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SDGsの観点からダイビング業界の未来を語る〜対談:株式会社クレアン代表・薗田綾子×オーシャナ代表・河本雄太[後編]閲覧無制限

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What’s SDGs
「Sustainable Development Goals」の略称。2015年の国連サミットで採択された、2030年までに達成すべき持続可能な世界的開発目標のこと。17のゴールと、それらを達成するための具体的な169のターゲットで構成され、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを宣誓している。

オーシャナ代表の河本雄太(以下、河本が、ダイバーに限らず、「海」がライフスタイルとしてある人には、SDGsに注目してもらいたいとの想いから、テーマに沿ったゲストをお招きする対談企画。前編に引き続き「ジェンダー平等」の視点から、株式会社クレアン代表の薗田綾子氏(以下、薗田)に語っていただいた。

寄り添いながら向き合い、
その人の個性を引き出す

河本:薗田さんのように、女性というのは少なからず、育ってきた環境やご両親の影響とかもあるんですかね?

薗田:うちの母は、自ら道を切り拓いて来た人だったかもしれません。祖父が早く亡くなったこともあり、母が一家を支えなくてはいけない状況だったんです。22歳で甲子園球場の側に今のコンビニエンスストアのはしりのような店を持って、幼い弟と妹を育て、休みもなく働いていました。私も小さいころから、そんな母の姿を見てきましたからね、かなり影響は受けていると思います。「自分のことは自分で決めなさい」というのは常に言われていましたから。小さなところで言えば、一回も宿題しなさいとか言われたり、朝起こされたことも無かったです。いま思うと、すべて自分の責任で決めることを教えられていました。

河本:理想のロールモデルとして母親の存在があったのは大きいですね。そうでない方は、急に薗田さんのような生き方をしろと言われてもなかなか難しいと思います。だけどこの新型コロナ禍で、女性からのダイビングインストラクター採用の応募が結構増えたです。それって、自分の人生を構築する決断は自分でする、という女性が増えてきたんでしょうか?

薗田:そうだと思います!このように大きな変化が起こると、「今までの生き方で良かったのかな?」って一瞬立ち止まりますもんね。結婚や離婚、転職が増えるのも同じ理由なのかと。

河本:そうなんですよね。だから、せっかく入ってこようという方たちを、僕らダイビング業界はどんな準備をして向かい入れるべきなのかって。

薗田:先ほどの話に立ち返りますが、やはり余計なバイアスを捨てることは重要だと思います。

河本:どういうことですか!?

薗田:男性や女性で分けるとかではなく、個性として一人ひとりと向き合うということです。「得意分野はどこなのか」、「苦手なことは何なのか」、「この人は何をやったら伸びるのか」、その中にLGBTの方も入ってくるかもしれないし。

河本:なるほど。そういうので、上手くいっている例って何かありますか?例えば企業であったり、あの業界は早いなといった感じで。

薗田:例を挙げるとなると難しいですが、やはりトップに立つ人の考え方次第なのかな。

河本:考え方に関しては、僕も自信があるんですけど(笑)。ただ10年、15年一緒にダイビングの仕事をしている方たちに、「こういう時代だしこれからどうしたい?」って聞くと「そう言われても…」みたいな感じになってしまうんです。そういった場合はどうしたらいいですか?

薗田:そういった問いに、答えられる人と答えられない人はいると思います。特に今まで、親や上司に言われたことだけをやってきた人は、そういう反応になってしまいがち。そこで、もし「どうしたい?」という問いに答えられなければ、一緒に考えたり、あるいは、「三つの選択肢があるけど、どれが自分の考え方に一番近い?」っていう聞き方をしてあげるのもいいかもしれません。いかに寄り添ってあげるか、ということがことが大切になってきます。

credited by Pexels Ivan Samkov

現状に満足するな!
革新の繰り返しでダイビング業界を変える

河本:今までは、うちのスタッフが働く環境に満足していたら、家族や友達などお客さんを連れてきてくれるだろうというブランディングだったんですけど、ある程度の規模になった時点で、その考え方が通用しなくなったというか。

