沖縄離島のダイビング旅2016(第8回)

西表島のオガン「三の根」伝説再び! ダイバーの憧れ“カスミアジの大群”に5年振りに巻かれる

西表島うなりざき「オガン」(撮影:越智隆治)

今回も撮影に成功した、オガン・三の根のカスミアジの群れ

2012年以来の西表島、うなりざき西表店ロケ。
5年前のテーマは「西表ブランドのダイビングスポット、オガンを潜りまくり、その魅力に迫る!」というものだった。

iriomote_ogan_pdf
https://oceana.ne.jp/webmagazine/201206_iriomote

【オガン】
西表島から南西に約15km離れた仲之御神島の通称が「オガン」。無人島で岩礁に囲まれているオガンは、カツオドリやアジサシなどの仲間が営巣地として住み着いている孤島。黒潮が当たるこの岩礁地帯は外洋を回遊する大物回遊魚たちのオアシスでもあり、西表を訪れるダイバーの聖地とも言える海。海のコンディションや潮の流れにかなり左右されるため、熟練者のいないサービスではなかなか潜りに行くことが難しいポイントでもある。うなりざきでは、年間70日くらいオガンダイビングを行っている。
西表島うなりざき「オガン」(撮影:越智隆治)

オガンを眺める、モデル兼ライターのルコちゃん

【三の根】
オガンの西10kmに位置する、いくつもの隠れ根の集合体。マグロやバラクーダ、ツムブリやカスミアジなどの群れや予期せぬ大物との遭遇率が高く、オガンでも一番人気のダイビングポイント。イソマグロの群れは見れても、カスミアジの群れを間近で見るのは、いまや三の根フリークの間では伝説的なくらいに難しいとされている。

ということで、確か前回はオガンだけで15本ほど潜った記憶がある。
しかし今回は、オガンに特化することなく、うなりざき西表店がよく潜る内湾、外洋の海を潜り、群れ、サンゴのワイドからマクロまでを網羅する取材。

とはいっても、もちろんそのバリエーションの中に「オガン」も含まれるわけで、数少ないオガンダイビングの間に、オガンの地形や群れを撮影しなければいけない。

前回の取材で印象に残っているのは、やはりカスミアジの群れを激写したことだ。

過去の記事を読んでいただければわかるのだが、このカスミアジの群れ、遠目に見ることはあっても、なかなか近くで見ることは難しいのだそうだ。
うなりざきのオーナー、吉坊からは「他でこんなにカスミアジが群れてるとこ、知ってますか?」と聞かれ、思い当たったのは、パラオのペリリューコーナーの棚上とインドネシアのマラトゥアくらいか。

Yahooで群れの画像も調べてみたが、まともな写真は自分が前回西表で撮影したものか、ペリリューで撮影されたものくらいしか出てこなかった。
つまり、それだけレアだということだ。

「10年近く前は結構見れたんだけど、最近は全然近くで見たこと無いんです」と話すのは、200本以上は三の根を潜っているという、うなりざきハードリピーターの笠原さん。

他のリピーターも、「遠くから見たことはあるけど、越智さんが見ているみたいに近くで見たことない」とのこと。
まさに、「三の根でカスミアジの群れに巻かれる」というのは今や伝説的になっている感じなのだ。

「取材で潜ったとしても、カスミアジの群れを当てられることはほとんど無い」とガイドの森脇純一さん。
だから、5年前に撮影したカスミアジの群れの写真は、今でもうなりざきのスタッフの間では記憶に強く残ってるのだという。

西表島うなりざき「オガン」(撮影:越智隆治)

5年前に撮影したカスミアジの凄い群れ

今回、そんなカスミアジの群れ狙いのチャンスは1日しかなく、イソマグロの群れはともかく、前回のオガン特集で撮影した巨大な壁のような伝説のカスミアジの群れを1回のダイビングで押さえるのは、ガイドやリピーターの話を聞いている限りでは、至難の技。

撮れるか撮れないか、それ以前に遭遇できるかできないかは、運だな、と開き直るしかなかった。

そう思わないとやってられなかったのは、久米島、石垣島、西表島と、長く潜り続けた疲労もあったのか、三の根を攻める前日に体調を崩し、高熱と鼻づまり、喉の痛みを感じながらのダイビングであったことも大きく影響していた。

普通なら潜れない体調。
しかし、チャンスはこの日しかない。
幸いにも体調の悪さのピークは若干過ぎていたこと。
ガイドをしてくれる森脇君にだけは、「迷惑かけたらごめんね」と、潜る前に体調の悪さを伝えておいた。

西表島うなりざき「オガン」(撮影:越智隆治)

浅い根につかまり、どちらに向かうかの判断をしているガイドの森脇君(右)とルコちゃん

三の根、一本目。

ゆる〜い上げ潮。
今まで潜った中でも一番ゆるいくらいの流れ。

いつも、ゲストにイソマグロの群れを見せるときに都合が良いのは、下げ潮で「たまり」というエリアにイソマグロが溜まっているのがベストだが、上げ潮の場合は、「浅い根」と呼ばれる根から200mほど西に移動した「ゲンカイ」という根までの間を回遊していることが多い。

1本目、エントリーした浅い根にイソマグロは見当たらず、ゲンカイまでドリフトすると、案の定イソマグロ100匹ほどの群れに遭遇し、撮影。
まずはマストで押さえなければいけないイソマグロの群れを確実にゲットした。
鼻は詰まるが、耳抜きは大丈夫。
熱のピークも前の晩に過ぎて、それほど身体のだるさもない。

西表島うなりざき「オガン」(撮影:越智隆治)

ゲンカイの上で悠然と泳ぐイソマグロの群れ

2本目、同じくゆるい上げ潮。
カスミアジを狙う。
カスミアジが住む「カスミガセキ」と呼ばれるエリアは、浅い根からは、流れに逆らって南に移動していく。
距離としては150m程度。
あまり期待しないで進んでいくと、森脇君が静かに先を指差し、こちらに顔を向けた。

指差した先に目を向けると、カスミアジの姿が!

