ダイビングなのに体育会系?!農大ダイビングクラブにせまる(第3回)

農大ダイビングクラブの小笠原合宿中編 ~小笠原は春に行くべき?大物との遭遇、おがさわら丸感動の見送り~

この記事は約7分で読めます。

こんにちは!東京農業大学ダイビングクラブ幹事で現役大学生ダイバーの大西美沙希ことみさっちゃんです!今回は小笠原合宿前編の続きで、2航海だからこそ味わえる小笠原父島ならではの魅力をたっぷり詰め込んだ、小笠原合宿中編をお届けします!
ダイビング中の大物たちとの遭遇や春だからこそ味わえる小笠原のダイナミックな海。また今回の合宿では今年3月後半に滞在したため、新生活に小笠原から旅立つ学生や島を出ていく人々の見送りをしてきました。おがさわら丸の見送りは日本一の見送りと言っていいほどすごいんです。それでは、お楽しみください!

ダイビングサークルなのにガチ体育会系の部活なみにハード!? 東京農大ダイビングクラブの活動実体に迫る!
東京農大ダイビングクラブの小笠原合宿・前編 〜予約方法、24時間の船旅からダイビングスタイルまでまるっとお見せします〜

ボートからザトウクジラとハシナガイルカを目撃!

3月の小笠原は鯨類が現れるシーズン。ザトウクジラの多くは、繁殖のために求愛・交尾・出産を小笠原などの日本の暖かな海で行います。そのためメスクジラをかけて争うオスクジラのエキサイティングな争いや、豪快にしぶきを上げジャンプするブリーチングが見られます。さらには生まれたばかりの子クジラに泳ぎ方を教える母クジラの微笑ましい姿も。

子クジラのブリーチング

子クジラのブリーチング

子クジラが何回もブリーチングを練習している貴重な様子も見られた一方で、子クジラがいるにも関わらずメスクジラに猛アプローチする複数のオスクジラも目撃し、自然の厳しさを目の当たりにしました。今回ボートダイビングのときは8~9割というかなりの高確率で船上からザトウクジラが見られました。

ザトウクジラがよく見られる一方で、ハシナガイカも同じくらいの確率で見られました。船長によると、小笠原で通年よく見られるのはハシナガイルカとミナミハンドウイルカの2種類。ハシナガイルカは警戒心が強いので、ドルフィンスイムには向かず船上から見るのがおすすめ。よく船首を泳ぐので間近で見られます。ミナミハンドウイルカは人懐っこくドルフィンスイムをすると一緒に遊んでくれます。

船首で泳ぐハシナガイルカ

船首で泳ぐハシナガイルカ

なんとスキューバダイビング中には、ミナミハンドウイルカに遭遇しました!ドルフィンスイムで見ることはあっても、スキューバダイビング中に見ることは少ない印象だったのでとってもびっくりしました。しかし嬉しくてみんなで近づいたら逃げてしまいました・・・。

ダイビング中に遭遇した3匹のミナミハンドウイルカ

ダイビング中に遭遇した3匹のミナミハンドウイルカ

小笠原を代表するサメ・・・シロワニがいるポイントは!

シロワニ、、初めて聞くとワニ?と思うかもしれませんがワニではありません。国際自然保護連合(IUCN)に絶滅危惧種としても登録されている非常に貴重なサメなのです。しかし小笠原のすごいところは、そんなシロワニが普通に見られるところ!今回私たちがシロワニを見たポイントは3か所。
1か所目は鹿浜というポイント。水深20m近くの岩が重なった小洞窟に、シロワニが高確率でいるポイントです。ゲストは小洞窟の入口で待ち、ガイドさんがライトで照らしてくれている状態で小さい空間でぐるぐると泳いでいるシロワニを見ます。暗さも相まってか、歯の鋭さ、目の奥の怖さも引き立ちます。今回見た個体はおなかに赤ちゃんがいました!

接近してきた大迫力のシロワニ

接近してきた大迫力のシロワニ

2か所目はエダサンゴというポイントです。ここは、鹿浜よりも深く水深30mほどもあります。港からボートですぐのポイントでシロワニと同時にエダサンゴも楽しめてしまう、とっておきの場所。

エダサンゴの上では浮力調整が大事

エダサンゴの上では浮力調整が大事

3か所目はなんと陸からで、夜のとびうお桟橋です。宿泊したゲストハウスの人たちに誘われて、夕食後に散歩がてら見たものはまさかのシロワニ!? 小笠原恐るべし…。ほかにもネムリブカやアカエイなんかもいました。夜のサメたちは昼に水中で見た時より活発になっている様子でした。身を乗り出しすぎて落ちないように気を付けてくださいね!ぜひ見に行ってみてください!

夜のとびうお桟橋に集まるシロワニ

夜のとびうお桟橋に集まるシロワニ

マクロ生物や沈船も!

小笠原でのスキューバダイビングでは、大物だけでなくマクロ生物も充実しているのでマクロフォト派の方も楽しめます。私たちがお世話になった小笠原ダイビングセンター(小笠原父島)のガイドの康平さんに「マクロが見たい!」とリクエストしたところ色々見せてくれました。康平さん、指くらいのサイズのピグミーシーホースを見つけるのが早すぎてびっくり!水温が本州よりも高い小笠原ですがウミウシも割といました!

