沖縄離島のダイビング旅2016(第7回)

石垣島ではじめての一眼レフマクロ撮影に挑戦!~水中写真ならドクター多羅尾におまかせ!?~

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ネイチャー石垣島(撮影:越智隆治)

石垣島で1・2位を争う、マクロ撮影に特化してガイドをする、ネイチャー石垣の多羅尾さんに、「初めてのマクロ撮影」を指導してもらうことになりました。

水中写真のお医者さん!?
ネイチャー石垣のドクター多羅尾

初日のブリーフィングで気が付いたのは、ネイチャーに訪れるゲストの目的が、なんともまあはっきりしていること……。

しかも多羅尾さんはそれをすべて熟知していて、「○○さん、スズメダイは取らないよね?バイオレットボクサーシュリンプいたら、撮る?あ、撮るね。じゃあそれをまず撮ってもらって・・・」

「××さん、エビ系は撮らないよね? 可愛い系が好みもんね。あ、今の時期はニセネッタイスズメダイの幼魚が可愛いからそれ挑戦してみる?」

「△△さん、設定はF5.6くらいかな。あ~ちょっとカメラ見せて。(実際に覗いてみて)なるほど、このレンズだと、カンザシヤドカリは難しいかもれないけど、撮ってみる?」といった具合にブリーフィングが進んでいきます。

なんか、一人一人の希望を聞いて提案している姿が、診察に来た患者とお医者さんみたい(笑)。

ネイチャー石垣島(撮影:越智隆治)

コンデジであっても心配いりません

ブリーフィングは、「こう進むとここにサンゴがあって、ルリスズメダイの幼魚がいます」で終わらず、「ここのサンゴにスズメダイの幼魚がいるので、☆☆さんにはまずそれを撮ってもらってから……」と、“撮ってもらって”という言葉選びからしても、撮ること前提で話が進んでいくのが、面白い。

ネイチャー石垣島(撮影:越智隆治)

多羅尾さん自らゲストのカメラを覗いて的確な指示を出します

“ド”マクロすぎる被写体で
マクロ撮影デビュー

いつも取材に行くときは、被写体として自分も写り込むことが前提であり、カメラは持って海には入れないので、実は今回はじめての一眼レフカメラでのマクロ撮影。

カメラマンのカメラ持ちをしている時に、たまにマクロレンズを覗いてみたりするのですが、どこが写っているのかも、なにが写っているのかも、どうやっていじるのかもよくわからないので、果たして本当に撮影できるのかと不安が募っていきます……。

とはいえ、多くのカメラマンの写真を見たりもしているので、いっちょまえに、「こう撮影したい」とイメージばかりが先行していきます。

ま、「とりあえずピントが合って写ればいい!」を第一段階の目標はここに設定し、はじめてのマクロ撮影へ!

最初の被写体は、ヒゲモジャハゼ。

レアな上に、見つけて掘り出してもすぐに砂の中に身を入れてしまう、シャッターチャンスの少ないシロモノ。
おまけに、アホのように小さい!!!

多羅尾さんの水中三種の神器でもある“針金”をハゼの横に置いてもらい撮影補佐。

徹底的にブリーフィングを行っているおかげで、「私もそれ撮りたい! 俺もそれ撮りたい!」と、ひとつの被写体にみんなで一斉にたかることはありません。

時間を決めて多羅尾さんが一人ずつ順番に呼んでくれるので、その間は他の好きな被写体を、あるいは多羅尾さんに頼んでおけばその間にも撮影する被写体を探して指示してくれます。

なんと効率の良い撮影ダイビングなのでしょう。

さて、ヒゲモジャハゼの撮影はなかなか難しく、フォーカスをとりあえずオート(AF)に設定して写してみます。

複数撮影して1枚ピントが合えばいいかなと思っていたその一枚がなかなかうまいこといきません。
ヒゲモジャハゼ、たいして動きまわる生物じゃないのに……(泣)

それでも、なんとか撮影はできました。

ネイチャー石垣島(撮影:稲生薫子)

小指の爪くらいの大きさのヒゲモジャハゼ

マニュアルフォーカス……
意外とイケるかも!?

次に撮影したのは、バイオレットボクサーシュリンプ。

先ほどと同じく、フォーカスはオートに、シャッタースピードとF値を設定して挑みます。
しかしコイツも……ちいさっ!!

ヒゲモジャハゼが小指の爪くらいの大きさだったことに比べれば、こっちは親指の爪くらいの大きさはあるので、まだマシですが、それでも、ちいさっ!(泣笑)

おまけにヒゲモジャハゼとは違って線が薄いので、いまいちどこにピントが合っているのかわからない……。
何度か挑戦させてもらい、次のゲストに交換となりました。

多羅尾さんに次の被写体を指示してもらうまで、スズメダイの幼魚やイシガキカエルウオでフォーカスの練習してみることにしました。

と、ふとここで、“フォーカスをマニュアルで撮ってみよう”という、ビギナーのくせに生意気な発想が浮かび、挑戦してみると、

ネイチャー石垣島(撮影:稲生薫子)

イシガキカエルウオ

あれ、意外といけてる?

