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沖縄離島のダイビング旅2016(第6回)

石垣島の“イカタコ博士”に聞いた、今更聞けないコブシメの話 ~ダイビングガイド曾我勲さん~閲覧無制限

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徒然コラム
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石垣島(撮影:越智隆治)

ダイバーにならないときっと一生出会うことはないだろうという生物はたくさんいると思いますが、コブシメのその一種ではないでしょうか。
分布域が南西諸島とインド洋近海となるため、八重山地方に来たらぜひみたい海の生物。

越智カメラマンでさえも、コブシメの交接は実は石垣島でしか見たことがないらしく、もしかしたら案外レア?

しかし、コブシメはその産卵スタイルや、大きさから「見ただけで、見られただけで満足!」という方も多いらしく、うなりざき石垣の曾我さんは、コブシメについて深く聞かれたことはあまりないと言います。

ということで、姿は知っているけれど、意外と知らないコブシメについて根掘り葉掘り聞いてみました。

※ここからの話は曾我さんの仮説も織り交ぜてお届けしています。あくまでもへぇ~という観点でお楽しみください。

人間への恐怖よりも“交接”が優先!?
意外なほどコブシメに寄れる理由

コブシメを撮影すると分かるのですが、意外なほど近くに寄れます。
触れる距離というよりも、マスクが当たりそうなくらい。

もちろん、こちらが速く動けば逃げてしまいますので、近づきたい場合はなるべくスローに移動したほうが良いです。

ではなぜ、そんなに近くに寄れるのでしょうか?

石垣島(撮影:越智隆治)

まず、実のところ、コブシメの寿命は1年~1年半なんです!

3月頭~5月頭が産卵期といわれていますが、その時期に生まれたコブシメは、翌年の5月過ぎには産卵を終えて死んでしまいます。
つまり、寿命が短すぎて、人間にかまっている暇がない!(笑)

人にかまっている時間や、人から逃げている間に交接の機会を逃してしまい、子孫は残せなくなってしまっては大変です。
したがって、交接が優先で、“コブシメは意外と寄れる”という結論に至るわけです。

強いオスがメスと交接できるわけではない!?
漁夫の利で交接に辿りついたオスの話

コブシメのオスは威嚇をすると色が変わることで知られていますが、「オス同士の威嚇で勝ち残ったオスがメスと交接できるわけではない」と曾我さん。

メスを奪い合い威嚇し合っている横を、半分くらいの身体の大きさのオスがすーっとメスに近づき、あっさり交接をしたというシーンを何度か見たことがあるとのこと。

生まれた時期や、食べているものによって個体の大きさは変わってくるそうですが、2倍以上大きさの違うオスの成体もあります。
寿命が1年なら生まれた時期が1カ月も違えば、人で言うところの10歳以上違うわけで、個体の大きさが違うのもうなずけます。

しかし、必ずしも強い者が勝つわけではないというのは、コブシメの面白い生態のひとつですね。

石垣島(撮影:越智隆治)

メスが嫌がるのは、オスが嫌いだからではない!?

強いオスが交接できるわけではないのであれば、どんなオスがメスに受け入れられるのでしょう。

「まあ、タイミングじゃないですかね?」

「僕ら人間が観察できるのは、せいぜいエアの持つ1時間くらいの間だけ。ですが、見ていると、単にタイミングの問題な気がしますね。
要は、強い精子と受精したいのなら、威嚇して勝ち残ったオスと交接すると思うんですよ。でもそうせずに、漁夫の利的な感じですーっと寄って来たオスと交接するのを見ていると、単純にメスの中に“卵の準備が出来たタイミング”なんだろうなと思いますね」

タイミングですか!確かにそれだと勝ち残ったオスにこだわらない理由になりますね。

メスへのアピールは、人と同じ、“三つ指揃えて”

