農大ダイビングクラブの小笠原合宿【最終編】 ~ドルフィンスイム、沈船スイム、島民との交流など楽しみ盛りだくさん~
こんにちは!東京農業大学ダイビングクラブ幹事の大西美沙希ことみさっちゃんです!小笠原合宿連載もいよいよ大詰めで、今回が最終編となります!今回は、おがさわら丸が出航している期間の小笠原での過ごし方やダイビング以外でも雄大な自然や景色を感じられる小笠原の楽しみ方をご紹介。南島ツアーの参加やレンタサイクルでの島めぐり、沈船スイムをしてきました!
ダイビングサークルなのにガチ体育会系の部活なみにハード!? 東京農大ダイビングクラブの活動実体に迫る!
まるで別世界、南島ツアーで見たものとは!
おがさわら丸が小笠原から竹芝に向かっている出航期間中は、2航海以上で来ている人か島民しかいないので、観光客が少ないのです。そのため私たちはこの期間に、スキューバダイビング以外の小笠原観光をすることに。
まずは「南島上陸ツアー」へ!南島とは、小笠原父島の南西に位置する無人島で手つかずの自然が美しい秘境です。沈水カルスト地形(※)として国の天然記念物にも指定され、南島上陸には公認ガイドの同行が必要になります。
おがさわら丸は1度小笠原につくと3日間停泊してから竹芝に戻ります。これを1航海と呼び、次の便で帰ることを2航海と呼びます。食料や生活必需品は6日に1度のおがさわら丸のみに乗せて運ばれてくるので、島民たちは航海のサイクルを中心に生活しています。今回は、2023年3月14日から3月26日の2航海滞在しました!
▶︎おがさわら丸の2024年時刻表
※沈水カルスト地形:第三紀(約5,000万年前から2,000万年前)、海面が低下した時期に石灰質の土地が雨などで浸食されてできたカルスト地形が、その後地殻変動で再度沈んでできた独特の地形のこと。船の上や衛星写真からでも水中の隆起した石灰岩が見られます。
南島の位置▼
今回のツアーは、父島の西部に位置し本土と小笠原諸島を結ぶ二見港からも歩いてすぐの竹ネイチャーアカデミーで予約をしました。竹ネイチャーアカデミーの南島上陸ツアーはホエールウォッチング・ドルフィンスイムも込みのツアーを行っています。
ウエットスーツを腰まで穿き、フィン・マスク・ブーツ・ウエイトを持って、まずは小型船に乗船します。乗船するとすぐに、たくさんのザトウクジラの姿が!ダイビングの合間に船上から見るよりもじっくりと、近くでクジラが見られるのでとてもおすすめです。ザトウクジラの尾びれの白い模様はよく見ると個体差があり、個体を識別できるとガイドさんが教えてくださいました。
ザトウクジラの次はドルフィンスイムです。狙いのミナミハンドウイルカを懸命に探すもなかなか見つからず、その間にハシナガイルカの群れがたくさん近寄ってくれました。船の前でハシナガイルカが泳いでいるので、船首でうつ伏せになると、触れるほど近く、目も合うほど!群れの中の小さい赤ちゃんが、ジャンプの練習をしている様子も見ることができ、大興奮でした。
根気よく探し続けた甲斐があり、念願のミナミハンドウイルカが現れ、ガイドさんの指示で海に入ると…
なんと、勢いよく大群が押し寄せてきました!去り際にはゆっくりと泳ぐ親イルカと子イルカ姿もの。成熟すると腹部の斑点が表れるミナミハンドウイルカですが、この子イルカはまだ斑点がないので幼い個体でしょう。ドルフィンスイム直前、近くにいた別の船の船長が「マンタがいた!」と言っていたので、イルカを目の前にしながらもマンタが気になっていたことをイルカたちには黙っておいてください…。
私たちは毎年夏に、伊豆諸島のひとつである御蔵島でドルフィンスイムをしますが、御蔵島のイルカより人間に慣れており近寄ってくれる印象でした。オス同士の擬交尾(※)も目の前で初めて見られました。
※擬交尾:交尾の練習
ホエールウォッチング、ドルフィンスイムですでに大満足の私たちですが、ここからがメインイベントとも言えるお待ちかねの南島への上陸です。南島に近づくにつれて、石灰岩があちこちで隆起しているため、湾の中に入るだけでも一苦労。上陸するためには、ボート幅ぎりぎりの岩と岩の間を通過しなければならず、通過中に波の影響で流されると岩に衝突してしまいます。このときは波が高かったので、波が少し落ち着くまで少々待機し、落ち着いた瞬間を見計らって勢いよく通過!スリル満点の体験でした!