ピグミーシーホースは小指サイズ

ピグミーシーホースは小指サイズ

独特な色と形のパイナップルウミウシ

独特な色と形のパイナップルウミウシ

甲殻類も豊富で、特に小笠原固有種のアカイセエビが岩陰にたくさんいます!

アカイセエビは岩陰にたくさんいます!

アカイセエビは岩陰にたくさんいます!

見たことない配色のトラフシャコ

見たことない配色のトラフシャコ

マクロだけでなく沈船がたくさんあるのが小笠原の魅力の1つでもあります。海中に沈んでいる飛行機のプロペラや何隻もの沈船、そこに住み着く様々な生物とその営みがここまでたくさん見られるのは小笠原だけ。海中だけでなく、陸での戦跡ツアーもよく行われビーチや山の中でもそのままの状態で残っているものが多いです。

バラバラになった貨物船水深15mに沈んでいる「バラ沈」というポイント

バラバラになった貨物船水深15mに沈んでいる「バラ沈」というポイント

水中写真家の戸村裕行さんが小笠原沈船マップを無料頒布しています。場所や名前、歴史をチェックしてから行くと面白いです!

知らないと損する!水中写真家・戸村裕行が小笠原沈船マップを無料頒布

小笠原でのダイビングの様子はいかがでしたでしょうか!伊豆では見られない魚たちが見られたり、とにかくダイナミックで多種多様な生物の群れが楽しめたり、マクロ生物も面白く、ダイビングの合間にクジラとイルカ出会えてしまう3月の小笠原は楽しいこと間違いなし!青くてきれいな海が広がり、本州よりも暖かく穏やかな気候です!そして花粉もないので花粉症に悩む方も安心。ぜひ今度の春休みは、小笠原諸島へ行ってみては!

ここからは、ダイビングだけでない小笠原・父島の良さもご紹介していきます!

おがさわら丸の見送りは涙の飛び込み!?

小笠原ではおがさわら丸の出航日は必ずダイビング船や漁船などが見送りでおがさわら丸と並走します。小笠原流の見送り方法が並走する船からの飛び込みなんです!私はまだ小笠原に滞在するので今回、見送る側としては特別に小笠原ダイビングセンターの船で見送りの飛び込みに参加させていただきました。小笠原ダイビングセンターのボート、韋駄天Ⅲに乗船すると2階デッキがほとんど中学生でいっぱいになっていました。しかもみんな半袖短パンで…これで飛び込むのか…?と考えているうちに韋駄天Ⅲが出航。聞いたこともないエンジンの音とともにものすごいスピードを出していきます。

すると、小笠原以外の高校へ進学したり働きに出たりする友達を見送るためでしょうか、中学生たちが「○○、がんばれーーー!」などと友達の名前を思い思いに叫んで船が並走していきます。必死に叫ぶ姿をみて感極まり溢れそうになる涙をこらえました。私も知人がこのおがさわら丸に乗っていたので、大声で叫びながら手を振りました。
しばらく沖まで出るとエンジンが止まり、ガイドさんが飛び込みの合図をして中学生たちは2階のデッキからみんなで飛び込んでいきます。これが物怖じしてしまう結構な高さ。

2階デッキから飛び込む部員

2階デッキから飛び込む部員

感動で涙ぐみながら飛び込んだ後は、おがさわら丸や他の船の強い波で溺れそうになりながらも泳いで船に戻りました。こうして2度と出来ない貴重な体験をすることができました。この水温で服のまま物怖じせず飛び込んで余裕で泳げる島人の子供たちのすごさを目の当たりにしたのでした。

次回、小笠原後編はスキューバダイビング以外での小笠原の楽しみ方をご紹介!現地で予約できるツアーに参加したりやレンタカーを借りて沈船を見に行ったり!? ゲストハウスで大根踊りをしたり!? お楽しみに!!

今回お世話になったダイビングショップ 小笠原ダイビングセンター
小笠原で一番歴史の老舗。大きいデッキ持つ韋駄天Ⅲで快適にダイビングできます。森田康弘さんと息子の森田康平さんがガイドを務めており、お二人ともとっても親しみやすかったです!
住所:小笠原村父島字東町
電話:04998-2-2021
MAIL:idaten@ogasawara-dc.com
▶︎HP:小笠原ダイビングセンター(小笠原父島)
東京農業大学ダイビングクラブ
セルフダイビングを中心に毎週の練習と長期合宿を行い、日本の海を本格的に楽しむサークル。

\メルマガ会員募集中/

週に2回、今読んで欲しいオーシャナの記事をピックアップしてお届けします♪
メールアドレスを入力して簡単登録はこちらから↓↓

PROFILE
東京農業大学ダイビングクラブ47代幹事を務める。初めてのダイビングは8歳の時。農大ダイビングクラブに入部してから伊豆諸島や伊豆半島でのセルフダイビングにどハマりし、年間100本潜るほどに。学業でも海に関わりたく、伝統的な水産発酵食品“くさや“の研究ができる研究室に所属。自然の恵みに感謝しながら、海を守っていくにはどうしたらいいかを日々考えながら海と関わっている。
FOLLOW