さっきまでなんだかしっくりこなかったピントが、ピシっと決まり、快感。
そうとなればさっきのエビ、もう一回MF(マニュアルフォーカス)で撮りたい!

急いで多羅尾さんのところに戻り、もう一度挑戦させてほしいと言うと快くOK。

ネイチャー石垣島(撮影:越智隆治)

まだイマイチですが・・・これでも初めよりはまし。大きく見えますが、親指の爪サイズです

MFでピントを合わせる楽しさをはじめての一眼レフ撮影にして覚えてしまったことを、陸に上がって越智カメラマンにドヤ顔で報告。
「お~フォーカス、マニュアルにできたんだ。そこに気が付けたのはすごいじゃん」

褒められて、更にドヤ顔。
しかし、きっとこのままいったら私やばい。

今でも、クジラやイルカなどの大物生物の方が興味はあるし、そちらの撮影のほうが好きですが、案外マクロも悪くない。
しかもピントが合わせられるようになって、自分のイメージする写真が撮れるようになってきたら、間違いなくカメラを新調しそうなので、あまりハマらないようにしようと言い聞かせています。

初の生態写真にもチャレンジ

今回は2日間しかありませんでしたが、ナカモトイロワケハゼと、かなり運よくセジロクマノミの産卵に立ち会うことができました。

ナカモトに関しては2日間連続で挑戦することができたので、2日間の撮影の成長はナカモトを通して見てみることになりました。

■1日目

ネイチャー石垣島(撮影:稲生薫子)

なんとなく良いように見えて、よく見るとピンが甘い。卵は生みたてでイクラみたいに赤い。ナカモトイロワケハゼの大きさは2~3cm

■2日目

ネイチャー石垣島(撮影:稲生薫子)

ナカモトの目と卵にピントが合っている。卵はハッチアウト寸前で、目が出来ている

両画像とも多羅尾さんに選んでいただきました。

「1日目はいい感じだけど、若干ピントが甘いよね。でも2日目はジャスピン(ジャストでピントが合っている)!いいんじゃない?」

2日間終わってから気づいたのは、「どこにピントを合わせるとより良い写真になるのか」をあらかじめ、もっと詳しく聞いておけばよかったなということ。

ナカモトを撮影しているとき、卵にピントを合わせて、ナカモトが卵のところに来るのを待ってシャッターを切っていたのですが、それだとナカモトの目にピントが合わないんです。

あとで聞くと「卵にピントを合わせてから、ナカモトが卵にきたら、ナカモトの目にピントをずらして撮影するのがいい」と。

ただ、そうやって撮影してみたのですが、なんせナカモトが卵のところにくるのは一瞬のことなので、MFでピントを瞬時に合わせ、シャッターを切るという練習を積まないといけないと痛感。

ネイチャー石垣島(撮影:越智隆治)

水中で画像をチェックして、良い写真があると褒めてくれます。たまに自信をなくすので、これは嬉しい!

思ったようにいかなくて悔しい部分も多々ありましたが、とりあえず、多羅尾さんと越智カメラマンに、「全然ダメじゃん、これじゃ企画にならないよ~」と言われるひどさでなかったことに安堵しています。

セジロクマノミの産卵は、多羅尾さんも初めてみたとのことで、私と越智カメラマンと多羅尾さんの3人で場所の取り合いが発生(笑)。

「なんか見切れるなあ……」と顔をあげるとTG4の顕微鏡モードで卵の撮影をしている多羅尾さんが横に。

先生! そこに入られたら見えません!(笑)

ネイチャー石垣島(撮影:稲生薫子)

多羅尾さんのカメラが見切れています

それでも輸卵管と輸精管が出ている産卵中の生態撮影に成功。

ネイチャー石垣島(撮影:越智隆治)

この写真は越智カメラマンに選んでいただきました

2日間に及ぶ特訓はなんとか無事に終了。

ふう……肩、凝ったな。

初めての一眼レフカメラ作品集

※越智カメラマンと多羅尾さんに選んでもらったものの一部

ネイチャー石垣島(撮影:稲生薫子)

今が旬のルリスズメダイの幼魚ハナダイ越し

ネイチャー石垣島(撮影:稲生薫子)

1.5センチくらいのアオベニハゼ

ネイチャー石垣島(撮影:稲生薫子)

綺麗なお花に見える1mmのウミヒドラにも挑戦

ネイチャー石垣島(撮影:越智隆治)

アオベニハゼの撮影風景

多羅尾先生、2日間ありがとうございました!!