威嚇と同じく、オスがメスにアピールする時も、体色を変化させます。

コブシメの体細胞にはあらかじめ色の色素が羅列されていて(テレビの色の出し方と同じようなものですね)、目で相手や状況を判断して体色を変化させているのだとか。

片側にオス、反対側にメスがいた場合にはオス側の身体が威嚇色、メス側の身体は優しい色やアピール色に変化させるのはダイバーには有名な話ですが、実際アピールはどのように行われるのでしょうか。

「アピールする時には、まず、触手を顔の前にお行儀よくすぼめてそろえます。その手でメスの顔や眼のあたりを触り、メスが嫌がらなければそのまま交接ができます」

触手を揃えるなんて・・・畳で三つ指揃えて結婚の報告をする新郎のようですね。
コブシメも案外お行儀が良いらしいです。

石垣島(撮影:越智隆治)

質問する内容すべてに、いろいろな答えがぽんぽん出てくる曾我さん。
ここまでコブシメに詳しい人、初めて出会いました。

ちなみに、イカ(コブシメはコウイカです)以外には、なにか詳しいものありますか、と聞くと答えは「タコですかね~」。
もしかして、イカタコ博士ですか!?(笑)

おまけ
タコの交接は、手を繋いでる!?

交接の話ばかりで申し訳ないのですが(笑)、生態の話になると欠かせない話題なので、おまけでもうひとつ。

なんと、タコの交接は、“手を繋いでいる”のだとか。
「僕も一度だけ見たことあるんですけど、その観察で1ダイブ終わってしまったくらい・・・」

「タコは、夜行性なので、交接も夜に行うのですが、8本ある足のうちの中央2本は触手なのですけど、吸盤の間から精子を送り込むためにその触手の1本をメスの身体の中に入れるんです。それで、メスはその触手が外れないように、自分の触手をオスの触手に絡みつけるんですけど、それが2匹が手を繋いでいるように見えるんですよね。

ナイトダイビングで見つけた時は、2匹が手を繋いでいる(ように見える)ところで、ライトを当てたら恥ずかしかったのか、そのままこそこそと逃げていくんです。でも2匹繋がったままだから、手繋いだまま転びそうになりながら、ひょこひょこ、ひょこひょこって歩いているんですよ!(笑)」

石垣島(撮影:越智隆治)

タコの交接の話をする曾我さんの笑顔、みなさんにも見て頂きたい!
イカだけでなく、タコまで、ここまで面白そうに語る人は初めて(笑)

「コブシメ自体が珍しいからなのか、見ただけで満足なのか、いつもはあまり質問されないのですが、水中の生物はかなり好きなので、たぶん、割と人より詳しいと思います。家には水族館の方が書いたような図鑑もたくさんあるし」と、これまた話が出来たことが楽しそうで楽しそうで。

うなりざきに訪れた際には、今さら聞けないと恥ずかしがらずに、じゃんじゃん聞いてみてください!
ここに書ききれないくらいの情報の持ち主だということを取材最終日にして発見してしまいました。

もっといろいろ聞きたかったな~。

■supported byダイビングチームうなりざき石垣
石垣島うなりざき(撮影:越智隆治)
八重山で29年続く老舗店で、安全とゲストのケアへのこだわりが強い。
定員40名の大型クルーザー「ミスファンタジースター」は、真水やトイレの完備はもちろん、何より広くて快適。
小型ボートもあり、こちらももちろんトイレシャワー完備。
少人数で利用できるのも嬉しい。
ダイビング専用なので、とても使い心地がよく、ダイビングポイントに到着後は、ボートの後ろ側のタラップが水中まで続いているので、エントリー(海に入ること)もとっても楽ちん。女性スタッフも2名加わり華やかで賑やかなガイドも自慢のひとつ

ダイビングチームうなりざき石垣
〒907-0013  沖縄県石垣市浜崎町3丁目2-1-102
TEL :0980-88-6644 FAX 0980-87-0145
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