなみにワカメですが、今年は水温が高かった影響もあり、例年に比べると生えが少ないようです。

収穫にも影響しているようで、早ければ2月頭には収穫が始まるのですが、今年は育ちが少ないためかなり遅く、今月15日にやっと収穫ができるようになったそう。

そんな貴重なワカメですが、城ヶ島ダイビングセンターのすぐ近くにある食堂・梅一では、城ヶ島のおいしいワカメラーメンが食べられます。

お昼にはラーメンと地元の味のワカメで、体も気持ちも温まります。

薄味のラーメンですが、ワカメの風味が効いて食感も良いのでお勧めです。(撮影/堀口和重)

薄味のラーメンですが、ワカメの風味が効いて食感も良いのでお勧めです。(撮影/堀口和重)

まだまだ紹介しきれないくらい、「梶の浜ビーチ」にはたくさんの隠れ上手な生き物たちがいます。

さらに今週月曜日(3/18)には、スペシャルな生き物のアンコウも出ちゃったようで……とにかく驚かされています!

次の週末はどこに潜りに行こうかなと悩んでいたら、今が旬のダンゴウオからアンコウ、さらにはワカメ!?、と幅広く楽しめる城ヶ島「梶の浜ビーチ」をぜひリストアップしてみてください。

きっと楽しい週末になると思いますよ。

堀口和重さん
プロフィール

horiguchi_profile

伊豆の大瀬崎にある大瀬館マリンサービスにチーフインストラクターガイドとして勤務後、2018年4月にプロのカメラマンに転向。
現在は伊豆を拠点に水中撮影から漁風景や海産物の加工まで海に関わる物の撮影を行っている。
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▶堀口さんのFacebookはこちら

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PROFILE
日本を拠点に活動している⽔中カメラマン。カメラマンになる以前はダイビングガイドをしながら数々のフォトコンテストで⼊賞。現在はダイビング・アウトドア・アクアリストなどに関連する雑誌やウェブサイト、新聞などに記事や写真を掲載、水中生物の図鑑や教書にも写真提供している。2019年に日本政府観光局(JNTO)主催の“「⽇本の海」⽔中フォトコンテスト 2019”にて審査委員、2020年には“第28回 大瀬崎カレンダーフォトコンテスト”の特別審査員も務める。近年は訪⽇ダイビングツーリズム促進を⽬的として“NPO 法⼈ Japan Diving Experience”としての活動も⾏っている。
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