土肥の期間限定ポイント 「とび島沖PartⅡ」
今回、取材で訪れたのは、西伊豆のダイビングスポット・土肥。前回訪れたのは約3年前。セントラルスポーツアウトドアビレッジTHE101(現:土肥ダイビングサービス)のプールでの撮影だった。今回、初めての海の撮影ということで、THE101のチーフガイド・早川泰夫さんに土肥の魅力を聞いてみると、意外な言葉が返ってきた。
「土肥といえば施設が充実しているとか、ビーチで行ける沈船がある、といったようなイメージが強すぎるんです。実はそこを変えていきたい。この海は伊豆でもトップクラスの魚影を誇るダイナミックな海なんです。」
なるほど!たしかに、体験ダイビングや講習などに適した、初心者向けの海なのだと潜る前から決めつけていたかもしれない。それを覆すような海が、今回取材する「とび島沖PartⅡ」というポイントだと聞き、俄然ワクワクしてきた。
ジオを感じる土肥の海へ
とび島沖PartⅡはとにかく魚の活性が他のポイントとは明らかに違うという。それを聞けば、とび島周辺が磯釣りの一級ポイントとして人気があるのも納得である。「他とは違う魚の活性」、これが今回の撮影のキーワードとなるだろう。百聞は一見に如かず、器材を車に積み早速ダイビングへ向かった。
ポイントの場所は、八木沢港から船で10分ほど南下した「小下田エリア」にある。デートスポットで有名な、恋人岬のすぐ目の前だ。海沿いの県道は、車で何度も通過したことがあるが、海から見る恋人岬は、切り立った岩壁の絶景が広がるジオスポットだった。これがそのまま海の中へ続いているのだからかなり期待できる。
天候はあいにくの梅雨空。しかも翌日は豪雨と強風の予報が出ているという。どうやら、まずはロケハンなど呑気なことは言っていられそうにない。いきなり1本目から勝負となりそうだ。
ブイのついた根のトップは、水深20mとやや深い。川から流入した雨水の影響で、表層付近の透視度は5mほどだが、根が見えてくると徐々に水も青く抜けて透視度も10〜12mとまずまず。すると突然、イサキやアジの大群が、目の前を疾風の如く駆け抜けていった。慌てて撮影を始めると、まるで群れの中に飲み込まれるように一瞬で魚群に取り囲まれた。
続いて、魚達が最も多く集まるという「西の根」へ渡った。西の根とその向こうに微かに見える南の根の間の水路は、潮の通り道となっている。時に、ハンマーヘッドシャークやトビエイの群れが横切るエリアだ。根を移動中、複雑な潮の流れが多方向から全身を撫でる。縦横無尽に降り注ぐ魚達の雨は、激しい潮流の圧と共に、これでもかとまとわりついてくる。嵐の中を進むような不思議な感覚の中、無我夢中でシャッターを切った。
一瞬も気を抜けないワイルドな海の魅力
長い梅雨の影響で、今年は例年に比べて7月の海水温が低い。その影響で、取材時にはハンマーヘッドシャークやトビエイなど、期待していた大物との出会いは果たせなかった。しかし、数本のダイビングの間には、ウミガメや小型のサメ、巨大なクエ、スジアラ、ワラサの群れなどに遭遇することができた。一瞬で過ぎ去ったり、自分の背後を通過したりで、なかなか納得いく写真を残すことが難しかったが、撮影後になんとも言えない充実感を感じることが出来た。これが水族館では味わえない、一期一会の海本来の魅力なのかもしれない。アドレナリン全開で、いつ何が飛び出してくるかわからない、そんな緊張感を感じることのできる海に、そうそう出会えるものでは無い。
トップクラスの魚の活性を体感しに、ぜひ土肥の海を訪れて欲しい。そして、この海を安全に楽しむためのスキルアップの施設として、セントラルスポーツアウトドアビレッジTHE101(現:土肥ダイビングサービス)をご利用になってはいかがだろうか。
※今回案内してもらったのは、「とび島沖PartⅡ」という期間限定のポイントで、潜れる期間は7/1〜11/30までの間。12月以降は西風が強く吹いたり、ポイント周辺でエビ漁をおこなうため、それ以外の時期は潜ることは出来ない。
上級者向けのポイントでスキル制限あり。
Cカードレベルはアドバンスランク以上、経験本数は50本以上。フロートは各自持参。
土肥ダイビングサービス
コンビニ・薬局まで徒歩10秒。西伊豆・土肥の快適便利なダイビングサービス。初心者から上級者まで幅広く対応できる多数のボートポイントを有し、その時期、その日、その瞬間、最高のコンディションのポイントをご案内いたします。アフターダイブは自慢のテラスでゆったりとした土肥時間をお楽しみください。
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