今月からオーシャナメンバーシップが航海スタート!2014年7月22日より一部有料になります

オーストラリア、GBRのサンゴとデバスズメダイ(撮影:越智隆治)

メディア出身のオーシャナ・スタッフ
共通の思いは“ダイバーのため”の情報

海の日の翌日、2014年7月22日(火)より、一部の記事が有料となる会員制度“オーシャナメンバーシップ”がスタートします。
※従来通り、無料でお楽しみいただけるコンテンツもたくさんあります

オーシャナはもともと上位ダイビングサイト3つが統合して、2012年4月にスタートしました。
一見、まったく個性の異なる3つのサイトがすんなり統合できた理由は、それぞれのサイトを運営していた3人が、ダイビング雑誌、新聞社、広告代理店というメディア出身であったことが無関係ではありません。

現状のダイビングメディアに内から外から危機感とチャンスを裏表に感じながら、共通の思いは、読者・ダイバーの方を向いた情報をお届けしたい、ということでした。
裏を返せば、そうした読者・ダイバー本位の情報が足りないのでは? という共通認識です。

そのための結論が、読者からお金をいただくということでした。

セブ島の群れ(撮影;越智隆治)

読者・ダイバー目線の記事をお送りするために

ダイビング雑誌に10年近く在籍し、副編集長などをやらせていただきましたが、自分がいたころのダイビング雑誌は、広告収入を柱とした収益モデルでした。
簡単にいえば、広告をいただける受け皿として特集や企画を用意するというイメージです。

もちろん、読者からもお金をいただいていたのですが、“取材対象=お金を払うダイビング業界側”という特徴もあって、お金を払うダイビング業界側を向いて記事を書くことになります。

まず、ここで言っておきたいのは、それが悪いことだとは“まったく”思いません。

ビジネスにおいて、お金を払う人に満足していただくことが最優先であることは当たり前です。
尊敬する先輩が言っていましたが、「お金を出しているクライアントの意向を無視して読者本位で書きたいのは中二病。クライアントも読者も喜ぶ記事を書くのが一流」ということです。

どこかに魅力的な海があり、ダイバーに来てもらいたい人たちがいる。
その海の魅力を写真や記事で最大化し、実際に海に行った時に役立つ情報を伝えるということが、海外のメディアと比べても日本のダイビングメディアは秀逸です。
誌面をめくれば夢のような世界が広がり、楽しい気分になってきます。

ただ、一方で、短期的な収益になるプロモーション記事・情報に片寄りがちになる傾向もあり、読者・ダイバーを向いた、直接的にはお金にならないけど有益、または単に面白い記事・情報にはあまり熱心ではないという側面や、業界側を向き過ぎるあまり、読者・ダイバーに不利益なことを書かないという側面もあったように感じます。

これは業界の圧力というより、自主規制のようなものだと思います。
業界の皆さんも、本当は時には批判も含めて、とにかく正しい記事を書いて欲しいという方が多いのです。

かくいう僕らもプロモーション取材の数は右肩上がりですが、これは紙の衰退という世の流れの中、プロモーションを雑誌媒体からWEBへという流れなのでしょう。

しかし、現存の収益モデルだけでは、本当の意味での読者・ダイバー目線の記事は限界だと実感しています。
そのことを痛感したのが、ダイビング事故に関わる経験でした。

セブ島のアネモネフィッシュ(撮影:越智隆治)

きっかけはダイビング事故
本当に欲しい情報がなかったダイビングメディア

ダイビングにおいて最も大事なことは何か?
言うまでもなく生きて帰って来ること。“安全”です。
大事なものというより、前提ですね。

にもかかわらず、ダイビング事故に関して、皆さんが情報を知る時、それはダイビングメディアでなくテレビや新聞やなどの一般メディアではなかったでしょうか?

ダイビング事故の情報を把握し、検証することが、事故防止に役立つことは間違いありません。
しかし、事故の情報を表に出すことは不利益という風潮があり、ダイビングメディアではなかなか出てきませんでした。
その理由は、やはり読者・ダイバーの方を向いていないということでしょう。

昨年、自分自身がダイビング中に宮古島でトラブルを経験しました。

この時、このトラブルをどうやって皆さんに伝えるか結構悩みました。

一緒にプロモーションをしている方のトラブルをどう伝えるのか。
この件は、広い視点を持つ当事者の理解のおかげで詳細を伝えられましたが、その時僕はこんなことを書いています。

ダイバーが事故やトラブルについての情報を素早く得られる環境を整えることの重要性を痛感しました。この実現にはメディアのビジネスモデル自体からいじくらないといけない難しいテーマですが、今回のトラブル体験をきっかけに、事故をテーマにしたコンテンツを作ることを決めました。

漂流寸前のトラブルを経験して、いま振り返る教訓と考察 |オーシャナ

そして、皆さんの記憶に新しいバリにおけるダイバー漂流事故。
これは今現在も事後処理も含めて僕の中では継続している問題です。

事故発生時、もちろんダイビングメディアが動くべきだろうと、できる範囲で情報を伝えることをしましたが、その中で感じたことは、現地にダイバーのネットワークを持ち、ダイビングの知見を持つダイビングメディアの価値。
ダイビング事故の情報はダイビングメディアがしっかり伝えることが大事だと痛感しました。

しかし、この時、大半のダイビングメディアがこの事故を実質スルーし、これには正直、驚きました。
一銭にもならないですし、やはり、マイナスイメージになるような事故には触れたくないという風潮があったのかもしれません。

