ナイトダイビングでサンゴの産卵・初体験! ~石垣島、4時間の産卵ドキュメント~
2016年5月19日(木)、石垣島でミドリイシの産卵に立ち会うことができました!
ここ数年は特に、見たい見たいと願いながらも叶わなかったサンゴの産卵…ですが、長年の想いがついに叶いました。
近年ではFacabookやダイビングショップのホームページなどで、産卵時の写真をリアルタイムでいとも簡単に見ることができてしまうが故に、その産卵の予定日に海に潜れば確実に見られるものだと思っていたのですが、だいぶ甘い考えだったと思い知らせれました……。
産卵当日、タイミング良く石垣入り
久米島から移動し、19日の昼過ぎに石垣島に到着すると、青空が広がっています。
久米島では梅雨入りの大雨・高波などに悩まされた時もあったので、石垣に“雨が降っていない”というだけで奇跡が起きたような気分。
しかも今回お世話になるダイビングチームうなりざき石垣店のガイド曾我勲さんが、「実は昨日から産卵が始まっているんですよ!」なんていうもんだから、到着早々奇跡の連発です。
夜にはサンゴの産卵を見に行くと決めていたので、昼間はダイビングの予定はなかったのですが、「いつ雨が降るかわからないから、晴れている間に一本でも多く潜りたい」と、到着後、早々に2ポイントでダイビング。
16時過ぎにショップに戻り、早めの夕食を済ませ、産卵に備えました。
4時間に渡るミドリイシの産卵
■18時30分
うなりざきを出発。
前日(18日)に曾我さんがサンゴの産卵を観測したという「竹富北」というポイントでこの日も潜ることにしました。
うなりざき石垣店では、ナイトダイビングは昨年まで取り入れていなかったのですが、曾我さんは長年うなりざき西表島店でガイドをしていたため、サンゴの産卵には何度も立ち会っているベテラン。
「昨日(18日)、めぼしいサンゴを見つけておきましたので、今日はそれらが産卵するのではないかと思います」
期待が高まります。
■19時30分
「卵を抱えたサンゴがいるかの確認をしてきますので、いたらお知らせしますね」と言い残し、まずは曾我さんが一人でエントリー。
■10分後
「産卵、始まっちゃいました! 始まっちゃいました! 早く来てください!!」
え、もう始まっちゃったの?
急いで器材を背負ってエントリーしましたが、第一回目の産卵はすでに終了。
ぽわぽわ~っとした少量の卵は見られましたが、「産卵を見た!」という感じにはならず、その後は各々卵を持っているサンゴを探すこととなりました。
産卵が目的とはいえ、そこは夜の海。
ブダイが膜を張って寝ていたり、この日はなんとヒョウモンダコが姿を現しました!!
ヒョウモンダコが石垣で見つかることは珍しいらしく、「もしかしたら今後ナイトダイビングをしていたら見られるのかな?」と曾我さん。
私は初めてヒョウモンダコを見たのでそれだけで興奮でしたが、越智カメラマンは、「青いリングがくっきり出て、体色が白かったのは綺麗だったな~。結構黄色い個体が多いからね」と振り返ります。
そんなこんなで、早60~70分が経過。
曾我さんから「このサンゴがもう少しで産卵しそうです」の合図があったので、そのサンゴの前に張り付いて待つことにしました。
―――その場に佇むこと1時間(エントリーからは約2時間が経過)
エントリー後、90~120分の間30分間は、日中の疲れなどもあって、水中でウトウト……。
産卵しそうなサンゴの前を離れられなく、岩場の隙間にタンクをはめ、眠気と闘いながら、エアを残しながら、ただひたすらに耐えます。
しかしその頑張りもむなしく、背負っていた9Lのアルミタンクは、残圧が30に。
130分くらい経過したところでタンクチェンジに行くことにしました。
この時すでに21時45分。
船に戻り、タンクを交換。
車のレースで言うとピットインってやつですね。
ピットイン中、海から越智さんのストロボが連発で光っているのが確認できます。
「まじか、このタイミングで始まったのか!!!」
急いでエントリーし、もと居た場所へ。
すると、複数のサンゴから、オレンジ色の卵が、ぽこ、ぽこ、ぽこと浮かび上がってくるのが見えます。