うなづいてボトムに張り付いて先に進む。
群れに近づいたところで、森脇君が空気の入ったペットボトルを「ボンボンボン!」と打ち鳴らす。
その音に反応してカスミアジたちが、僕らの周囲に群がってきた。

数の多さは5年前の新月周りの方が多かったが、それでもなかなか遭遇することもままならないカスミアジの群れを、2度目の取材でも遭遇し、撮影することができたのはラッキーだったし、ガイドの森脇君との相性の良さもあるのかもしれないとも感じた。

西表島うなりざき「オガン」(撮影:越智隆治)

モデルのルコちゃんとカスミアジを絡めての撮影。次回のロケではもっとはっきりカスミアジが写っている写真を撮影することがテーマになった

その日の3本目も三の根。

少ないチャンスをものにした森脇君は、「浅い根から、まずカスミガセキに向かい、そこからゲンカイまで流して、カスミアジとイソマグロ、両方狙いましょう」という大胆不敵なダイビングを行うことを提案してきた。
通常ならありえないコース取りだけど、それに乗ることにした。

流れは、最初の2本より若干強い上げ潮。
カスミガセキまで流れに逆らって移動するのはかなりきつかったが、浅い根から移動してすぐにカスミアジの群れを発見。

すぐに撮影できれば、それだけ余裕を持ってゲンカイまで流すことができる。
その思いが、勇み足を踏むことに。
早く済ませようと少し急いで群れに接近しようとしすぎて、カスミアジを警戒させてしまい、結果撮影できずに、群れは泳ぎ去ってしまった。

ここでカスミアジの撮影を諦めて、ゲンカイへと流すことに。
流れを横切るように移動。
すでにカスミアジの追跡のために、かなりエアを浪費していた。
せめてイソマグロだけでも撮影したいと考えながらゲンカイを目指す・・・、と、そこに再度カスミアジの群れが姿を見せた。

森脇君とアイコンタクトを取り、今度は逃げられないように、慎重かつ迅速に群れにアプローチする。
タイミングを見計らって森脇君がまたペットボトルを鳴らす。
すると一度は僕から離れようとしていた先頭集団のカスミアジたちが方向転換してこちらに突っ込んできた。

ナイスタイミング!

数はさらに少なくはあったが、またカスミアジの群れに巻かれた。

西表島うなりざき「オガン」(撮影:越智隆治)

三本目もカスミアジの群れの撮影に成功した

カスミアジたちはすぐに泳ぎ去ってしまったが、それでもまたカスミアジを撮影することができたのは、嬉しかった。
しかし、ゲンカイを目の前にして、自分のエアも限界に。

イソマグロの群れを目前にして、ギリギリたどり着けず、浮上。
最初のアプローチでカスミアジを撮影できていれば、おそらくゲンカイでイソマグロも撮影して終了することができたはずだ。
両方を押さえることは叶わなかったが、次回攻めるときの参考にはなった。

撮影後、西表に戻る船の船上では、前回同様、取材のガイドで燃え尽きた森脇君が泥のように眠る姿が。
お疲れ様でした。

西表島うなりざき(撮影:越智隆治)

オガンからの帰路、疲れ果てて泥のように眠るガイドの森脇君。カスミアジを狙うダイビングがどれだけハードかがうかがえる?

西表島うなりざき(撮影:越智隆治)

オープンして31年の老舗店で、西表でも一番人気のダイビングサービス。
62フィートの大型船3隻と42フィートの小型ボート1隻の計4隻で、様々なダイビングに対応してくれる。

オガンでのダイビングを最優先したスタイルが人気で、多くのリピーターがいる。
宿泊施設は、全室オーシャンビュー40室、レストラン併設のイルマーレと、西表パイン牛のBBQコースが楽しめるヴィラがあり、多くのダイバーの受け入れが可能。

ダイビングチームうなりざき西表店
〒907-1541
沖縄県八重山郡竹富町字上原10-172
E-mail info@unarizaki.com
http://www.unarizaki.com/iriomote/

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writer
PROFILE
慶応大学文学部人間関係学科卒業。
産経新聞写真報道局(同紙潜水取材班に所属)を経てフリーのフォトグラファー&ライターに。
以降、南の島や暖かい海などを中心に、自然環境をテーマに取材を続けている。
与那国島の海底遺跡、バハマ・ビミニ島の海に沈むアトランティス・ロード、核実験でビキニ環礁に沈められた戦艦長門、南オーストラリア でのホオジロザメ取材などの水中取材経験もある。
ダイビング経験本数5500本以上。