一度湾に入ってしまえば、穏やかなエメラルドグリーンの海が広がります。カメラで見るより実際に行った方が何倍もきれいで感動するのでぜひ訪れてほしいです。そしてこんな日本とは思えない贅沢な景色の中で、ランチ休憩。持参のおにぎりを頬張りました。
ここは、浅い砂地に大量のネムリブカが海底にいるので鮫池と呼ばれています。ここで休憩を挟むとついに上陸です。
両手を使って登っていく道があるので、手や足腰に自信のない方は登るのが難しいので注意が必要です。
南島では自然保護のため決められたルートを歩かないといけないので、このように1列になって歩いていきます。見たこともない固有の草や花などをガイドさんが紹介してくれながら進みます。
頂上まで登ると、南島の代名詞でもある扇池が上から一望できます。ここでもガイドさんが記念写真を撮ってくれたり、南島形成の歴史を説明してくれたりします。
位置的には扇池の左側に、上陸した鮫池があり、右側に陰陽池があります。陰陽池は台風の高波で海水が溜まり、雨の影響で淡水が溜まる珍しい汽水湖だそうです。
頂上の反対側は父島が一望でき、壁には赤土が流出して赤くなったハート型の岩石「ハートロック」が見られます。は。それにちなんでいるのか、父島ではハートロックのデザインのお土産があったり、父島にはハートロックカフェというサメバーガーが食べられる人気のスポットがあったりします!
頂上から降りて扇池に行くと、そこの砂浜は真っ白でサラサラ。思わずつかんだり素足で歩いたりしてしまうほど。ここでは1000年以上前に絶滅したカタツムリの半化石がたくさん落ちています。よく見ると何種類ものカタツムリが。
・11月~2月までの約3ヶ月間は植生回復の入島禁止期間(年末年始は除く)
・上陸は東京都自然ガイドが同伴
・ガイド1名につきお客様が15名まで
・1回の上陸で利用時間は最大2時間まで
・決められたルートを歩きましょう
・島の物はすべて持ち出しが禁止
・外部からの植物の種や寄生虫等を持ち込まないために、上陸前には靴の裏を洗う
独自の生態系が保護されており自然の美しさを保っている南島。小笠原に来たら絶対に訪れてほしいポイントです。ホエールウォッチング・ドルフィンスイムできて大満足のツアーでした。ぜひ南島ツアー楽しんでみませんか!
自転車観光で沈船へ!?
次に、小笠原観光でおすすめしたいのが、電動自転車での観光。ここでの一番の目的は、境浦の沈船です。
自転車を漕いでいると、驚くほどきれいな海に思わず漕ぐ足が止まってしまいます。
もちろんサイクリングだけでも楽しめるのですが、私たちはどうしても海に入りたい!ということで、水着を服の下に着て、フィン・マスク・ブーツもしっかり持参。途中、小笠原水産センターの小さな水族館に寄り道して、それからひと山超えると境浦海岸に到着です!
まるで海外のような南国のビーチに私たちしかおらず、プライベートビーチ状態でした。3月なので水温はだいぶ低く、沈船まで割と距離がありましたが、農大ダイビングクラブで鍛えられた根性で水着のまま泳いでいきます。
ダイビングサークルなのにガチ体育会系の部活なみにハード!? 東京農大ダイビングクラブの活動実体に迫る!
すると太平洋戦争中に座礁した輸送船「濱江丸」が見えてきます。真っ青な海に錆びた沈船が重々しく沈んでいました。
何やら船の部品も沈んでいます。
先が鋭い部分や表面がゴツゴツしていて、水着で潜ると切ったりすりむいてしまう可能性があり危ないのでウエットスーツを着ていくことをおすすめします。
このようにサンゴや海藻が生えており、魚たちの住処にもなっていました。
寒さに耐えられる限界まで、沈船をすみずみまで探検しました!上がって日向ぼっこしたり、木でできたブランコで遊んだりして境浦海岸を堪能しました。
そのあとは、さらに山を越えて別のビーチへ行ったり、カフェを見つけて入ったりと行き当たりばったりに楽しみました!
ゲストハウスでの島民との交流
最後にご紹介するのが、私たちが旅の後半に宿泊したゲストハウスについて。小笠原ユースホステルではお客さんがおがさわら丸で来る一航海ごとに毎回島民を呼んで歓迎会を行っています。そこでは自己紹介したり、東京から移住してきた人や父島で生まれ育った人など様々な人と交流させていただきました。
島から帰る出航日の前日にはお見送り会を開いてくださり、おいしいご飯とゲストハウスの人は出し物や歌のサプライズなどを用意してくださいました。
そこで私たちも農大名物大根踊りを即興で踊り、感謝を伝えました。滞在中は一人で小笠原ユースホステルに宿泊している人も何人かいましたが、島民やゲスト交流で色々な人と仲良くなり一人で来ても楽しめるホステルになっていました!
前・中・後編とお届けしてきた農大ダイビングクラブの小笠原合宿は、いかがだったでしょうか。父島滞在中は別の団体と仲良くなったり、よくすれ違うおじさんとおしゃべりする仲になったり、島民の子供たちと遊んだりと、東京や他の島では味わえないこのフレンドリーさは、小笠原の大きな魅力だとも感じました。また、リピーターが多く、1度来たら虜になる島ということもこの合宿を通じてよくわかりました。
小笠原は自然豊かでどこへ行ってもきれいな景色を楽しめ、島民もとても親切なので行ったら帰りたくなくなる、帰ってからもまた行きたくなるような最高の島です。人生が変わると言っても過言ではありません。ぜひ一度小笠原諸島を訪れてみませんか?
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