すっご……。
全身に鳥肌が立ち、感動の呼び鈴。
しかし本番はここからでした。
一つのサンゴの産卵が終わると次はこっち、また時間が経つと次はこっちといた具合に次々と産卵を始めます。
一つのサンゴの産卵の時間自体はそう長くはないのですが、この日は時間にしておよそ40分間、サンゴの産卵に立ち会うことができました。
“立ち会う”というとなんだか人間のようですが、この産卵は本当に神秘的で、命が生み出される瞬間をこんなにたくさん見たこともなかったので、個人的には立ち合いという言葉がしっくりきます。
■22時50分。
産卵もひと段落ついたので、船に戻るよう合図がありました。
船に戻るまでの道は、オレンジやピンクの3mm級の大きさのサンゴの卵でいっぱいになり、まるで命の空間というか、よくアニメでみる“ワープ”をしたらこんな景色なのかな、みたいな不思議な空間を体験しました。
梅雨だからとちょっと凹んでいた気分はもう1ミリもなく、この産卵のためなら梅雨にくるのも悪くない。
■23時30分
お店に到着。
計4時間に及ぶミドリイシの産卵でした。
サンゴの産卵って、いつ行われているの?
サンゴの種類によって産卵の時期は異なりますが、ミドリイシに至っては、5月の大潮で満月まわりというデータが出ています。
うなりざき石垣の曾我さんにサンゴの産卵について質問してみました。
―――ミドリイシの産卵は今の時期と決まっているのですか?
「基本的には大潮の満月の時といわれていますが、石垣は大潮前、西表は大潮後の中潮あたりに産卵が行われるといわれています。」
―――“大潮で満月”なんて毎月あるじゃないですか? なんで5月なのですが?
「それはなんでだかわからないんです。サンゴによっても違うし、回数も1度しか産卵しないと言われていますが、2か月に渡って産卵しているもの見たことありますし。」
―――水温が27度くらいで産卵をすると聞いたことありますが。
「実はそれ、関係ないらしいです。実際、19日は石垣の北部の方は水温27度あったけど産卵はしなかったみたいですし、不思議ですよね。」
―――本当ですね。産卵は5月がメインなのですか?
「メインというかミドリイシは5~6月といわれていますが、カメコノキクメイシなんかは7~8月です。しかも一斉にぶわって放たれるタイプのサンゴなので、見栄えもよいと思いますよ。」
―――そうなんですか!でも産卵みるならまた来年こないといけないですね。
「あ、でも西表は大潮の後の中潮だから、この後の西表の取材の時にミドリイシの産卵、もう一度見られるかもしれませんよ?」
―――え! 嬉しい! なんという朗報!
うなりざき西表の森脇さん、よろしくお願いします!!
【2016年5月19日(木)ミドリイシの産卵データ】
・場所:竹富北
・時間:19:40、21:50~22:30
。個数:約12か所
・種類:ミドリイシ
・色:オレンジ、ピンク
・潮:大潮前の中潮2日目
■supported byダイビングチームうなりざき石垣
八重山で29年続く老舗店で、安全とゲストのケアへのこだわりが強い。
定員40名の大型クルーザー「ミスファンタジースター」は、真水やトイレの完備はもちろん、何より広くて快適。
小型ボートもあり、こちらももちろんトイレシャワー完備。
少人数で利用できるのも嬉しい。
ダイビング専用なので、とても使い心地がよく、ダイビングポイントに到着後は、ボートの後ろ側のタラップが水中まで続いているので、エントリー(海に入ること)もとっても楽ちん。女性スタッフも2名加わり華やかで賑やかなガイドも自慢のひとつ
ダイビングチームうなりざき石垣
〒907-0013 沖縄県石垣市浜崎町3丁目2-1-102
TEL :0980-88-6644 FAX 0980-87-0145
http://www.unarizaki.com/ishigaki/
E-mail:info-ishigaki@unarizaki.com
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