素潜りライフのススメ(第2回)

スキンダイビングのはじめかた〜素潜りって?シュノーケリングって?スキンダイビングって?〜

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素潜りライフのススメVol.2は、スキンダイビングのはじめかたについてお届けしよう。「素潜りをこれからやってみたい」、「もっと上達したい」という多くの方は、まずはネット検索から始めるはずだ。

ではどんな言葉で検索?
「素潜り」、「シュノーケリング」、「スキンダイビング」、「フリーダイビング」似たような言葉が沢山ある。今回は少し言葉について整理してみることで、素潜りの世界の全体像を把握していただきたいと思う。ちなみにタンクを背負う「スキューバダイビング」については区別が明確なので、ここでは説明を省く。

素潜り

タンクを背負わずに自分の息だけで潜る活動。このコラムでは、「素潜り」という言葉は後述する「シュノーケリング」、「スキンダイビング」、「フリーダイビング」全てを包括する言葉として使用していく。

以下、言葉の定義付けとしては諸説あるが、ここではわかりやすく目的や深度によって区別して説明していきたい。

シュノーケリング
〜水面をプカプカ漂い楽しむ、深度0mの世界〜

「素潜りをやったことがありますか?」という質問に対して一番多い答えは、「チャプチャプ、シュノーケルで浮かぶくらいなら」というもの。おそらく夏の海水浴ついでや旅行先で多くの方がレジャーの一つとして体験したことがある遊びが「シュノーケリング」だろう。

定義としては、マスク・シュノーケル・フィンの3点セットを使い、水面を泳ぐ活動のことだ。正確にはシュノーケリングは「ライフジャケット」を着用する活動(つまり潜りたくても水面にしか止まれない)と定義付けをされているが、一般的には装備を問わず水面に浮かんだ状態での遊泳、水面下に潜らない活動がシュノーケリングと呼ばれる。

海水浴の延長、子供の遊びの一環のようにも思えるが、実はこのシュノーケリングこそが素潜りのはじめの一歩となる。なぜなら水面での活動の中には、水中に潜るために必要な大切な基礎技術が含まれているからだ。素潜りを始める場合は、ここからのスタートとなる。

スキンダイビング 
〜水中を自由に潜って楽しむ活動。深度1〜10m、場合によっては20〜30mの世界〜

日本語では一般的には「素潜り」=「スキンダイビング」が一番しっくりくる。3点セットを用いて水面を移動しながら、時に水面下にも潜る活動のこと。

水面と水面下を隔てるものは、実はあまりないように思える。水面を浮かんで水中を見ているうちに、「あの魚にもっと近づきたい」、「あの海底の砂にタッチしてみたい」という欲求がどこからか湧いてくる。そして本能のまま、自然に水面下に潜って、いつのまにか水中を泳いでいるという経験をしたことがある人は多いだろう。ただ、多くの人が勢いで2〜3mも潜ってみると

「耳が痛くなってこれ以上深く潜れない」
「浮力が強くて体がすぐに浮かんでしまう」
「苦しくなる」
「怖くなって慌てて上がる」

という経験をする。物理的に別の世界がそこには広がっているからだ。
ここで、「耳抜き」や「フィンワーク」、「ジャックナイフ」と言った技術が必要となってくる。これを学んで練習いくうちに、水中をある程度自由に泳ぎ回れるようになってくる。イルカや亀や魚と泳ぐこともできるようになる。多くの人が「素潜り」に求める要素、そして求めるゴールは、この「スキンダイビング」であることが多いかと思う。

ではどのくらいの深さを潜るものなのか?私自身「スキンダイビング」を楽しんで潜れる深度は、10m程度までの世界かなと感じている。それより深いのは楽しみというよりも、スピアフィッシングや海女さんなどが行う潜り漁といった、何らかの目的がある場合に行われるのではないだろうか。ある程度の慣れと経験で、人は20m+程度までは潜れるようになるとも思うが、「スキンダイビング」としてはマックスこの程度の深度までと定義したい。

フリーダイビング 
〜究極の素潜り、100mオーバーの世界も〜

「スキンダイビング」のことを「フリーダイビング」と呼ぶ人もいるが、フリーダイビングの言葉の定義としては「競技性のあるもの」を指す。人間が自然にある程度潜れるようになる深度が20〜30m程度だとすると、それをはるかに超えた深度。ジャックマイヨールの世界、グランブルーの世界、際限なく深さと息を止める長さを追求する世界だ。

「フリーなダイビング」というイメージがあるが、実はこのフリーは「TANK FREE」のFREEという意味で、「タンク無し」ということが名称の由来らしい。度を越した深さを潜るため、もちろん危険性も一挙に増す。そのため、特殊な技術やルールなどが加わっており、世界的にはフリーダイビングのライセンスを発行する団体もいくつかある。海洋種目だけではなくプール種目もあり、息を止めてひたすら浮かんだり、プールを何往復も一息で泳いだりもする。実際には「規則がたくさんある」ものが競技としてのフリーダイビング。一本のロープに向かって潜るので、「フリーにあちこち泳ぎ回る」というものではない。

また、多くのフリーダイバーは目を閉じて潜る上、マスクすら使わないことも多く、魚や景色を見ることを楽しむわけでもない。「自分の外の世界」ではなく「自分自身」を見つめていくような、そんな深みの世界がフリーダイビングなのである。一見「そんなことして楽しいの?」と思われるほど、突き抜けてしまっている領域なのだ。

しかし、スキンダイビングの延長線上にあるものであり、フリーダイビングを練習することで、より楽に美しく潜れるようになることもあり、必ずしも競技のためだけではなく楽しみとしてやる人も増えている。

シンプルな道具と体を使ってどこまで潜るかは自分次第!

中にはシュノーケリングを始めたつもりがいつの間にか深みにはまってフリーダイビングの世界にまで辿り着く人もいるかもしれない。というのも、この3つはどれも「3点セット」というシンプルな道具と、自分の体一つで行うものであり、深度の差はあれ、「水の中で自由自在に動いてみたい」という興味や、人間の本能に通じるものだからだ。

それにしても、これらすべてを包括してしまえる「素潜り」という便利な言葉があるのは日本ならではなのでは?と思うことがよくある。日本は四方を海に囲まれており、海と生活が密着している。たとえ海がない土地であっても、海産物を口にしたり、何らか海の恵みが生活の中に根付いているところもあり、世界の中でもかなり「素潜り」が身近にある民族なのではないかと思う。

ともあれ、「素潜りを始めてみたい」という方が0mでその楽しさを感じ満足するのか、イルカと泳げるようになりたいのか、気づいたら100mを目指しているのか。全ては同じ「素潜り」なので、あとはどこまでの深みにはまっていくかはあなた次第。

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PROFILE
Apnea AcademyAsiaフリーダイビングインストラクター。 2015年フリーダイビング日本代表選手。CWT(フィンをつけて潜る競技)では水深-60mの公式記録を有する。オーシャナ主催のスキンダイビング講習会ではメイン・インストラクターをつとめる。また、自ら主催するフリーダイビング&スキンダイビングサークル「リトル・ブルー」や地元葉山での素潜りを通じ、素潜りや水の世界の素晴らしさを伝える活動をしている。
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