薗田:システムを作って基本それに合わせる。そこにイレギュラーなことが発生したらその都度対応していく方法でも、変化が少なかった時代は良かったかもしれません。しかし、多様な働き方が推し進められている現在では、もう通用しないかも(笑)。
実はクレアンでは、去年から、11時から15時までというコアタイムを決め、それ以外は早朝に来て15時に帰ってもいいし、11時に出社して夕方まで働いてもいいというようにしていたんですね。でも、新型コロナの影響が出はじめ、状況が一変しましたよね。子供が小さい社員はこのコアタイムに働くのが難しいわけですから。そうなると、逆にコアタイムを無くして自分が決めた4時間で仕事をしてもらうという形に変えたんです。それで仕事が効率的にできたという人もいましたから、結果として、パフォーマンスを出せる事が重要なんです。

河本:今回の新型コロナ騒動から、オンラインでの学科講習を始めたら意外と好評だったんです。だけど、皆さん前のスタイルが嫌なのかといったらそういう訳ではなくて。
ショップに来てスタッフと顔を合わせ雑談をしてから学科講習をする、そして講習が終りまたちょっとした雑談をしてから帰路に着く。この一連の流れがそれはそれで楽しかったみたいなんです。だけど、ショップに行くと次の日の仕事がしんどくなる、お店に行くと長くなるからなって感じてた人が、オンラインだとまた来るようになったんです。

薗田:そういう意味では、オフラインが好きな人、オンラインが好きな人、ハイブリッドな人の3パターンがあると思うのですが、そのハイブリッドをどれだけ増やすか、オフラインとオンラインの選択を自由に出来るようにするか、というところにビジネスチャンスがあるのかなって感じます。

河本:そういうお話を聞くと、会社としての環境や空気感も変えていく必要があるんだなって感じます。インストラクターってリーダー的な立ち位置でもあるので、みんなを引っ張る力のあるリーダーになれとスタッフの育て方として強要してた部分が今まではあったんです。例えば、一つのチームを作りなさい。ファンを作りなさいといった具合に。でも、今のリーダーってニュートラルであることが求められますよね。

薗田:そうですね。そういう意味では、今回の新型コロナ禍って生き方を変えるタイミングでもあるかもしれません。改めて立ち止まって、世界中の人たちと同じ痛みを分かち合ったことで、個々に大切なモノ、コト、ヒトなどが見えてきているような気がします。そこに気づき始めたことで、多様な世の中が広がる。
そのためにダイビング業界では、このようなパフォーマンスを発揮することが必要ですよという指針は示してあげてください。そこから後は個性を活かし、意見を聞きながらより良い働く環境を一緒に作って行こうという話だと思います。
ポストコロナの時代、今まで以上に、2030年にSDGsが達成された世界を描きながら、逆算して考えるバックキャスティングが重要になります。もうオーシャナの2030年ビジョンをみんなで作った方がいいかもですね(笑)。

薗田綾子 Ayako Sonoda
株式会社クレアン代表



兵庫県西宮市生まれ。1988年、女性を中心にしたマーケティング会社クレアンを設立。1997年から環境・CSRビジネスをスタート。現在、延べ約700社のCSR・統合報告書の企画制作やSDGsコンサルティング支援。日本ユニシス㈱社外取締役、内閣府地方創生SDGs官民連携プラットフォーム幹事。

河本雄太 Yuta Kawamoto

ocean+α編集長



1981年生まれ。埼玉県出身。2016年より、海とダイビングの総合WEBサイト「ocean+α」を運営する株式会社オーシャナ代表取締役を務める。ダイビングショップ経営をはじめ、自然環境保護、地方創生などをキーワードに多角的な活動を続けている。

写真:中川司
文:中村竜也(R.G.C)

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