一眼デビューしたいけれどまずは試してみたいとか、カメラを購入したはいいけど、いまいち使い方がわからないなど、不安のある方はぜひ訪れることをオススメします。

ドクター多羅尾が不安を解消してくれ、きっとリピートしたくなると思います。
たまに先生も撮影したくなるみたいなので、その時は、譲ってあげてくださいね(笑)

ドクター多羅尾の三種の神器

一人一人に的確に指示を出し、撮影アシストを行うにあたって、とても重要なのがライトと針金なんだとか。

ネイチャー石垣島(撮影:越智隆治)
(左から順に)
○普通の指示棒
○巨大ピンセット・・・(昔)オニヒトデの駆除用、(今)届かない場所のヤドカリをつまむ用
○小さいスレート・・・ゲストのリクエストをブリーフィング時に聞いてメモ
○スレート・・・“部分消し”が出来るのがポイントのスレート
○水中ライト・・・①自分用②スポットライトで魚を教えるよう③もっとスポットなので魚の群れをまとめるよう④ゲストアシスト用1と2(色が違うので目的に応じてつかいわける)
○虫眼鏡
○先分れスプーン(ガレバ用)
○針金3本・・・小さい生物の指示棒、ターゲットポイントを示す

また、ネイチャー石垣では、一眼レフカメラのレンタルを行っているので、購入前にどんなものか試してみたいという方には朗報。

ネイチャー石垣島(撮影:越智隆治)

さらに、一眼レフカメラをレンタルした場合は、撮影したデータはCD-ROMに焼いて渡してくれ(SDやPCに移すのでも可)、データはお店に約1週間保存してくれるので、紛失など、なにか問題が起こった時にも安心。

そして、アフターダイビングには、ログ付けの際に、多羅尾さん自ら撮影した写真を見てアドバイスや公表をしてくれるのは嬉しいサービス。

ネイチャー石垣島(撮影:越智隆治)

あっという間の取材でしたが、自分の中でも大分成長したように感じます。

他のゲストの方を見て、私も自分の好みをちゃんと持ちたいと思ってみたり、いや、興味を持ってしまったらアブナイと思ってみたり(笑)。

マニアックなマクロが撮影したい! 自分の好みがはっきりしているからそれを叶えて欲しい! どんなものが好きか分からないから見つけたい! ワイドのことも聞いちゃいたい!

なんでも要望を言えば叶えてくれる、まさに水中のお医者さんみたいな多羅尾さん。

訪れる際には“マニアックになっても後悔しない気持ち”を持ってきてくださいね。

緑に囲まれた浦底湾の最奥部に立つ、ネイチャー石垣島ダイビングサービス

緑に囲まれた浦底湾の最奥部に立つ、ネイチャー石垣島ダイビングサービス

浦底湾の最奥部の森に囲まれた緑深い場所にあるネイチャー石垣島ダイビングサービス。
「緑豊かな場所から船を出したかったんです」という夢を実現させてサービスをオープンしたのが10年前。
今では、多羅尾さんの豊富な撮影知識やマニアックなマクロを見せるガイドの腕と経験に惚れ込んで、リピートしてくるゲストも多い。
今回も、1ダイブまるまる同じ被写体にかじりついて撮影を楽しむ人も。

石垣島(撮影:越智隆治)

左から、畑さん、多羅尾さん、松野さんの3ガイド

ガイドは、多羅尾さんの他、水中写真大好きな畑大介さんと、いつも笑顔を絶やさ無い松野祥子さんの3名。
静かな自然に囲まれた、アットホームなダイビングサービスだ。
北部のサービスだと思っていたのだけど、ギリギリ川平に属するらしく、川平エリアのダイビングサービスということだそうだ。
スタッフが石垣市街に住んでいるので、ゲストは市街地のホテルに滞在している方が送迎しやすいとのこと。
マニアックとはいっても、マンタダイブにも行くし、ビギナーダイバーにも対応してくれる。
今回も3チームに分かれて、マニアックに撮影するチームとビギナーチームでそれぞれ楽しくダイビングを満喫していた。

ちなみに、多羅尾さん、ガイド会メンバーなのだけど、基本ガイド会は40歳より若いガイドというのが入会の条件なのに、その実力を会長の川本さんに買われて、46歳というオーバーエージ枠で入会したそう。

ネイチャー石垣島ダイビングサービス
〒907-0451
沖縄県石垣市桴海148-493
TEL/FAX 0980−88−2273
E-mail nature@ishigaki-diving.com
http://www.ishigaki-diving.com/

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writer
PROFILE
成蹊大学文学部国際文化学科卒業。
ナレーター、司会、ダイビング・モデルとして、TV、雑誌、モーターショー、トークショーなどで活躍。宝くじのキャンペーンガール「幸運の女神」では、46都道府県を旅する。

2013年からは、大物運・海況運をつかさどる「海の女神」へと転身し、舞台を海に変えてオーシャナの突撃体験レポートを担当。
潜水士資格も取得し、2014年は伊豆大島復興観光大使「ミス椿の女王」として、伊豆大島をはじめとした被災地復興支援活動にも尽力する。

「ダイビングがきっかけで、物の見方も感じ方も生き方も180度変わり、自分の周りまでもキラキラ輝き出したことを実感。 
いろんなことを体験しながら、たくさんの“きっかけ”を届けていきたいです」

【経歴】
・第25期 日本テレビイベントコンパニオン
・第11~12期 スバルスターズ
・第33期 宝くじ「幸運の女神」
・第23代 ミス椿の女王(2014.2~)
・第29代「ミス熱海・桜娘」(2016.1~)
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