素潜りライフのススメ(第1回)

素潜りライフのススメ「2020年夏、withコロナと素潜り」

2020年の夏を過ぎて、改めて素潜りの魅力とその奥深い世界を多くの人に知ってもらいたい、と思うようになった。実際にお会い出来ない方にもこのオーシャナを通して改めてお伝えしていければと思い「素潜りライフのススメ」を開始させて頂くことにした。開始にあたり、この夏の私自身の素潜りライフを通して、なぜ今多くの人が素潜りに関心を持っているのか、私なりの考察をお伝えしたい。

想定外に多忙となった2020年夏

今年の夏、神奈川県三浦半島でフリーダイビングインストラクターをしている私は、何十連勤続いたかわからないほどの素潜り漬けの毎日だった。目の回るほどの忙しさの中、気づいたら自分史上最強の日焼けをしていた。自粛を余儀なくされていた方や、ごく短い夏休みの小中学生のレッスン生たちを前に自分のこんがりした肌がなんだか申し訳なくなるほどだった。

この忙しさは、例年以上に多くの方から、「素潜りをやりたい、野生のイルカと泳ぎたい」といったコンタクトを頂いていたためだ。どうやら私に限った話ではなく、SUPやスキューバダイビングなど湘南地域でのマリンレジャーでも似たような傾向があったようで「コロナ対策で人数制限をしているにも関わらずキャパオーバーになるほどだ」と挨拶がわりに語り合っていた。(過去形というよりは、9月以降もこの傾向は続いている) 

ともあれ、確実に一定数の素潜り人口が増えているという体感がある。そこで、この夏、なぜ首都圏でここまで多くの人が海に、素潜りに関心を持ったのかを考察してみる。

1)大きな旅行の代わりに近場のレジャーを選ぶ人が増えた

「沖縄や離島に旅行の予定を自粛して、その代わり近場でリフレッシュしたくて来た」という方々が実際かなり多い。これまではあまり関心を持たなかった身近な場所、身近な自然に目を向ける人が増えつつあると言えるのでは。

2)自然と触れ合いたい、という欲求が高まっている。

外出自粛期間中には、多くの人が家庭菜園を始めた、ホームセンターの園芸コーナーが盛況、というニュースをよく目にした気がする。外出できない中でも、小さな自然と触れ合いたいという欲求の現れの一つだと言えそうだ。そしていざ外出自粛が解除された時には、「もっと大きな自然と触れ合いたい」、「大自然に身を任せるようなアクティビティをしてみたい」、「大自然といえば海だ」、と多くの人が考えるのはすごく自然な流れだったと思われる。

3)一過性のレジャーよりも、コツコツと身につけられることへの興味。

素潜りはレジャー的な側面もありながら、スポーツとしてやればやるほど上達するという奥深さがある。今年はとりわけ、定期的なレッスンの受講、本格的な道具の購入、またライセンスコースや座学といった「スキルアップ」的なことに関心を持つ方が多かった。この先の旅行や色々なレジャーに関して目処がたたないために、近場で少し長期的に取り組めることに関心が向いていることも一つの特徴だと感じる。

4)とにかく、暑くて台風が来ないという、素潜り日和が続いた。

長く続いた梅雨の後には、灼熱の夏がやって来た。通常の8月は、台風リスクと隣り合わせであるはずなのに、関東圏ではほぼ毎日、素潜りに最適な穏やかな凪が続いていた。反対にサーフィンに適した波などは立たなかった。海水温が下がることもなく、水着でも寒くない水温で、素潜りを始める方にとっては願っても無い環境となった。

素潜りとは「人間の本能」に近いもの!?

他にも理由があるかもしれないが、「近場で自然と触れ合いながら、密にならずに何かコツコツ上達するもの」として素潜りに関心を持つ方が増えたと感じている。

あくまでこの夏の一部地域での考察だが、素潜りの魅力の本質に気付く人が多くなったことは確かであり嬉しく思う。そしてできれば一過性の盛り上がりではなく、今後もっと多くの人がこの魅力に気づき、生活の中に取り入れていってほしいと願っている。

私自身、外出自粛期間には素潜り自体を自粛しており、その期間に「自分自身について」、「自然との関わりについて」をいつもならば考えないほどじっくりと考えることになった。その答えの一つは「素潜りをすること」は「自分が自然の一部だと気づくこと」「自然の一部に帰ること」に他ならないということだ。

素潜りというのは、レジャー的な要素・スポーツ的な要素に加え、どちらかというと「人間の本能」にとても近いという特徴がある。小さな子供が何も教えなくても、水を怖がらずにスイスイと潜ってしまう姿を目の当たりにしたり、自分自身でフリーダイビングをするたびに、人間が持つ水に適応する力の不思議さに気付いたりもする。

この夏素潜りを始めたばかりの方、これから始めたいと思っている方、もっと上達したい方に向けて、素潜りの豆知識や、素潜りならではの海の風景、また「フリーダイビング」という少しマニアックな世界について、少しずつご紹介して行きたいと思う。


次回は:素潜りとは何?シュノーケリングって?スキンダイビングって?

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PROFILE
Apnea AcademyAsiaフリーダイビングインストラクター。 2015年フリーダイビング日本代表選手。CWT(フィンをつけて潜る競技)では水深-60mの公式記録を有する。オーシャナ主催のスキンダイビング講習会ではメイン・インストラクターをつとめる。また、自ら主催するフリーダイビング&スキンダイビングサークル「リトル・ブルー」や地元葉山での素潜りを通じ、素潜りや水の世界の素晴らしさを伝える活動をしている。