もうひとつ、逆の意味で驚いたことがあります。

それは、漂流者を助けるための捜索費用を募ったところ650万円も集まったということです。
セブ島の災害時も多額の寄付金が集まりました。

僕らの想定をはるかに超えるもので、皆さん、ダイビングの事故や災害には関心が高く、行動するきっかけがあれば行動するのだと実感しました。

フィリピン(レイテ島)への支援金の募集と、現地での援助活動|ダイビングと海の総合サイト・オーシャナ

フィリピン、セブ島での支援活動(撮影:越智隆治)

僕らのこうした行動はダイビングメディアとして当然だとは思っていますが、継続性という面では不安が残ります。

というのも、率直に言えば、バリの事故を伝えるための費用はすべて自腹です。
国際電話しかり、バリへの渡航費・滞在費しかり、すべて持ち出しです。
伊豆大島の災害やセブ島の時も同じです。

当初から長く取材してきた東日本大震災も、とある民間企業に支援をいただき、やっと実費を確保できたうえで取材ができていました。

そうした活動がサイトの信頼を生み、収益にもつながっているのでは?というご指摘ももっともですが、取材コストをペイできるほどではありません。

こうした大きな事故や災害だけでなく、表に出てこないダイビング事故や災害の情報提供と防止、また行動できる態勢を作るためにも、新たな収益モデルで運営することに決めました。

といっても、至ってシンプルで、読者・ダイバーからお金をいただき、そのお金を原資に、読者・ダイバーさんが読みたい・知りたい情報を伝えて対価をいただく。
お金を出してでも読むに値しないと判断されれば読まれない、というだけのことです。

この関係が読者との最も幸せな関係だという結論に至りました。

読者・ダイバーからの収益モデルでできること

もちろん、記事や特集はダイビング事故や災害だけでなく、多面的に、ダイバーに有益な、おもしろい情報をお届けしたいと思っています。

例えば、ダイビング雑誌時代、読者・ダイバーからよく言われていたのが「繰り返しなので、1年間読めば十分」というもの。
その理由として、出てくる海がいつも同じであることや「次はどうなる?」というワクワク感がないというものでした。

もちろん、毎年ダイバーは誕生するわけで、そのダイバーたちにとっては初めての情報を提供し続けることは価値あることです。
むしろ、はじめて訪れるパラオやモルディブの情報は毎年必要です。
スキルアップも1年経ったら、またもう一度中性浮力を一からやるのも当然です。

ただ、新しい海、情報を求めているダイバーたちがマンネリを感じていることも確かで、越智カメラマンを中心に、これまで知られていなかった未知なる海を求めて、新しい情報を提供し、提案していきたいと思っています。

スリランカのシロナガスクジラ(撮影:越智隆治)

記事の有料化とダイバーのための安全のための基金設立

海の日の翌日、2014年7月22日(火)にスタートするオーシャナメンバーシップにご登録いただき「クルー」になっていただくと、オーシャナ内にあるすべての記事をお読みいただけます。
(オーシャナメンバーシップの会員のことを「クルー」と呼びます)

そして、メンバーシップ費の10%は、今度設立するダイバーの安全を目的としたNPOに寄付し、ダイバーの安全のために還元したいと思います。

クルーはヘッドライン記事を読み放題

オーシャナのヘッドライン記事は月に10本まで無料でお読みいただけますが、クルー(月額864円)になると無制限ですべての記事がお読みいただけます。
ダイビング雑誌より安い値段で、ダイバーが知っておくべき最新の情報を好きなだけお楽しみいただけます。

※一部、クルーでないと読めない記事や、反対にクルーでなくともどなたでも無料のまま読める記事があります。
※月に10本まで無料の範囲は「ヘッドライン」「Q&A」「スキルアップ」のカテゴリです。

ダイバーのための基金

メンバーシップ費864円(月額)の10%を、オーシャナ×日本財団で設立する、ダイバーのための事故・災害対策を目的としたNPOに寄付し、ダイバーのための安全、ダイバーのできる災害対策に役立てます。

バリ島漂流事故、捜索協力金の使途のご報告と余剰金の使い道について | オーシャナ

お得なスタートキャンペーンも実施します

オーシャナメンバーシップは2014年7月22日(火)のスタート!

7月中にお申込みいただいた方は、最初の1ヶ月分が無料になるキャンペーンも予定しています。
(実際のお申込みのやり方については、改めて詳細なご案内ページを作成します)

この機会にぜひよろしくお願いします!

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writer
PROFILE
法政大学アクアダイビング時にダイビングインストラクター資格を取得。
卒業後は、ダイビング誌の編集者として世界の海を行脚。
潜ったダイビングポイントは500を超え、夢は誰よりもいろんな海を潜ること。
ダイビング入門誌副編集長を経て、「ocean+α」を立ち上げ初代編集長に。

現在、フリーランスとして、ダイバーがより安全に楽しく潜るため、新しい選択肢を提供するため、
そして、ダイビング業界で働く人が幸せになれる環境を作るために、深海に潜伏して活動中。

〇詳細プロフィール/コンタクト
https://divingman.co.jp/profile/
〇NPOプロジェクトセーフダイブ
http://safedive.or.jp/
〇問い合わせ・連絡先
teraniku@gmail.com

■著書:「スキルアップ寺子屋」、「スキルアップ寺子屋NEO」
■DVD:「絶対☆ダイビングスキル10」、「奥義☆ダイビングスキル20」
■安全ダイビング提言集
http://safedive.or.jp/journal
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